【 2024 年度 授業概要】
科   目 橋梁工学 ( Bridge Engineering )
担当教員 伊原 茂 教授 【実務経験者担当科目】
対象学年等 都市工学科・4年・前期・必修・2単位【講義】 ( 学修単位II )
学習・
教育目標
A4-S2(100%)
JABEE
基準1(1)
(d),(g)
授業の概要
と方針
 橋は人々の生活を支える重要な社会基盤構造物の一つです.橋梁を設計するには,3年次までに学んだ構造力学を基礎にして作用荷重を仮定し,材料を選択し,具体的な寸法を決めて,強度的に問題がないことを照査するという設計の一連の流れを理解することが大切です.本授業では,担当教員の橋梁の建設・改築・更新に関する実務経験を踏まえて,橋梁の設計方法について教授する.



1 【A4-S2】 橋梁を構成する各種部材に関わる基本的な用語が説明できる.
2 【A4-S2】 橋梁の分類と形式およびその力学的な特徴を説明できる.
3 【A4-S2】 設計荷重の種類とそれらがどのように決められているかを説明できる.
4 【A4-S2】 限界状態設計法,部材の強度評価方法,及び,鋼材の許容応力度について説明できる.
5 【A4-S2】 高力ボルト接合と溶接接合の種類を説明できる.
6 【A4-S2】 鉄筋コンクリート床版の応力照査ができる.
7 【A4-S2】 プレートガーダー橋の主桁断面設計の流れを説明できる.
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1 支間,橋長,桁長,径間や幅員といった用語が理解できているか中間試験で評価する.
2 鋼桁橋,トラス橋,アーチ橋,吊橋や斜張橋などの分類と,その力学的な原理が理解できているかを中間試験で評価する.
3 材料の単位体積重量,自動車荷重のモデル化,地震や温度変化などの影響の考慮方法が理解できているかレポートと中間試験で評価する.
4 各種構造用鋼材の力学的特性,許容応力と安全率,及び,限界状態設計法の考え方が理解できているかレポートと中間試験で評価する.
5 摩擦接合型高力ボルトのメカニズム,ボルト本数の決め方,耐力照査方法,ならびに,鋼板の溶接接合の種類,寸法の決め方,応力照査方法が理解できているかをレポート,中間試験,定期試験で評価する.
6 床版の役割,鉄筋コンクリート(RC)床版と鋼床版の構造,および,RC床版の応力照査方法が理解できているかをレポートと定期試験で評価する.
7 I桁に作用する荷重強度の算出,影響線を用いた断面力の算定,そして応力照査の方法が理解できているかについて,非合成のプレートガーダー橋のレポートと定期試験で評価する.
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成績は,試験80% レポート20% として評価する.試験80%の内訳は,中間試験40%,定期試験40%とする.100点中60点以上を合格とする.
テキスト 中井 博・北田俊行著: 新編 橋梁工学,共立出版
参考書 中井 博,事口壽男他著: 例題で学ぶ橋梁工学, 第2版,共立出版
関連科目 構造力学I,構造力学II,構造力学III,施工管理学,維持管理工学,応用構造工学I,応用構造工学II,
履修上の
注意事項
1)1回の授業につき約2時間の授業時間外学習が必要.2)期限内に提出されなかった課題は0点の評価.3)授業開始5分前には受講準備を整えること.4)授業中のスマホ・携帯等の取り扱いは試験時と同様とする.

【授業計画( 橋梁工学 )】
上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など)
1 橋梁工学概論
橋梁工学の講義の進め方に関するガイダンスを行い,橋梁をはじめとする様々な構造物を設計する上で構造力学を理解しておくことの重要性について説明する.続いて,橋梁の生涯に関して説明し,今後,我が国では,既設橋の適切な維持管理による長寿命化が重要な課題であることを述べる.
2 橋梁の分類と構成
橋梁の利用目的による分類,使用材料,平面形状,通行位置や可動・固定などによる分類法について解説する.また,橋梁の寸法と構成を表す用語である支間,径間,桁長や幅員などの定義,ならびに,橋梁を構成する床版,主桁や横桁といった部材の定義とその力学的な役割について解説する.
3 橋梁に作用する荷重
橋を設計するときにどんな外力を考慮する必要があるかを考える.死荷重,活荷重の種類,衝撃,地震・温度変化等の考え方と道路橋示方書の規定について講義する.
4 許容応力度設計法と限界状態設計法について 
平成30年4月から導入された鋼橋の限界状態状態設計法について概説する.従来の許容応力度設計法は既存橋梁の維持管理の際に必要になる.2つの設計法の違いを説明し,橋の設計法の変遷について講義する.
5 構造用鋼材の種類と機械的性質について
許容応力度設計法に用いられる安全率という概念と許容応力度について講義する.柱の座屈,I桁の横倒れ座屈他,許容応力度を算定するときに考慮されている座屈現象について解説する.
6 橋梁に使用する材料とその許容応力度
材料に作用する応力が低くとも,それが繰り返し作用することにより,疲労破壊の現象が起こる.自動車等の活荷重が作用する橋梁の設計において,疲労による強度低下をどのように考慮しているかを講義する.
7 高力ボルト接合
摩擦接合型の高力ボルト接合の原理について講義し,高力ボルトで鋼板をどのように接合するかを解説する.作用外力に対して,高力ボルトの所要本数を求め,耐力照査する演習を行う.
8 中間試験
1回〜7回までの講義内容に関する試験を実施する.
9 中間試験の解答・解説および溶接接合
中間試験の解説を行う.また,鋼板を溶接で接合する方法について講義する.溶接の原理と継手の種類について解説する.作用外力に対して溶接寸法を決めて,応力照査する演習を行う.
10 橋梁の床版
一般の橋梁で用いられる鉄筋コンクリート床版(RC床版)と長大橋で採用される鋼床版について講義する.
11 プレートガーダー橋の設計(1)
プレートガーダー橋として I 桁橋を取り上げ,断面設計の流れについて講義する.主桁に作用する荷重の求め方,断面力の求め方について解説する.
12 プレートガーダー橋の設計(2)
11週に引き続いて,フランジ・プレ−トと腹板の寸法決定で考慮すべき事項(幅厚比制限),水平補剛材の役割,応力照査の種類について講義する.橋梁用語について小テストを実施する.
13 プレートガーダー橋の設計(3)
12週までの授業で勉強した事項を踏まえて,以下の内容で設計の流れが理解できるように総合演習を行う.1)床版厚の決定,2)主桁に作用する死荷重強度の算出,3)着目点の断面力(M,S)の算出,4)断面(桁高,腹板厚,フランジ・プレ−ト寸法)の決定,5)応力照査
14 プレートガーダー橋の設計(4)
13週に引き続いて総合演習を行う.
15 プレートガーダー橋の設計(5)
プレートガーダー橋の設計についてのまとめを行う.


前期中間試験および前期定期試験を実施する. 本科目の修得には,30 時間の授業の受講と 60 時間の事前・事後の自己学習が必要である.事前学習では,次回の授業範囲について教科書を読み,各自で理解できないところを整理しておくこと.事後学習では,授業最後に課題を配付するので,指定期日までにレポートを提出すること.