2-2 2次側PWM制御の特徴と動作

 2次側PWM制御を用いた高周波ACリンクDC-DCコンバータの回路図とそのスイッチングシーケンスを図4,図5に示す。

 回路は、2次側ダイオード整流回路内に新たに2つのパワーデバイスS5,S6を挿入した構成となる。図中のLs1,Ls2は高周波トランスの漏れインダクタンスである。図5に示すように、2次側PWM制御では、従来方式とは異なり高周波インバータのアーム間には位相差を与えず高周波インバータを方形波発振器として動作させ、これに同期させた2次側のパワーデバイスとの間に位相差を与えることにより出力電圧の制御を行う。2次側PWM制御の特徴は、1次側から2次側へと電力を供給しない環流期間に2次側スイッチのS5,S6が共にオフとなり、1次側から見て2次側が開放された状態と等しくなることである。このとき、高周波トランスに流れる電流はその励磁電流となるため、事実上極めて小さい。また、2次側ではD7,D8がオンとなり、高周波トランスを介さず2次側回路のみで環流するため、1次側には循環電流を生じなくなる。(以降、本報告では、この状態を単独環流期間と称す)

 この結果、従来制御方式では2次側ダイオード整流回路に起因する循環電流などにより導通損失が増加するといった問題を生じていたが、2次側PWM制御を適用すると他の補助回路等を接続することなくすべてのパワーデバイスのソフトスイッチング動作が確実に実現され、循環電流も除去でき、1次側への負荷の影響も生じなくなる。  この結果、スイッチング損失や固定損失、導通損失の低減がなされ、従来の制御方式で生じていた問題点を効果的に解決できるようになる。



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