1.はじめに

 近年のエネルギー利用に関し、環境汚染やエネルギー枯渇の問題などが危惧されている。これを解決するため、太陽電池などのクリーンエネルギーの利用が積極的に行われている。しかし実際に利用する場合、太陽電池は天候条件、接続される負荷状態によりその出力電圧が大きく変動するため、負荷とのインターフェースになるインバータによって、最大電力追従制御とシステムの安定性向上を両立させることが必要となる。現在までにこれらを目的とした様々な制御方式が提案されているが、提案方式の有効性を確認するためには、同一の天候条件と負荷状態で特性比較を行う事が必要となる。実際にこれらを実験によって評価しようとすれば、同一規格の装置が複数台必要となり、経済的負担が増大する。
 そこで本研究では、天候条件の実データと太陽電池の電圧−電流特性方程式を用いて行う太陽光発電システムの新たなシミュレーション方法を提案する。ここでシミュレーション解析ソフトにはATPを用いる。次に、太陽光発電システムにDC/DCコンバータを用いて制御を行い、最大電力追従制御を実施する。制御方式として、従来から用いられている山登り制御方式と一定電圧制御方式、本研究で提案する基準電圧制御方式について解析を行う。これらの解析の結果により、提案する実データを用いたシミュレーション解析法の妥当性について検討する。また基準電圧制御方式が従来制御方式の問題点である日射量の突然の変動において発生する追従失敗の危険性が減少することを確認し、提案制御方式が太陽光発電システムの制御方法として有効であることを報告する。



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