【 2024 年度 授業概要】
科   目 システム制御 ( Systems Control )
担当教員 小林 洋二 非常勤講師 【実務経験者担当科目】
対象学年等 機械工学科・5年E組・後期・選択・2単位【講義】 ( 学修単位II )
学習・教育
目標
A4-M3(100%)
授業の概要
と方針
大学や専攻科で学ぶ,あるいは,企業で使用する現代制御理論の基礎事項である状態方程式と出力方程式によるシステムのモデリング,システムの安定性,可制御性と可観測性,状態フィードバックについて学ぶ.本講義では,理論の本質を理解する際の煩雑さを避けるために,一入力一出力の線形システムを対象として授業を行う.本講義では担当教員の機械制御系設計に関する実務経験を踏まえて,実務と関連する学習項目ではその関連について説明を行う.



1 【A4-M3】 システムの数式モデルを状態方程式と出力方程式で表現し,ブロック線図を用いてシステムを図的に表現できる.
2 【A4-M3】 状態方程式で表された自由系と強制系の解を求めることができ,システムの安定性を理解し,安定判別ができる.
3 【A4-M3】 可制御性と可観測性の意味を理解し,与えられたシステムの可制御性と可観測性を判定することができる.
4 【A4-M3】 システムを対角形式へ変換できる.対角形式で表現されたシステムと可制御性,可観測性の関係を理解することができる.
5 【A4-M3】 状態フィードバックと出力フィードバックの違いを理解し,極配置法によるフィードバックゲインを求めることができる.
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1 状態方程式と出力方程式によるシステムの記述・等価変換とブロック線図による表現の項目について課題演習および中間試験で評価する.
2 状態方程式と出力方程式で表された自由系と強制系の解を計算,安定性と安定判別の項目について課題演習および中間試験で評価する.
3 システムの可制御性と可観測性の物理的な意味の理解,それぞれの性質の判別の項目について,課題演習および定期試験で評価する.
4 システムの対角形式への等価変換,対角形式のシステムによる可制御性,可観測性の判定,伝達関数の計算の項目について課題演習および定期試験で評価する.
5 状態フィードバックと出力フィードバックの違いの理解,極配置法によるフィードバックゲインの計算の項目について課題演習および定期試験で評価する.
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成績は,試験70% レポート30% として評価する.なお,試験成績は中間試験と定期試験の平均点とし,それを70%で評価し,レポートを30%として評価する.総合評価100点満点で60点以上を合格とする.
テキスト ノート講義
参考書 「システム制御の講義と演習」:中溝 高好,小林 伸明 著(日新出版)
「線形システム制御入門」:梶原 宏之 著(コロナ社)
「システム制御工学演習」:足立 修一 他 著(コロナ社)
「専門基礎ライブラリー 制御工学 技術者のための,理論・設計から実践まで」:豊橋技術科学大学・高等専門学校制御工学教育連携プロジェクト(実教出版)
関連科目 応用数学(線形代数,微積分,ラプラス変換),自動制御
履修上の
注意事項
ベクトルと行列の演算を中心とした線形代数の知識,ラプラス変換を含む微積分の知識が要求されますので,4年生の間にこれらの基礎を固めておいてください.また,自動制御も関係しますので,この科目も復習しておいてください.

【授業計画( システム制御 )】
上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など)
1 イントロダクション
システムの定義と分類,制御理論の歴史的背景,古典制御と現代制御の手法の違いを概説する.
2 システムのモデリング1
システムを線形微分方程式,伝達関数,状態方程式と出力方程式で表し,相互の関係を説明する.
3 システムのモデリング2
状態方程式と出力方程式で表されたシステムを図的に表現するブロック線図を説明する.状態方程式と出力方程式の座標変換を行う等価変換についても説明する.
4 解の記述1
スカラーとベクトルの微分方程式の解法を対比させながら,自由系の解を求める方法を説明する.
5 解の記述2
強制系の解を求める方法を説明する.
6 状態空間表示と伝達関数表示,インパルス応答
状態方程式と出力方程式から伝達関数とインパルス応答を計算する方法について説明する.
7 システムの安定性
システムの内部安定性ならびに安定判別の方法を説明する.
8 中間試験
1〜7週目までの理解度を確認するために中間試験を実施する.
9 システムの可制御性と可制御条件
システムの可制御性の定義を説明し,その定義に基づいてシステムが可制御であるための必要十分条件を導出する.可制御行列を定義して,システムが可制御であるための条件を導く.
10 システムの可観測性と可観測条件
システムの可観測性の定義を説明し,定義に基づいてシステムの可観測性のための必要十分条件を導出する.可観測行列を定義して,システムが可観測であるための条件を導く.
11 等価変換と可制御性・可観測性
等価変換により可制御性・可観測性は保持されることを示す.関連する項目として,ハンケル行列について説明する.
12 対角形式・伝達関数と可制御性・可観測性
状態方程式と出力方程式を対角形式に等価変換する方法を説明する.また,対角形式のシステムから可制御性,可観測性を判別する条件を導出し,伝達関数との関係を説明する.
13 可制御正準形と状態フィードバック
可制御正準形と状態フィードバックについて説明し,閉ループシステムの状態方程式と出力方程式を導出する.
14 極配置による制御系設計
状態フィードバックによって閉ループシステムの極を任意の値に配置する極配置法について説明する.
15 まとめ
この科目のまとめを行う.


前期中間試験および前期定期試験を実施する. 本科目の修得には,30 時間の授業の受講と 60 時間の事前・事後の自己学習が必要である.この科目の履修にあたっては,事前学習としてあらかじめアップロードされたWebテキストを授業までに読んで,授業の項目の要点を押さえておいてください.授業後に課題プリントを配布しますので,事後学習として課題の問題を解答して理解を深めるようにしてください.なお,状況によっては臨時試験を行う場合があります.また,新型コロナウィルス感染防止のため登校が禁止となった場合は,登校禁止が解除されるまで試験を実施しないことがあります.