1 はじめに

 平成7年1月17日未明発生の阪神・淡路大震災により被災されました皆様には心からお見舞い申し上げ、一日も早い復旧・復興を祈念致します。

 

 近代日本で初めての大都市における直下型大地震は、神戸をはじめ周辺の広範囲な地域にわたって住民の生命や財産を奪い、ライフラインをはじめ、交通網・港湾機能等の都市機能を破壊し、市民生活に深刻な影響を与えました。

 この震災で、本校では、幸いにして学生及び教職員に死傷者は無かったものの、家屋の全半壊250人・全半焼7人の被害等があり、校舎自体も体育館の天井や学科棟の一部等に破損があり、実験・実習用の備品等が相当数壊れました。

 震災後早々に、各高専・諸団体・保護者・本校卒業生等の方々から本校並びに被災した学生に対し、心暖かいお励まし・ご援助を賜り、厚くお礼申し上げます。なお、本校の教職員からも被災した学生に対する援助を受けており、お礼を申し上げます。

 震災当時、本校は避難所の指定を受けましたが、激震地から離れていたこともあって避難される方はなく、本校としては、まず1,200人の学生の安否を調査し、無事である事の確認を得て、授業の早期再開を図りました。お陰で、特に就職や進学が決まっていた5年生を無事卒業させることが出来ました。又、学生にとっては、勉学だけでなく、クラブ活動も震災の影響を受け、余り練習ができないまま、全国高専体育大会等の大会や行事に参加し、活躍しています。とりわけ、バレーボール部は、この全国高専体育大会で10回目の全国優勝を果たし、連続3年日本一となりました。震災の影響をものともしない元気を示してくれ、希望を与えてくれました。

 震災後、本校では、職員が市内各地の避難所等の支援業務や復旧業務に従事し、又、グランドには仮設住宅が146戸建設され、被災された方が入居されています。

 振り返りますと、多くの学生や教職員が様々な立場でこの震災に関わり、直接被害を受けた人・ボランティア・各種支援業務従事者・調査研究者等としていろいろな体験をしております。この貴重な体験、被災状況、被災への対応並びに震災後の諸事情を記録としてまとめました。この記録は、今後に備えるための一助として、又、人と人との触れ合いを大切にする心を育むために、教職員と学生の協力を得て作り上げたものです。その取りまとめを快く引き受けて頂いた高専研究会にお礼を申し上げます。

((第5代)校長 松本安夫)