4.むすび
以上本報告では、高効率でかつ数十kw級に対応可能な2次側PWM制御を用いた高周波リンクDC-DCコンバータの動作原理と特徴をシミュレーション結果及び試作実験によって明らかにした。その結果、従来の位相シフト制御DC-DCコンバータの問題点であった循環電流の除去と補助インダクタ電流の大幅な低減がなされることが確認された。また、2次側PWM制御方式と従来方式との特性比較をシミュレーションにより行った。この結果、2次側PWM制御方式は従来方式に比べてパワーデバイスが2つ増加するにも関わらず、導通損失が出力電圧150V制御時で約94%、出力電圧120V制御時で約77%に低減されることが確認された。また、試作実験において出力電力500kw制御時、電力変換効率約93%が得られた。このことから、2次側PWM制御DC-DCコンバータは、効率の向上に効果的な回路トポロジー及び制御方法であるといえる。2次側PWM制御DC-DCコンバータはゼロ電圧転流時に1次側と2次側が切り離される単独環流期間となるため、負荷の影響を全く受けなくなる。このためすべてのPWM制御範囲において常にソフトスイッチング動作が可能となる。これは、他のDC-DCコンバータにはない大きな特徴である。