【 2024 年度 授業概要】
科   目 応用物理 ( Applied Physics )
担当教員 小倉 和幸 准教授
対象学年等 電子工学科・4年・通年・必修・2単位【講義】 ( 学修単位III )
学習・教育
目標
A2(100%)
授業の概要
と方針
自然科学の基礎となっている力学を学習する.ニュートンの運動方程式から出発して種々の物体の運動が求まることを理解する.運動と座標,質点の運動,保存則,質点系の運動,剛体の運動を数学の知識を活用して考える力を身につける.また,例題を解きながら理解を深める.多くの課題を与えるので,レポートにして提出する.



1 【A2】 速度・加速度およびニュートンの運動の法則を理解し,慣性系における基本的な質点の運動を運動方程式をたてて求めることができる.
2 【A2】 質点に種々の力が働くとき,慣性系と非慣性系における質点の運動を運動方程式をたてて求めることができる.
3 【A2】 物理学における基本的な保存則を理解し,これらを用いて質点および質点系の運動を求めることができる.
4 【A2】 剛体の運動方程式を理解し,基本的な剛体の運動を求めることができる.
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1 速度・加速度・位置・軌道の式の計算,および重力・復元力・束縛力等が働くときの慣性系における質点の運動を運動方程式をたてて求められるかを,本校が定めた期間に行う試験と適時行うレポートで理解度を評価する.
2 慣性系における質点の運動に加え,慣性系に対して等速度・加速度・回転運動等する座標系における質点の運動を運動方程式をたてて求められるかを,本校が定めた期間に行う試験と適時行うレポートで理解度を評価する.
3 仕事とポテンシャルエネルギーの計算,質点系の重心の計算,および保存則を用いた運動の求め方を,本校が定めた期間に行う試験と適時行うレポートで理解度を評価する.
4 剛体のつり合い条件の求め方,慣性モーメントの計算,剛体の固定軸のまわりの回転運動と平面運動の求め方を,本校が定めた期間に行う試験と適時行うレポートで理解度を評価する.
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成績は,試験85% レポート15% として評価する.なお,試験成績は,中間試験と定期試験の平均点とする.100点満点で60点以上を合格とする.
テキスト 「初等力学」:甲木伸一 著(裳華房)
参考書 「力学」:小出昭一郎 著(裳華房)
「物理学演習上」:後藤憲一,山本邦夫,神吉健 共著(共立出版)
「力学」:原島 鮮 著(裳華房)
「ビジュアルアプローチ 力学」:為近和彦 著(森北出版)
「力学の考え方」:砂川重信 著(岩波書店)
関連科目 物理(本科1,2,3年),数学(本科1,2,3年)
履修上の
注意事項
微分,積分,微分方程式とその解,およびベクトル解析の知識が必要となるので復習しておくこと.

