【 2024 年度 授業概要】
科   目 コンクリート工学T ( Concrete Engineering I )
担当教員 水越 睦視 教授
対象学年等 都市工学科・3年・通年・必修・2単位【講義】 ( 学修単位I )
学習・教育
目標
A4-S1(70%), A4-S2(10%), A4-S3(10%), A4-S4(10%)
授業の概要
と方針
鉄筋コンクリート(RC)構造物の設計方法の基礎を学ぶ.曲げを受けるRC梁部材の挙動について,(1)曲げひび割れ発生前,(2)曲げひび割れ発生から降伏まで,(3)終局状態に区分して説明する.また,実験実習の載荷試験とも連携させ,梁部材のせん断破壊と曲げ破壊の違いを説明する.以上より,使用状態のコンクリート応力,鉄筋応力,曲げ耐力,せん断耐力の計算方法を習得させる.また,一様な圧縮力を受けるRC柱部材の挙動についても学ぶ.



1 【A4-S1】 RC構造の特徴と挙動について説明でき,曲げを受ける梁部材の使用状態におけるコンクリート応力,鉄筋応力,降伏耐力,曲げ耐力を計算することができる.
2 【A4-S3】 鉄筋のかぶりと耐久性,鉄筋の配置と施工性の関係について説明できる.
3 【A4-S2】 せん断破壊の特徴やその補強鉄筋の役割を説明でき,せん断耐力を計算することができる.
4 【A4-S4】 柱部材の特徴について説明でき,軸方向耐力を計算することができる.
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1 RC構造の特徴と挙動について説明でき,曲げを受ける梁部材の使用状態におけるコンクリート応力,鉄筋応力については前期中間試験とレポートで,曲げ耐力については前期定期試験とレポートで評価する.
2 鉄筋のかぶりと耐久性の関係,鉄筋の配置と施工性の関係についてレポートで評価する.
3 せん断破壊の特徴やその補強鉄筋の役割を説明でき,せん断耐力を計算できているかを後期中間試験,レポートで評価する.
4 部材断面の軸方向耐力を計算できるか後期定期試験,レポートで評価する.
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成績は,試験70% レポート30% として評価する.試験70%の内訳は中間試験50%,定期試験50%とする.前期と後期の内訳は50%ずつとする.総合評価は100点満点で60点以上を合格とする.
テキスト 「コンクリート構造の基礎〔改定第2版〕」:二羽淳一郎(コロナ社)
参考書 「大学土木 鉄筋コンクリ−ト工学」:町田篤彦 編(オーム社)
「コンクリート構造学」:小林和夫,宮川豊章 他(森北出版)
関連科目 材料学(S2),構造力学I(S2),構造力学II(S3),都市工学実験実習(S3),コンクリート工学II(S4)
履修上の
注意事項
 

