🔒 生徒への説明スクリプト(授業冒頭・30秒)
「カメラやマイクを使う前に、写る・録られる範囲を確かめよう。使わない実験も選べるよ。教材の一部はプログラムやAIモデルを外部から読み込みます。撮った画像や音の扱い、保存先は使うラボの説明を確認し、友だちの顔や声は勝手に入れないようにしよう。」
⏱ 1コマの基準
小学校は45分、中学校は50分を1コマの目安にします。2コマなら小学校90分・中学校100分です。各ラボはまず1コマで「予想→実験→条件変更→理由→振り返り」まで行い、発展の比較を2コマ目に分けます。下の配分は小学校45分を基準にし、中学校では各指導案の「+5分」に充てます。端末配布やモデル取得に時間がかかる場合は、実際の時間割に合わせて調整してください。
全モジュール 年間授業計画例
| モジュール | コマ数 | 目標 | センサ | 評価の目安 |
|---|---|---|---|---|
| M0 入門 | 1 | AIの3種類・安全ルールの共有 | — | クイズの理由説明 |
| M1 画像認識 | 1+発展1 | 画像分類を試し、発展で3方式を比較 | 📷 | 方式・条件→結果の比較 |
| M5 データと学習 | 1+発展1 | 境界線・増強・バイアスの3実験 | — | 学習前チェックリスト(3項目以上) |
| M2 生成AI | 1+発展1 | 文字予測とアテンションを観察 | — | 学習用と未使用文の違い |
| M3 強化学習 | 1+発展1 | 報酬と探索の観察 | — | 冒険度2条件の比較記録 |
| M4 音声認識 | 1+発展1 | 音の絵と音分類を試す | 🎤 | 条件変更による結果の記録 |
| M6 AIと社会 | 1+発展1 | 身近な場面からAIの使い方を考える | — | 自分のルールと理由 |
| M7 モーションAI | 1+発展1 | 動きを記録して認識を試す | 📷 | 記録条件と認識結果 |
おすすめ順:入口の「AIって何をするの?」→ M3 迷路 → M5 データ → 興味に合わせたラボ。カメラが使えない環境でも始められます。
📄 配布資料について
AI LabのWeb教材は、どなたでも閲覧・授業でご利用いただけます。授業で配布資料として使用したい場合は、必要なファイルをお渡ししますので、メールでご連絡ください。
📷🎤 カメラ・マイクを使う前の確認(M1・M4・M7)
- ① 誰の顔・声がデータに入るか、生徒と確認
- ② 利用するラボの通信・保存の説明を確かめる。プログラムやモデルの取得と、利用者の画像・音声の扱いを分けて説明する
- ③ 校内のルール(撮影可能な範囲・持ち帰り禁止等)との整合を確認
モジュール別 指導案メモ
M0 入門:AIってなに?(1コマ)
目的:入口の身近な例を見て、AIが「見分ける・つくる・道を選ぶ」ときに何を材料にするか話す。名称の暗記は求めない。
流れ
- 10分:AIの3つのかたち(例を出し合う)
- 15分:クイズ(正解より“理由”重視)
- 10分:ラボの使い方
- 8分:安全ルール
- 2分:次のモジュールへ
合計:小学校45分。中学校50分では、身近な例を比べる話し合いを5分追加。最初の問い「AIは何を見て答えを出す?」への考えを最後にも聞く。
留意点
- カメラ・マイク使用モジュールの前に必ず再確認
M1 画像認識(基本1コマ+発展1コマ)
目的:自分の画像でAIを学習し、「データと正解率の関係」に加えて、ブロック版 / 機械学習(k-NN・MLP) / 深層学習(MobileNet)の違いを比較できます。
準備
- カメラが使える端末 or 画像の事前配布(アップロードで対応)
- クラス案:手のかたち(グー/パー)が最も取り組みやすい
基本の流れ:小学校45分
- 5分:同じ物でも背景を変えたら見分けられるか予想
- 8分:2種類の無人物画像を準備
- 10分:1方式で学習して試す
- 10分:背景か画像枚数を一つだけ変えて再試験
- 7分:最初と二度目の結果を並べ、理由の候補を書く
- 5分:共有と記録
合計:45分。中学校50分では未使用画像で確かめる時間を5分追加。発展2コマ目は下の共通配分でブロック・k-NN/MLP・深層学習を同じ画像で比較する。ブロック版/機械学習版/深層学習版。
評価の観点
- 自分で条件を変えたか
- 「特徴」の言葉で説明できるか
- 失敗も記録したか
M5 データと学習(基本1コマ+発展1コマ)
目的:境界線・増強・バイアスの3実験で「データがAIを決める」ことを体感。
基本の流れ:小学校45分
- 5分:データとラベルを確認
- 12分:境界線とラベル間違いを比較
- 10分:1枚の画像を増強して数を記録
- 12分:比率を変えてクラス別の結果を見る
- 6分:理由と学習前チェックリストを記録
合計:45分。中学校50分では未使用データで再確認を5分追加。発展2コマ目は一つずつ条件を変え、増やした画像と独立した新しい観測の違いも話す。ラボを開く。
留意点
- 実験1は「点を1つずつ加えて線を見る」ことを重視(観察の質)
- バイアスの結果は M6 の「公平性」導入に使える
M2 生成AI:ミニGPT(基本1コマ+発展1コマ)
目的:ブラウザでTransformerを学習し、アテンションで「AIはどこを見ているか」をのぞく。
準備
- 学習用コーパスの案(行事通知文・詩・数学の公式など)
- 低スペック端末は学習時間を長く取る案内
基本の流れ:小学校45分
- 5分:手作業で次の文字を予想
- 10分:短い教材文で学習