【授業計画( 応用物理 )】
上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など)
1 ガイダンス,座標系と力・速度・加速度
授業の進め方,到達目標と評価方法などを説明する.物体の位置を表す座標系,力の成分,物体の位置の時間的変化を表す速度と加速度を理解する.
2 軌道と加速度の接線成分・法線成分
加速度を軌道の接線成分と法線成分に分けて表す接線加速度と法線加速度の意味を理解する.
3 ニュートンの運動の3法則,重力だけが働くときの質点の運動
ニュートンの運動の3法則を確認する.力として重力だけが働くときの質点の運動について,座標系を決め,運動方程式をたて,初期条件のもとに運動方程式を解くと質点の運動が求まることを理解する.
4 重力と速度に比例する抵抗力が働くときの質点の運動
重力に加え速度に比例する抵抗力が働くときの質点の運動について,運動方程式の立て方とその解き方を理解する.また,終速度を理解する.
5 束縛運動
物体の運動が特定の線または面上に限定される束縛運動について,そのときに働く束縛力(垂直抗力,摩擦力等)を理解する.そして,束縛力が働くときの運動を求める.
6 単振動
単振動の意味を理解する.距離に比例する復元力が働くときの質点の運動,糸に結ばれた質点の微小振動(単振り子)が単振動になることを運動方程式とその解より理解する.
7 演習
これまでの内容の復習と演習により理解を深める.
8 中間試験
中間試験までの授業内容に関する試験を行う.出題方針は試験前に通知する.
9 中間試験解答,抵抗力・強制力が働くときの運動方程式
中間試験の結果を確認する.また,復元力に加え,速さに比例する抵抗力および強制力が働くときの運動方程式の立て方を理解する.
10 ばねに結ばれた質点の運動
種々の形態のばねに結ばれた質点の運動を考える.質点に働く力,運動方程式の立て方,平衡位置の求め方,振動の周期等を理解する.
11 万有引力
ニュートンの万有引力の法則を確認する.重力は万有引力であることを理解する.惑星の運動,静止衛星,振り子時計の周期等を考える.
12 ガリレイの相対性原理
慣性系に対して等速直線運動する座標系は慣性系であることを理解する.ガリレイ変換による運動方程式とその解を求める.
13 慣性系に対して加速度運動する座標系での質点の運動
慣性系に対して加速度運動している座標系では,実際の力とともに加速度によるみかけの力を考えると,慣性系と同じように運動方程式が立てられることを理解する.慣性系と加速度系で運動方程式を立て,その解を比較する.
14 慣性系に対して回転する座標系での質点の運動
慣性系に対して一定の角速度で回転する座標系では,コリオリの力と遠心力を考えれば,慣性系と同じように運動方程式が成り立つことを理解する.
15 演習
これまでの内容の復習と演習により理解を深める.
16 定期試験解答,運動量保存則,角運動量保存則(1)
定期試験の結果を確認する.運動量と力積の関係および運動量保存則を理解する.また,力のモーメントと角運動量の意味を理解する.
17 角運動量保存則(2),仕事と運動エネルギー
力のモーメントと角運動量の関係および角運動量保存則を理解する.また,仕事と運動エネルギーの関係,仕事の計算方法を理解し,具体例に対して仕事を計算する.
18 ポテンシャルエネルギーと力学的エネルギー保存則
仕事が経路によらず座標だけで決まる保存力を理解し,保存力に対するポテンシャルエネルギー(位置エネルギー)を求める.運動エネルギーとポテンシャルエネルギーの和である力学的エネルギーについて,その保存則を理解する.
19 質点系の重心
多くの質点からなる質点系における重心(質量中心)の意味を理解する.具体例に対して重心を求める.
20 質点系の運動方程式と保存則
質点系に外力と内力が働くときの運動方程式を理解する.質点系の重心は全質量が重心に集中し,外力もすべて重心に働いているときの1つの質点と同じ運動をすることを理解する.また,質点系の保存則を理解する.
21 衝突
質点の衝突の問題を考える.弾性衝突と非弾性衝突,跳ね返り係数(反発係数),およびこれらと運動エネルギーの関係を理解する.
22 演習
これまでの内容の復習と演習により理解を深める.
23 中間試験
中間試験までの授業内容に関する試験を行う.出題方針は試験前に通知する.
24 中間試験解答,剛体の運動方程式
中間試験の結果を確認する.剛体の運動を重心運動とそのまわりの回転運動にわけて考えるときの運動方程式の考え方を理解する.
25 剛体のつり合い
剛体のつり合い条件を理解し,具体例に対してつり合い条件を求める.
26 固定軸のまわりの剛体の運動
固定軸のまわりに回転する剛体の運動方程式を回転角を用いて表す.質点の並進運動と剛体の回転運動における運動方程式を含む物理量の対比関係を理解する.
27 慣性モーメント
回転運動に対する慣性を表す慣性モーメントを理解する.基本となる形状の慣性モーメントを計算する.
28 剛体の回転運動
慣性モーメントに関する定理を理解し,それを用いて慣性モーメントを求める.そして,具体的な剛体の回転運動に対して運動方程式を立て,それを解くことにより剛体の回転運動を求める.
29 剛体の平面運動
剛体が平面内で並進運動と回転運動する平面運動に対して,運動方程式を立て,それを解くことにより剛体の平面運動を求める.
30 演習
これまでの内容の復習と演習により理解を深める.


前期,後期ともに中間試験および定期試験を実施する. 本科目の修得には,60 時間の授業の受講と 30 時間の事前・事後の自己学習が必要である.