山本研究室:山本高久

研究について

研究テーマ

近年の技術革新は、例えば電気モーターとエンジンとをカップリングしたハイブリッドカーや長距離を低燃費で飛行可能な旅客機、また、超高機能な携帯電話など、様々な分野で大きな成果を上げつつあります。
このような技術革新は医療の現場にも及んでおり、CTやMRIをはじめとした医用画像技術の登場と急速な発展のおかげで、低侵襲、つまり人の身体を切り開くことなく体内の極めて詳細な情報を得ることが可能となってきています。
このような体内の極めて詳細な情報をもとにし、機械工学の分野から医療に貢献することができないか?というのが私の研究テーマとなっています。

現在は身体の中の解析として、「鼻腔空間内における薬液エアロゾルの輸送ダイナミクスに関する研究」を行っています。
耳鼻咽喉科に行った方は知っているかと思いますが、薬液をミスト化して鼻腔内に導入し、薬液を直接炎症幹部に沈着させるネビュライザー治療が広く行われています。この治療効果は認められているものの、薬液ミストがどのように鼻腔内を輸送され、また、炎症幹部に沈着されるのかは定量的に明らかにされていません。そこで本研究ではComputational Fluid Dynamics(略称、CFD. 数値流体力学の意味)を鼻腔内に適用して、薬液ミストの輸送の数値解析を行っています。

頭部3次元形状モデル
<図1>拡大表示
鼻腔内における薬液ミストの輸送特性
<図2>拡大表示

<図1>は研究の過程で作成した頭部3次元形状モデルです。実はこのモデルのもととなっているCTデータは私自身です。私の場合、左側の鼻腔に副鼻腔炎を患っていることから、解析対象の一症例として取り上げました。
このように作成した形状モデルに対しCFD解析を行い、鼻腔内における薬液ミストの輸送特性を明らかにしたのが、<図2>です。
この解析はあくまで一症例(私)の結果ですが、鼻腔の形状は人それぞれで異なり、また、病気の発症やその程度も異なっています。このような解析を例えば両鼻腔に副鼻腔炎を患っている方について、また、鼻腔が左右片方に曲がっている鼻中隔彎曲症の方について解析を行うことにより、患者個々の薬液ミストの輸送特性データを蓄積し、ひいてはネビュライザー治療の治療効果の向上に貢献できると考えています。

このほか、このCFD技術を用いて工業用燃焼炉の燃焼解析<図3:噴流火炎の解析結果と実験結果との比較>や、原子炉内の熱流動解析<図4:次世代原子炉内の温度、中性子束分布>などの研究も並行して行っています。

昨年度の研究テーマ

卒研生の進路

昨年度
本学専攻科/大分大学
本年度(来年3月の卒業予定の学生)
シャープ/三菱重工/福井大学