- 10分:学習用と別の文を入力して比べる
- 10分:ヒートマップを見て変化を探す
- 5分:図だけでは分からないことを話す
- 5分:記録と振り返り
合計:45分。中学校50分では別の文を試す時間を5分追加。低性能端末では学習を授業前に確認し、待機・中止の道筋を示す。発展2コマ目は生成文の検証とCPU/GPUの比較。ラボを開く。
留意点
- 「AIが事実を間違える」話題は M6 と接続
M3 強化学習(基本1コマ+発展1コマ)
目的:報酬・探索(冒険度)によってAIが強くなるしくみを観察。
基本の流れ:小学校45分
- 5分:迷路とごほうびを観察
- 5分:冒険度を変えるとどうなるか予想
- 10分:最初の設定で学習
- 10分:冒険度だけを変えて学習
- 10分:歩数と成功率を比べ、違いを説明
- 5分:記録と振り返り
合計:45分。中学校50分では同じ設定でも結果が揺れるか再実験を5分追加。発展2コマ目は報酬の設計を比べる。ラボを開く。
留意点
- 「報酬ハッキング(ズルを覚える)」の導入に使える
M4 音声認識(基本1コマ+発展1コマ)
目的:音のスペクトログラム化と、自分の音で音分類AIを学習。
準備
- マイクが使える端末(なければデモ音モードで完結)
- デモ用クラス:拍手 / ビープ / 静か
基本の流れ:小学校45分
- 5分:音の絵を読む
- 12分:デモ音で2クラスを作り、各クラス3件以上追加
- 10分:学習して結果を観察
- 10分:デモ音を変えて判定
- 8分:図の変化と結果を記録し、振り返る
合計:45分。中学校50分では未使用の音で試す時間を5分追加。発展2コマ目に許可を確認したうえでマイク録音を使う。ラボを開く。
留意点
- 最初に教師端末で“デモ音だけ”完走させる
- マイク録音が使えない環境はデモ音モードで運用
M6 AIと社会(基本1コマ+発展1コマ)
目的:個人情報・公平性・ディープフェイク・著作権のルールをディスカッションで考える。
準備
- グループ(2〜4人)、校内の生成AI利用ルールを事前確認
基本の流れ:小学校45分
- 5分:四つの短い場面を読む
- 10分:個人情報と公平性を考える
- 10分:ディープフェイクと情報源の確認
- 10分:著作権と学校のルールを調べる
- 10分:自分のルールと理由を記録・共有
合計:45分。中学校50分では別の情報源を比べる時間を5分追加。発展2コマ目は一つの場面を選び、異なる立場で話し合う。ラボを開く。
留意点
- 「自分のAIルール」は同一端末で次回も読める(発表に使える)
M7 モーションAI(基本1コマ+発展1コマ)
目的:MediaPipe Poseで身体の骨格を取得し、複数フレームの動きを自分で記録・学習させてリアルタイム分類する。
準備
- カメラが使える端末
- HTTPS または localhost で公開できる環境
- 初回はMediaPipeのCDN・モデル取得のためネット接続
基本の流れ:小学校45分
- 5分:使う場所と撮影範囲を確認
- 10分:安全な二つの動作を選ぶ
- 10分:同じ条件で動作を記録
- 10分:学習して新しい動作を試す
- 5分:速さだけを変えた結果を比べる
- 5分:記録と振り返り
合計:45分。中学校50分では記録時と違う距離で再確認を5分追加。発展2コマ目は距離・速度・人のうち一条件ずつ変える。撮影できない場合は骨格の図を読み、カメラ不要の迷路ラボで条件比較を行う。ラボを開く。
留意点
- 身体全体が画面に入りやすい距離を確保
- 左右反転表示でも映像と骨格は同じCanvas変換を使うため、位置ずれしにくい構成
- スポーツ動作では安全なスペースを確保し、強い蹴り・投球は行わせない
発展の2コマ目(各ラボ共通)
基本の1コマを終えたあとに、各指導案に書かれた発展の比較を行います。小学校は5+10+15+10+5=45分。中学校は最後の共有を5分延ばして50分です。
- 5分:前回の結果と問いを振り返る
- 10分:変える条件を一つ決めて予想する
- 15分:発展実験を行い、前回と同じ形で結果を記録する
- 10分:図や数値を並べ、理由と限界を考える
- 5分:共有し、次の問いを一つ書く(中学校は10分)
両方のコマで振り返りを省かず、初回のモデル取得や端末配布が授業中に必要なら活動時間を調整してください。
🛠 よくあるトラブル
- カメラが使えない:M1はアップロードで代替(画像を事前配布)。M4はデモ音で代替。
- 学習が遅い:低スペック端末は学習回数を減らす/サンプルを減らす。M2はGPUがある端末で高速。
- M7のカメラが起動しない:HTTPS または localhost で開いているか、ブラウザのカメラ許可、他アプリでのカメラ使用を確認してください。
- 進捗が消えた:シークレットモードは保存されないことがあります。通常ウィンドウで利用してください。
- 端末を渡す前に:「設定 → 進捗・ノートをリセット」で初期化。
📚 根拠・参考(2026-08-25 時点)
- 中央教育審議会 特別部会 素案(2026-07-08):中学「情報・技術科(仮称)」最大週2コマ(1・2年 年間約70コマ)。AIを使ったアプリ開発、AIのリスク・個人情報の扱いを学ぶ。
- 文科省「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン(Ver.2.0)」(2024-12-26)。
- 文科省「情報モラル教育ポータルサイト」(AIディープフェイク・フェイクニュース対応)。