【 2024 年度 授業概要】
科   目 無機化学V ( Inorganic Chemistry III )
担当教員 宮下 芳太郎 教授
対象学年等 応用化学科・4年・前期・必修・2単位【講義】 ( 学修単位II )
学習・教育
目標
A4-C2(100%)
授業の概要
と方針
錯体は,金属イオンと配位子との組み合わせにより多種多様な構造や物性,反応性を有する興味深い化合物群である.錯体に関する基礎理論については3年生で学習しているので,本科目では,より詳しい解説を行うとともに,歴史的背景や他分野における応用例なども含めて講義する.



1 【A4-C2】 錯体化学の歴史と現状について理解できる.
2 【A4-C2】 錯体の特性や多様性と周期表との関連について理解できる.
3 【A4-C2】 単核錯体および多核錯体の構造の特徴について理解できる.
4 【A4-C2】 錯体特有の異性現象および異性体の選択性について理解できる.
5 【A4-C2】 錯体の結合理論について理解できる.
6 【A4-C2】 錯体の電子スペクトルや磁性の原理について理解できる.
7 【A4-C2】 錯体の安定性や反応性について理解できる.
8 【A4-C2】 生体関連分野や超分子化学分野における錯体の利用について理解できる.
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1 錯体化学の歴史と現状について理解し,説明できるかを,中間試験およびレポートで評価する.
2 錯体の特性や多様性と周期表との関連について理解し,説明できるかを,中間試験およびレポートで評価する.
3 単核錯体および多核錯体の構造の特徴について理解し,説明できるかを,中間試験およびレポートで評価する.
4 錯体特有の異性現象および異性体の選択性について理解し,説明できるかを,中間・定期試験およびレポートで評価する.
5 錯体の結合理論について理解し,説明できるかを,定期試験で評価する.
6 錯体の電子スペクトルや磁性の原理について理解し,説明できるかを,定期試験で評価する.
7 錯体の安定性や反応性について理解し,説明できるかを,定期試験で評価する.
8 生体関連分野や超分子化学分野における錯体の利用について理解し,説明できるかを,定期試験およびレポートで評価する.
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成績は,試験80% レポート20% として評価する.100点満点で60点以上を合格とする.
テキスト 「化学の指針シリーズ 錯体化学」:佐々木陽一・柘植清志 共著(裳華房)
参考書 「金属錯体の構造と性質」:三吉克彦 著(岩波書店)
「サクッと錯体! 世界は錯体でできている」:中沢浩 著(化学同人)
「化学や物理のための やさしい群論入門」:藤永茂・成田進 共著(岩波書店)
「化学の指針シリーズ 超分子の化学」:菅原正・木村榮一 編(裳華房)
「錯体化合物事典」:錯体化学会 編(朝倉書店)
関連科目 C2 無機化学I, C2 分析化学I, C2 応用化学実験I(無機合成), C3 無機化学II, C3 分析化学II, C4 応用化学実験III(機器分析)
履修上の
注意事項
上記関連科目を十分に理解したうえで履修することが望ましい.

【授業計画( 無機化学V )】
上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など)
1 錯体化学の歴史
錯体を扱う学問である錯体化学の歴史,特にウェルナーの配位説について紹介する.
2 錯体と周期表
錯体の構造や性質は金属の種類や酸化状態,配位子の種類によって大きく変化する.このような錯体の特性や多様性について周期表と関連づけて解説する.
3 単核錯体の構造
1つのみの金属イオンを有する単核錯体の配位数と構造について解説する.
4 多核錯体の構造,配位子(1)
複数の金属イオンを有する多核錯体の構造と金属間結合について解説する.また,代表的なキレート配位子を紹介する.
5 配位子(2)
大環状配位子,多核化配位子,錯体配位子など特殊な配位子を紹介するとともに,配位様式を表す記号について解説する.
6 錯体の異性現象(1)
錯体特有の構造異性体および立体異性体(幾何異性体,鏡像異性体など)について解説する.
7 錯体の異性現象(2),異性体の選択性
錯体特有の立体異性体(ジアステレオ異性体)について解説する.立体配置と立体配座について解説する.錯体合成において,特定の異性体を選択的に得る方法や分離・分割する方法について解説する.
8 中間試験
1週目から7週目までの内容で中間試験を行う.
9 中間試験解説,錯体の結合理論(1)
中間試験の解説を行う.結晶場(CF)理論について復習するとともに,より詳しい解説を行う.スピン・クロスオーバー錯体,水和エンタルピーについて解説する.
10 錯体の結合理論(2)
構造の対称性を低下させることで安定化するヤーン・テラー効果について解説する.配位子場(LF)理論について復習するとともに,より詳しい解説を行う.
11 錯体の結合理論(3),電子スペクトル(1)
金属原子軌道と配位子群軌道との相互作用や金属間多重結合におけるδ結合について解説する.錯体の色と密接に関連する紫外可視吸収スペクトルについて解説する.
12 電子スペクトル(2)
d-d遷移に加え,CT遷移,配位子内遷移,金属間遷移などについて解説する.発光スペクトルや旋光性,円二色性について解説する.
13 磁性,錯体の安定性
錯体中の不対電子が関与する磁性について解説する.錯体の固体状態および種々の溶液中における安定性について解説する.ソルバトクロミズム,サーモクロミズムについて解説する.
14 錯体の反応性
錯体の溶液中における配位子置換反応と酸化還元反応について解説する.
15 錯体の応用
生体関連化学分野や超分子化学分野における錯体の利用について紹介する.


前期中間試験および前期定期試験を実施する. 本科目の修得には,30 時間の授業の受講と 60 時間の事前・事後の自己学習が必要である.教科書の該当する箇所を事前学習すること.事後学習の内容については講義中に指示する.