![]() 振動反応の写真 |
はじめに自然科学を記述する言語は数学である.自然科学が定量的な学問である以上,数学的な記述は必要不可欠である.比較的数学を用いる頻度が低いと考えられがちな化学にしても,物事の本質をきっちりと理解し応用していくためには数学が必須である.さらに言えば,自然科学自身が,現象に対してある客観的な(数理)モデルを提示し,検証していくことで自然を理解してきたことからも,自然現象のモデル化とその数理構造には,自然科学を学習し理解する上で重要かつ示唆に富んだ視点が含まれている. 一方,自然科学を学習している学生に目を向けると,彼らは自然科学のそれぞれの分野を,“数学”は“数学”,“物理”は“物理”,“化学”は“化学”等々,全く別な・何の関連性もないものとしてとらえており,現象の本質に迫るような理解の仕方をすることが苦手なようである.九鬼は応用化学科で応用物理と物理化学を担当しているが,多くの学生からは「えっ,化学に数学が必要だったの?!」とか「化学を勉強するのに,何故数学が必要なの?!」といった素朴な疑問が返ってくる. 1994年度,児玉が応用化学科の応用数学を担当し,自然科学の数理モデルとしてカオス・共同現象にふれた折りに,「化学反応でも共同現象を起こすことが出来るらしいが実際に学生に実験をさせることは出来ないか」と九鬼に相談を持ち掛けた.以来,毎年2週ほど物理化学の授業で“自然現象のモデル化と数学”について実験的な授業を行ってきた. 我々は,自然科学を理解するときにカギとなるのは物事の関連性であり,自然科学の面白さや醍醐味は,数学や物理等のいわゆる学校で勉強する教科がオーバーラップしてくるところにあると考えている.ここでは,我々が行ってきた授業の概要を示し,自然現象のモデル化と数学について何かを感じ取ってもらえればと考えている. |
![]() タイトル画(児玉作) |
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![]() ビーカーの様子(動画) ![]() シャーレの様子(動画) |
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