| 科 目 | 有機化学Ⅲ ( Organic Chemistry III ) | |||
|---|---|---|---|---|
| 担当教員 | [前期] 大淵 真一 非常勤講師, [後期] 小泉 拓也 教授 | |||
| 対象学年等 | 応用化学科・4年・通年・必修・2単位【講義】 ( 学修単位III ) | |||
| 学習・教育 目標 |
A4-C1(100%) | |||
| 授業の概要 と方針 |
赤外吸収(IR)スペクトル,核磁気共鳴(NMR)スペクトル,質量分析(MS)スペクトルについて,その原理とスペクトル解析法を解説し,演習問題を解かせることにより理解させる.アミンや複素環化合物の命名法,構造,合成法,反応性などについて解説する.有機化合物の構造や酸と塩基の概念および置換基効果や共鳴理論を解説する. | |||
| 到 達 目 標 |
1 | 【A4-C1】 IR,NMRの原理が理解できる.IR,NMRスペクトルから構造既知有機化合物の解析ができる.IR,NMRスペクトルから構造未知有機化合物の解析ができる. | 2 | 【A4-C1】 アミンの命名法,反応について理解できる. | 3 | 【A4-C1】 MSの原理が理解できる.MSスペクトルから構造既知有機化合物の解析ができる.MSスペクトルから構造未知有機化合物の解析ができる. | 4 | 【A4-C1】 IR,NMR,MSスペクトルから構造未知有機化合物の解析ができる. | 5 | 【A4-C1】 IR,NMR,MSスペクトル解析の演習問題解答を発表できる. | 6 | 【A4-C1】 複素環化合物の命名法,反応について理解できる. | 7 | 【A4-C1】 有機化合物の構造や酸と塩基の概念について理解でき,また有機化学反応を考える上で重要かつ基本的な事項である置換基効果や共鳴理論が理解できる. | 8 | 9 | 10 |
| 評 価 方 法 と 基 準 |
到 達 目 標 毎 |
1 | IR,NMRの原理が理解できたか,IR,NMRスペクトルから構造既知有機化合物の解析ができるか,IR,NMRスペクトルから構造未知有機化合物の解析ができるかを前期レポートおよび前期中間試験で評価する. | |
| 2 | アミンの命名法および反応理論を理解し,それらの構造,反応を化学式や文章を用いて説明できるかを前期レポートおよび前期中間試験で評価する. | |||
| 3 | MSの原理が理解できたか,MSスペクトルから構造既知有機化合物の解析ができるか,MSスペクトルから構造未知有機化合物の解析ができるかを前期レポートおよび前期定期試験で評価する. | |||
| 4 | IR,NMR,MSスペクトルから構造未知有機化合物の解析ができるかを前期小テスト,前期レポートおよび前期定期試験で評価する. | |||
| 5 | 前期プレゼンテーションの資料,内容により評価する. | |||
| 6 | 複素環化合物の命名法および反応理論を理解し,それらの構造,反応を化学式や文章を用いて説明できるかを後期小テスト,後期レポートおよび後期中間試験で評価する. | |||
| 7 | 有機化合物の構造や酸と塩基の概念,置換基効果や共鳴理論を理解し,化学式などを用いて説明できるかを後期小テスト,後期レポート,後期中間試験および後期定期試験で評価する. | |||
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| 総 合 評 価 |
前期は到達目標1-3の試験70%,レポート10%,到達目標4の小テスト10%,到達目標5の発表10%で,後期は到達目標6, 7を試験80%,レポート10%,小テスト10%で評価する.総合評価は前後期の平均点とする.100点満点で60点以上を合格とする. | |||
| テキスト | 「基礎からわかる機器分析」:加藤正直・内山一美・鈴木秋弘 共著(森北出版) 「ハート基礎有機化学 三訂版」:H. Hart・L. E. Craine et al. 共著・秋葉欣哉ら 共訳(培風館) 「基礎有機化学演習」:吉原正邦・神川忠雄 共著(三共出版) |
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| 参考書 | 「有機化合物のスペクトルによる同定法(第8版)」:R. M. Silverstein・F. X. Webster et al. 共著・ 岩澤伸治ら 共訳(東京化学同人) 「化合物命名法-IUPAC勧告に準拠- 第2版」日本化学会命名法専門委員会 編(東京化学同人) 「マクマリー有機化学(上中下)第9版」:J. McMurry 著・伊東椒・石井三明ら 共訳(東京化学同人) 「ボルハルト・ショアー現代有機化学 第8版(上下)」:K. P. C. Vollhardt・N. E. Schore 共著・古賀憲司ら 共訳(化学同人) 「モリソン・ボイド有機化学 (上中下)第6版」:R. T. Morrison・R. N. Boyd 共著・中西香爾ら 共訳(東京化学同人) |
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| 関連科目 | C2 有機化学I, C3 有機化学II, C3 分析化学II, C4 応用化学実験III | |||
| 履修上の 注意事項 |
上記科目を十分に理解して履修することが望ましい.また,自己学習のために与えられたレポートの提出を求める.ただし,原則として,未提出レポートがあった場合は不合格とする. | |||
