2.太陽電池のモデル化
現在、電力系統システムの解析ソフトとして、ATPやEMTP、EMTDCなどの過渡シミュレーションツールが広く用いられている。本研究では解析ソフトとして、TACS、MODELSなどによって制御装置の組み込みも可能なATPを用いる。通常のシミュレーション解析を行う場合、ソフトに備えられている電圧源、電流源を駆使して解析を行う。しかし、太陽光発電システムのシミュレーション解析を行う場合、太陽電池はそれ自身が固有の電圧−電流特性を持つため、そのシステムを電圧源や電流源のみだけで詳細に表現することは不可能である。従って、解析を行うためには太陽電池固有の特性を考慮したモデル化が必要となる。
本研究では、理想P-N接合太陽電池の電圧−電流非線形型特性方程式により、式(1)に示すような太陽電池の出力を決める重要なファクタの1つである表面温度を考慮したモデルを提案する。
ただし式中の、Id=太陽電池の電流、k2=日射量、Isc=短絡電流、Ios=飽和電流、k1=電圧バランス、β=太陽電池の表面温度バランス、Ed=太陽電池の電圧を示す。太陽電池をモデル化した式(1)より計算した電圧−電流特性を図1に、電圧−電力特性を図2に示す。これよりATPでシミュレーションを行うのに必要な太陽電池を構成することが可能となる。
図1 太陽電池の電圧−電流特性
図2 太陽電池の電圧−電力特性