研究内容
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 2000年4月に本校に着任以来,一貫して鋼・コンクリート複合構造部材の終局強度の研究を遂行してきました。 現在までの当研究室の研究内容を以下に紹介します。随時更新いたします。

キーワード:鋼・コンクリート複合構造,コンクリート充填鋼管構造,軽量化,シアコネクタ

中空式二重鋼管・コンクリート合成部材の終局強度

 中空式二重鋼管・コンクリート合成構造(Concrete Filled Double Skin Steel Tubular Structures, 以下, CFDSTとする)とは,二つの径(幅)の異なる円形鋼管(Circular Hollow Section, CHS)または 角形鋼管(Square Hollow Section, SHS)を同心円上に配置し,両鋼管の間のみにコンクリートを充填し たものである(図-1参照)。これにより,従来のコンクリート充填鋼管構造( Concrete Filled Steel Tubular Structures ,以下CFTとする) と比較して軽量となる利点を有する。

 本研究では,内外円鋼管(CC-CFDST),外円鋼管,内角形鋼管(CS-CFDST) ならびに 内外角形鋼管(SS-CFDST)の終局強度に及ぼす影響について,主に実験を中心とした 力学特性の把握を目的としている。特に, CFDSTの特有のパラメータ ーである内径・外径比(Di / Do), 内鋼管幅・外鋼管幅比(Bi / Bo), 径厚比(Do /to), 幅厚比(Bo /to) が終局強度特性に与える影響について解明することを目的としている。

CFDST断面
図-1 CFTとCFDST断面

コンクリート充填楕円鋼管部材の終局強度

 コンクリート充填楕円鋼管(Concrete Filled Elliptical/oval Steel Tubular,CFEST, Concrete-filled EHS)部材とは,楕円鋼管にコン クリートを充填した鋼管部材のことであり,CFT部材の一種である。長径(2a), 短径(2b)の2種類の直径を持つ楕円鋼管は,長径を大きくしても短径方向でのコ ンファインド効果が大きく期待できるとともに,河川 内の橋脚に用いれば,洗掘の問題も軽減できると考えられる。

 本研究では,橋脚への適用のための比較的大きな径厚比を有するCFEST部材の力学特性 の把握を目的とした実験的検討を行う。ここでは,径厚比(2a/t)と直径比 (a/b)が様々な力学挙動に与える影響について明らかにすることを目的とする。なお, 図-2には中心圧縮実験後のCFESTの破壊状況を示す。

 

破壊(中心圧縮実験)
図-2 CFESTの破壊(中心圧縮実験)

軽量化した鋼・コンクリート合成床版の実構造物への適用に関する研究

 本研究では,従来の鋼・コンクリート合成床版(以下,合成床版とする)と比較して軽量となる軽量合成床版を開発し, その曲げせん断特性,付着せん断特性,押し抜きせん断特性の定量的把握を行う。具体的には, 軽量化をもたらすためのチャンネル,半円鋼管を底鋼板に溶接し,コンクリートを打設すると, チャンネル,あるいは半円鋼管の内部が空洞となるために,従来の合成床版と比較して軽量となる 利点を有する。また,シアコネクタ内部に通水すれば,床版内部の温度を上昇,または下降させる こともありうる。

 そこで,本研究ではチャンネル(Channel Shear Connector, CSC),または半円鋼管(Half Pipe Shear Connector, HPSC) という中空ジベルのせん断特性の把握を押抜き試験法(図-3)により実施し,CSCのウェブの厚さ(t),および HPSCの逆径厚比(t/D)が付着せん断特性に与える影響を調査し,軽量合成床版の実用化を目的とした データの蓄積を行っている。

 

押抜き試験
図-3 HPSCの押抜き試験

軽量骨材コンクリート充填鋼管部材の終局強度

 軽量骨材コンクリートとは,骨材を軽量化させたものであり,粗骨材のみを軽量化したものを 軽量コンクリート1種(LC1),粗骨材,および細骨材を軽量化したものを軽量コンクリート2種(LC2) と呼ぶ。しかし,LCは普通コンクリート(NC)と比較してせん断強度,ヤング係数が低下するとされている。

 本研究では,LCを充填した軽量コンクリート充填鋼管部材の終局強度特性の把握について実験的に検討 することを目的としている。

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