| 週 | 上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など) |
|---|---|
| 1 | 有機化合物の構造とスペクトル |
| 有機化合物は種々の波長の電磁波を吸収し,構造に特有な吸収スペクトルを示すことを解説する. | |
| 2 | IRの原理と解析法,IRの解析演習 |
| IRスペクトルの原理と解析法について解説する.構造既知化合物のIRスペクトルから官能基を特定する演習を解かせる. | |
| 3 | NMRの原理 |
| NMRの原理,1H NMRの原理(化学シフト,カップリング定数,吸収線面積)について解説する. | |
| 4 | NMRの解析法 |
| 13C NMRの原理(化学シフト)について解説する.1H NMR,13C NMRの具体的なデータ解析について解説する. | |
| 5 | NMRの解析演習 |
| 構造既知化合物および構造未知化合物の演習問題を解かせる. | |
| 6 | アミン (1) |
| アミンの構造と命名,物理的性質について解説する. | |
| 7 | アミン (2) |
| アミンの化学的性質,反応について解説する. | |
| 8 | 中間試験 |
| 1週目から7週目までの内容で中間試験を行う. | |
| 9 | 中間試験の解答,MSの原理 |
| 中間試験の解答を解説する.MSスペクトルの原理を解説する.フラグメントイオン,分子イオンピーク,同位体ピークについて解説する. | |
| 10 | MSの解析演習 (1) |
| 構造既知化合物のMSスペクトルから,フラグメントイオンの構造を同定する演習を解かせる. | |
| 11 | MSの解析演習 (2) |
| 構造既知化合物のMSスペクトルから,フラグメントイオンの構造を同定する演習を解かせる. | |
| 12 | IR,NMR,MSの総合解析法 (1) |
| 構造未知化合物の各スペクトルから構造決定する方法を解説し,その演習問題を解かせる. | |
| 13 | IR,NMR,MSの総合解析法 (2) |
| 構造未知化合物の各スペクトルから構造決定する演習問題を解かせる. | |
| 14 | IR,NMR,MSの総合演習 (1) |
| 構造未知化合物の各スペクトルから構造決定する演習問題の解答を学生が発表する. | |
| 15 | IR,NMR,MSの総合演習 (2) |
| 構造未知化合物の各スペクトルから構造決定する演習問題の解答を学生が発表する. | |
| 16 | 複素環式化合物 (1) |
| ピリジンの構造と物性(ピリジンの塩基性,ピリジニウム塩)について解説する. | |
| 17 | 複素環式化合物 (2) |
| ピリジンにおける求電子置換反応,ピリジンにおける求核置換反応,ピリジン誘導体の構造と命名について解説する. | |
| 18 | 複素環式化合物 (3) |
| 多環式複素環化合物であるキノリン,イソキノリンの構造と命名,キノリンの求電子置換反応について解説する. | |
| 19 | 複素環式化合物 (4) |
| その他の 6 員環複素環化合物 (ジアジン系化合物,ピリリウムイオン)の構造と命名,5 員環複素環化合物 (フラン,ピロール,チオフェン)の構造と命名について解説する. | |
| 20 | 複素環式化合物 (5) |
| 5 員環複素環化合物 (フラン,ピロール,チオフェン) における求電子置換反応について解説する. | |
| 21 | 複素環式化合物 (6),異性体 (1) |
| その他の5 員環複素環化合物 (アゾール類,インドール,プリン) の構造と命名について解説する.有機化合物の構造異性,位置異性,官能基異性について解説する. | |
| 22 | 異性体 (2) |
| 有機化合物の互変異性,回転異性,シクロアルカンの構造とジアステレオ異性について解説する. | |
| 23 | 中間試験 |
| 16週目から22週目までの内容で中間試験を行う. | |
| 24 | 中間試験解説,異性体 (3) |
| 中間試験の解答を解説する.光学異性およびR-S表示法について解説する. | |
| 25 | 異性体 (4) |
| 軸不斉化合物のR-S表示法および二重結合化合物のE-Z表示法について解説する. | |
| 26 | 異性体 (5) |
| メソ化合物とジアステレオマーについて解説する.例題や章末問題などの演習問題の解説を行う. | |
| 27 | 共鳴 |
| 共鳴理論,共鳴が起こる条件,共鳴極限構造式を書くときの注意および共鳴極限構造式から何がわかるかについて解説する. | |
| 28 | 誘起効果と共鳴効果 |
| 誘起効果と共鳴効果の違い,超共役およびHückel則について解説する. | |
| 29 | 酸と塩基 (1) |
| 酸と塩基の定義 (Brønsted–Lowry および Lewis の定義),酸の強さを支配する因子について解説する. | |
| 30 | 酸と塩基 (2) |
| 塩基の強さを支配する因子について解説する.例題や章末問題など,酸と塩基に関連する演習問題の解説を行う. | |
| 備 考 |
前期,後期ともに中間試験および定期試験を実施する. 本科目の修得には,60 時間の授業の受講と 30 時間の事前・事後の自己学習が必要である. |