【 2024 年度 授業概要】
科   目 流れ学 ( Hydraulics )
担当教員 鈴木 隆起 教授 【実務経験者担当科目】
対象学年等 機械システム工学専攻・2年・前期・選択・2単位【講義】
学習・教育
目標
A4-AM2(100%)
授業の概要
と方針
はじめに流体運動の記述方法および連続の式,運動方程式を述べる.その後,非圧縮性流体の渦なし運動について述べる.特に,速度ポテンシャルおよび流れ関数によりあらわされる様々な二次元流れについて詳述する.次に,実在流体の運動を考えるために粘性を導入し,ナビエ‐ストークス方程式を導出する.基本的な粘性流れに対するナビエ‐ストークス方程式の解や境界層などについて述べる.本講義は,担当教員の実務経験を踏まえて,流れ学の基礎と実務について教授する.



1 【A4-AM2】 二次元非圧縮性流体の渦なし流れが速度ポテンシャルおよび流れ関数により表わされることを理解し,また複素関数を応用して種々の非圧縮非粘性流れを記述し,理解できる.
2 【A4-AM2】 連続の式およびナビエ‐ストークス方程式を導出でき,その式を解いて基本的な粘性流れの解を得られる.
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1 2次元非圧縮非粘性流れについて,速度ポテンシャル・流れ関数・複素ポテンシャルに対する理解と,これらを用いて基本的な流れを求めることができる能力を,レポートおよび前期定期試験で評価する.
2 連続の式およびナビエ‐ストークス方程式に対する理解と,これらを解いて基本的な流れに対する解を得ることができる能力を,レポートおよび前期定期試験で評価する.
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成績は,試験85% レポート15% として評価する.100点満点で60点以上を合格とする.レポートは自己学習で行うものを指す.状況に応じて再試験を実施する場合がある.
テキスト 「流体力学の基礎」:八田・鳥居・田口共著(日新出版)
参考書 「わかりたい人の流体工学(I)(II)」:深野徹(裳華房)
「流体力学」:神部勉(裳華房)
「基礎演習シリーズ 流体力学」:神部勉(裳華房)
「流体力学」今井功(岩波書店)
関連科目 M4RE「流体力学I」,M5RE「流体力学II」
履修上の
注意事項
 

【授業計画( 流れ学 )】
上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など)
1 流体の性質およびオイラーの平衡方程式
粘性,圧縮性,圧力など流体工学の基礎事項を簡単に復習する.また,オイラーの平衡方程式を導出しベクトルでの表記方法を学ぶ.
2 流体運動の記述法
流体運動の二通りの記述法である,ラグランジュの方法とオイラーの方法について学ぶ.特に,オイラーの方法による速度と加速度の表記方法を学ぶ.
3 連続の式
二次元および三次元における連続の式の導出方法と式の意味を理解する.また,ベクトル表記および,座標変換についても学ぶ.
4 オイラーの運動方程式
オイラーの連続方程式および運動方程式を導出する.その導出過程と式の意味を理解する.
5 流体粒子の変形と回転運動および流線
流体粒子の変形と回転から渦度の導出方法とその意味を学ぶ.また,渦なし流れやラプラスの式など諸定義についても学ぶ.さらに,流線の定義方法を学ぶ.
6 速度ポテンシャル
非圧縮および渦なし流れにおける速度ポテンシャルの定義およびその意味を学ぶ.また,演習により速度ポテンシャルの導出方法を理解する.
7 ベルヌーイの定理
オイラーの運動方程式から,静止流体に対する平衡方程式や,ベルヌーイの定理を導く.
8 二次元渦なし流れ(1)
流れ関数の定義とともにその意味について学ぶ.また,演習により流れ関数の具体的な導出方法を理解する.
9 二次元渦なし流れ(2)
複素ポテンシャルの定義や意味を学ぶとともに,平行流れや吹出し,渦点まわりの流れにおける複素ポテンシャルを導出する.
10 二次元渦なし流れ(3)
複素ポテンシャルの合成方法を学ぶとともに,円柱まわりの流れにおける複素ポテンシャルから流れ場を理解する.
11 二次元渦なし流れ(4)
円柱まわりに循環のある流れに対して複素ポテンシャルを導出し流れ場を理解するとともに,ダランベールの背理やクッタ・ジューコフスキーの定理を簡単に学ぶ.
12 二次元渦なし流れ(5)
角をまわる流れに対して写像の方法により複素ポテンシャルを求める方法を学ぶ.また鏡像の方法に関しても簡単に学ぶ.
13 ナビエ‐ストークス方程式(1)
粘性応力を導入し,ナビエ‐ストークス方程式を導出する.その導出過程と式の意味を理解する.
14 ナビエ‐ストークス方程式(2)
ナビエ‐ストークス方程式により二平板間の流れなど簡単な例に対する解の導出方法について学ぶ.
15 ナビエ‐ストークス方程式(3)
円柱座標に対するナビエ‐ストークス方程式の記述方法を学ぶとともに,円管内の流れ場に対する解の導出方法について学ぶ.


前期定期試験を実施する. 本科目の修得には,30 時間の授業の受講と 60 時間の事前・事後自己学習が必要である.事前学習として,本科で学習した内容および前回の授業内容について目を通しておくこと.事後学習として,配布する課題をレポートとして期日までに提出すること.