大多喜 重明 1958年生)
 OHTAKI  Shigeaki

・ 職名:教授
・ 略歴:東京理科大学大学院理学研究科物理学専攻博士課程
     1988年 富士通研究所 1998年 神戸高専一般科(理科)
・ 学位:理学博士(東京理科大学) 1988年取得
・ 専門:格子欠陥(固体物性II,物性一般,金属物性)
     物理教育(科学教育,教育工学,教科教育)
・ リンク :KS laboratory

自己紹介:

 唐突ですが、グラフは昔の実験結果です。金属結晶の原子並びを崩し、その後の原子並びの回復を調べたものです。矢印の部分は、私たちが発見した回復ピークです。はがきは、この研究に対する別刷り郵送依頼のはがきの一枚で、旧ソ連からのものです。ソ連は、今は在りませんが、米国と肩を並べる超大国でした。意外なところから、問い合わせがあったりするのは、とても楽しいものですね。本を整理していたとき、専門書の中から見付かったはがきで、昔を思い出しました。
 ここで少し、「分かる」ことについての私の考えを述べたいと思います。「分かる」のは、あるとき突然わかるという瞬間がくるからで、長い時間勉強したからではないと考えています。大学院で勉強をはじめた頃、期待通りの結果がでないため、何度も徹夜をしました。しかし、実験のときは、物を壊したり、火傷したりしました。その様な回復ピークがなぜ出来るのか、理由を考えているときも、良い結果は出ませんでした。時間が解決してくれたのは、「慣れれば出来ること」と「調べれば分かること」でした。受験勉強の様に、ほとんどが解法の記憶であれば、努力した分の時間で問題を解決出来ますが、研究のように、どんなに調べてもどんなに勉強してもどうにもならない問題は、時間では解決出来ません。その問題がどうにかなるのは、勉強が出来る喜びやすばらしい仲間に囲まれている喜びを感じて努力しているとき、「分かる」という瞬間が来るからだと思います。「分かった」とき、はじめて、我々は、真に物事を理解し、問題を解決できるのだと思います。
 新潟の燕高校で数学を教えていたとき、「答案の採点で、思いやりや優しさも評価する。」と言ったことがあります。様々な外部評価もあり、今は出来ませんが、今でもそうしたいと考えています。というのは、思いやりや優しさは、理解の深さや、「分かる」という瞬間の訪れに影響する重要なことだと思うからです。
 高い失業率や格差、高齢化社会、いじめなど、深刻な問題が多い大変な時代です。学校だけでなく、様々な場所で、仲間とともに、よく勉強し、よく考えてください。きっと、新しいことが見えてくると思います。だれも気付かなかったことが周りに沢山あると思います。同じ時代を生きる者同士(私も含む)、より良く分かって、みんなが幸せな世界を作っていきましょう。

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