4.2 出力波形に含まれる高調波の時間周波数解析

 次に、図4.2.1のような二次側PWM制御高周波ACリンクDC-ACコンバーターを用いて出力波形に含まれる高調波についてウェーブレット変換を用いて解析した。



 まず図4.2.2の波形は初期に製作したDC-ACコンバータの出力波形である。実測波形からゼロクロス付近に大きな歪みを確認することができる。また、フーリエ波形から20kHzと1〜3kHz付近の周波数成分が高くなっていることが分かる。20kHzはサイクロコンバータの動作周波数と特定することができるが、この結果からだけでは、1〜3kHz付近の高調波はおそらくゼロクロス付近で生じたものであろうという推測しかできない。そこでこの波形をウェーブレット変換した。ウェーブレット波形を見てみるとゼロクロス付近で1〜3kHzの高調波が発生していることがはっきりと確認することができる。また、ウェーブレット波形から2,11,18msの近傍でサイクロコンバータの動作周波数である20kHzの周波数がとぎれていることがはっきりと確認できる。これはゼロクロス付近でサイクロコンバータが十分に制御されず、動作が停止してしまっていると考えられる。以上のことから、この歪みは回路の動作上の問題ではなく、制御系の問題であると断定できる。



 そこで、回路はそのままで制御系のみの改良を行うことにした。その結果、図4.2.3のようにゼロクロス付近で歪みのないきれいな波形となった。ウェーブレット波形を見てみても20kHzの周波数もとぎれることなく発生していることがわかる。すなわち、これは、制御系の改良を行ったことにより、ゼロクロス付近でもサイクロコンバーターが良好に動作できるようになったことを示している。よってウェーブレット変換を用いることにより的確な問題解決がなされたと言える。



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