科 目 | 世界史 ( World History ) | |||
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担当教員 | 町田 吉隆 准教授 | |||
対象学年等 | 全学科・5年・通年・選択・2単位 ( 学修単位I ) | |||
学習・ 教育目標 |
C3(80%) D2(20%) | |||
JABEE 基準1(1) |
(a),(b) | |||
授業の概要 と方針 |
「人種的偏見とは何か」という問題について考える.対象とする地域はカリブ海周辺地域とカナダおよびアメリカ合州国南部とし,大航海時代から現代までを視野に入れて,テーマごとに通時的に扱う.したがって通史ではない.社会的・経済的・政治的・文化的に「アメリカ」世界が多様であることを理解することを目的とする. | |||
到 達 目 標 |
1 | 【C3】 カリブ海周辺地域とカナダ,アメリカ合州国南部の歴史的環境を理解することができる. | ||
2 | 【C3】 「アメリカ」世界の多様性を理解することができる. | |||
3 | 【C3】 奴隷制度,近代世界システム,資本主義,文化変容などの概念装置を用いて,人種的偏見の歴史的形成過程を理解することができる. | |||
4 | 【D2】 日本以外の世界の他地域について,その歴史的環境を理解した上で,当該地域における民族紛争,人種対立,異文化理解について具体的に問題点を説明することができる. | |||
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評 価 方 法 と 基 準 |
到 達 目 標 毎 |
1 | カリブ海周辺地域とカナダ,アメリカ合州国南部の歴史的環境について理解できているかどうかを,定期試験で評価する. | |
2 | 「アメリカ」世界の多様性について理解できているかどうかを,定期試験で評価する. | |||
3 | 人種的偏見の歴史的形成過程を理解できているかどうかを,定期試験で評価する. | |||
4 | 受講者自らが選んだ世界の特定地域について,その歴史的環境を理解した上で,当該地域における民族紛争,人種対立,異文化理解に関する問題点を正確に,かつわかりやすく説明できるかどうかを,レポートで評価する. | |||
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総 合 評 価 |
成績は,試験80% レポート20% として評価する.到達目標1,2,3については前期・後期の定期試験の平均点で評価する.到達目標4についてはレポートで評価する.レポートの具体的な作成手順については,授業の中で説明する.これらを総合して100点満点で60点以上を合格とする. | |||
テキスト | ノートおよびプリント講義 |
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参考書 | E.ウィリアムズ『コロンブスからカストロまで』(岩波書店) 木村和男『カヌーとビーヴァーの帝国』(山川出版社) ジェームス・M・バーダマン「黒人差別とアメリカ公民権運動―名もなき人々の戦いの記録 (集英社新書) |
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関連科目 | 歴史(1年生),歴史(2年生),日本史(5年生) | |||
履修上の 注意事項 |
その他の参考文献,視聴覚資料については授業中に紹介する. |
週 | 上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など) |
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1 | 導入 |
「アメリカ」世界の自然環境,歴史的環境について概観する. | |
2 | 人種と民族(1) |
人種とは何か.民族とは何か.いくつかの定義を紹介し,その定義を具体的に検証する. | |
3 | 人種と民族(2) |
人種的偏見とは何か.そのタイプを理解し,歴史的な具体例について学ぶ. | |
4 | 人種間対立(1) |
映画「ドゥ・ザ・ライト・シング」を観て,人種間の対立の実相を知る. | |
5 | 人種間対立(2) |
人種間の摩擦,対立の背景となる社会的要因について考える. | |
6 | 大航海時代と近代世界システムの成立(1) |
15世紀から16世紀におけるヨーロッパ世界の経済的・社会的・文化的な状況について学習する. | |
7 | 大航海時代と近代世界システムの成立(2) |
コロンブスの「アメリカ」世界到達が与えた経済的・社会的・文化的な影響について学ぶ. | |
8 | 奴隷と砂糖(1) |
奴隷と砂糖という世界商品を通じて,大西洋貿易の実態を学習する. | |
9 | 奴隷と砂糖(2) |
近代世界システムに組み込まれた「奴隷制」を資本主義発達過程の一現象として学習する. | |
10 | 大西洋革命(1) |
アメリカ独立革命を近代世界システムの観点から,経済的な側面に比重を置いて学習する. | |
11 | 大西洋革命(2) |
フランス革命とイギリス産業革命が,大西洋貿易と関連して生じたことを学習する. | |
12 | 大西洋革命(3) |
ハイチ革命について理解し,市民革命としての大西洋革命の意味を考える. | |
13 | マルチニーク島の歴史(1) |
フランス海外領マルチニーク島を例として,プランテーション経済が資本主義発展過程の一形態であったことを学習する. | |
14 | マルチニーク島の歴史(2) |
映画「マルチニックの少年」を観て,20世紀初めのプランテーションのイメージを獲得する. | |
15 | 資本主義と奴隷制 |
前期に学んだ知見を通して,奴隷制および植民地支配がもたらした経済的・社会的・文化的影響について考える. | |
16 | カナダ自治領の形成(1) |
フレンチ=インディアン戦争終結までのカナダ植民地の歴史を学ぶ. | |
17 | カナダ自治領の形成(2) |
アメリカ南北戦争終結までのカナダ植民地の歴史を学ぶ. | |
18 | カナダ自治領の形成(3) |
第一次世界大戦までのカナダ自治領の歴史を学ぶ. | |
19 | ミドル・パワーとしてのカナダ(1) |
20世紀のカナダの歴史を国際的な役割の視点から概観する. | |
20 | ミドル・パワーとしてのカナダ(2) |
地域主義,分離主義が国民国家としてのカナダを揺るがしている問題を考える. | |
21 | ミドル・パワーとしてのカナダ(3) |
先進国カナダが抱えている問題についてドキュメンタリーを観て,地域主義,民主主義と人種的偏見が複雑に連関していることを学ぶ. | |
22 | アメリカ合州国における「南部」(1) |
近代世界システムと奴隷制の観点から南北戦争の歴史的な意味を考える. | |
23 | アメリカ合州国における「南部」(2) |
南北戦争後のアメリカ合州国の社会を人種間抗争の視点から学習する. | |
24 | アメリカ合州国における「南部」(3) |
20世紀前半のアメリカ合州国の社会状況を「南部」という地域から考える. | |
25 | 公民権運動とは何だったのか(1) |
1950年代に「南部」から起こった公民権運動について概観する. | |
26 | 公民権運動とは何だったのか(2) |
リトルロック高校事件に関するドキュメンタリーを観て,その背景にあった人種的偏見の構造について考える. | |
27 | 公民権運動とは何だったのか(3) |
公民権運動の発展と変容について学び,アメリカ合州国社会が現代も有する課題について考える. | |
28 | 人種的偏見とは何か(1) |
カナダにおける人種的偏見の問題を日系カナダ人の歴史から学ぶ. | |
29 | 人種的偏見とは何か(2) |
M.L.キングとマルコムXの思想的遍歴から,人種的偏見を克服する模索について学ぶ. | |
30 | 人種的偏見とは何か(3) |
ラス・カサスの思想的遍歴から,人類の課題としての人種的偏見克服について考える. | |
備 考 |
前期定期試験および後期定期試験を実施する. |