【授業計画( コンクリート工学T )】
上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など)
1 ガイダンス,鉄筋コンクリート(RC)構造の特徴と基本
受講のポイントを理解する.RC構造の特徴と基本3条件を理解する.また,コンクリート構造の種類を理解する.
2 設計方法の概念,鉄筋の構造細目が耐久性と施工性に及ぼす影響
RCの設計概念を,限界状態設計法,許容応力度設計法の設計フローの比較と照査方法の観点から,設計法の概要を理解する.また,鉄筋のかぶりと耐久性(中性化,塩害など)の関係,鉄筋の配置と施工性の関係について理解する.
3 曲げを受けるRC梁の挙動
曲げを受けるRC梁の全体挙動をたわみと曲げひび割れの進展状況とを対応付けながら説明できるようになる.
4 曲げを受けるRC梁の曲げひび割れ発生荷重
曲げひび割れ発生のメカニズムと断面の応力分布を理解し,曲げひび割れ発生荷重の計算方法を理解する.
5 曲げを受ける単鉄筋RC矩形梁の応力度(1)
単鉄筋RC矩形梁のコンクリートと鉄筋が弾性状態にある使用状態における中立軸深さ,コンクリートの応力度,鉄筋の応力度を断面の力の釣合を考えて計算する方法を理解する.また,降伏荷重を算定できるようになる.
6 曲げを受ける単鉄筋RC矩形梁の応力度(2)
単鉄筋RC矩形梁のコンクリートと鉄筋が弾性状態にある使用状態における中立軸深さ,コンクリートの応力度,鉄筋の応力度を換算断面を考えて計算する方法を理解する.
7 曲げを受ける単鉄筋RC矩形梁の応力度算定に関する演習
曲げを受ける単鉄筋RC矩形梁の応力度の算定に関する計算演習を行い,理解を深める.
8 前期中間試験
1から7週目までの範囲から出題する.
9 前期中間試験の解答・解説と1から7週目までの復習
前期中間試験の解答・解説を行う.1から7週目までの専門用語およびRC弾性計算の方法を復習し,再確認する.
10 単鉄筋RC矩形梁の曲げ耐力算定の基本およびRC梁の鉄筋比と曲げ破壊形態
終局状態における断面の応力分布を理解し,等価応力ブロックの理論を学び理解する.また,釣合鉄筋比の意味を理解し,式を誘導できるようになる.RC梁の曲げ破壊形態を学び,鉄筋比と釣合鉄筋比から曲げ引張破壊となるか曲げ圧縮破壊となるかを判断することができるようになる.
11 単鉄筋RC矩形梁の曲げ引張破壊時の曲げ耐力
単鉄筋RC矩形断面が曲げ引張破壊する場合の曲げ耐力の計算方法を理解する.
12 単鉄筋RC矩形梁の曲げ圧縮破壊時の曲げ耐力
単鉄筋RC矩形梁が曲げ圧縮破壊する場合の曲げ耐力の計算方法を理解する.
13 単鉄筋RC矩形梁の曲げ耐力の算定に関する演習
単鉄筋RC矩形梁の曲げ耐力の算定に関する計算演習を行い,理解を深める.
14 複鉄筋RC矩形梁の曲げ引張破壊時の曲げ耐力
複鉄筋RC矩形断面が曲げ引張破壊する場合の曲げ耐力の計算方法を理解する.
15 複鉄筋RC矩形梁の曲げ耐力の算定に関する演習
複鉄筋RC矩形梁の曲げ耐力の算定に関する計算演習を行い,理解を深める.
16 前期定期試験の解答・解説およびRC梁のせん断破壊のメカニズム
前期定期試験の解答・解説を行う.また,せん断を受けるRC梁のひび割れ発生状況と応力状態を理解する.また,せん断破壊の特徴,せん断ひび割れの種類,せん断スパン長とせん断破壊形態について理解する.
17 せん断力を受けるRC梁のせん断力分担のメカニズム
RC梁にせん断力が作用した場合,どのような成分でせん断力に抵抗しているかを学び,その分担メカニズムを理解する.
18 せん断補強鉄筋が配置されていない場合のRC梁のせん断耐力
せん断補強鉄筋(スターラップ)が配置されていない場合のRC梁のせん断耐力(斜め引張破壊耐力)の算定方法を理解する.
19 せん断補強鉄筋が配置されている場合のRC梁のせん断耐力
せん断ひび割れ発生後のせん断補強鉄筋(スターラップ)が配置されている場合の耐荷機構とトラス理論について学び理解する.また,修正トラス理論を学び,適切なせん断補強鉄筋(スターラップ)の配置間隔やせん断補強鉄筋径を決定することができるようになる.
20 せん断破壊と曲げ破壊の判定
RC梁の曲げ耐力とせん断耐力(斜め引張破壊耐力)を算定し,与えられた部材がどちらの破壊が先行するかを判定することができるようになる.
21 斜め圧縮破壊するRC梁のせん断耐力
斜め圧縮破壊耐力の算定方法を学び理解する.
22 RC梁のせん断耐力の算定に関する演習
RC梁のせん断耐力の算定に関する計算演習を行い,理解を深める.
23 後期中間試験
16から22週目までの範囲から出題する.
24 中間試験の解答・解説およびRC柱の特徴と区分
中間試験の解答・解説を行う.RC柱の特徴,短柱と長柱の区分など,RC柱の概要を理解する.
25 RC短柱に配置すべき補強用鉄筋
補強鉄筋の役割,構造細目について理解する.
26 帯鉄筋柱の耐力
一様な圧縮力を受ける帯鉄筋柱の耐力を計算することができる.
27 らせん鉄筋柱の耐力
一様な圧縮力を受けるらせん鉄筋柱の耐力を計算することができる.
28 帯鉄筋柱の断面設計に関する演習
帯鉄筋柱の耐力を安全率を取り入れて算定し,構造細目を考慮した断面設計演習を行い,理解を深める.
29 らせん鉄筋柱の断面設計に関する演習
らせん鉄筋柱のの耐力を安全率を取り入れて算定し,構造細目を考慮した断面設計演習を行い,理解を深める.
30 コンクリート構造に関する総復習
これまで学んだコンクリート構造のポイントを復習する.


前期,後期ともに中間試験および定期試験を実施する.