科 目 | コンクリート工学 ( Reinforced Concrete ) | |||
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担当教員 | 高科 豊 | |||
対象学年等 | 都市工学科・3年・通年・必修・2単位 ( 学修単位I ) | |||
学習・教育 目標 |
工学系複合プログラム | JABEE基準1(1) | ||
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授業の概要 と方針 |
コンクリート構造物の設計概念を学ぶ。特に,部材の終局限界状態について,考える。 | |||
到 達 目 標 |
1 | RC構造の特徴と力学的意義を説明できる。 | 2 | 材料強度のばらつきや安全性のあり方を説明できる。 | 3 | 柱部材や梁部材の軸方向耐力や曲げ耐力を計算できる。 | 4 | 曲げ破壊形式における靭性の重要性を説明できる。 | 5 | せん断破壊の特徴やその補強筋やコンクリ−トの耐力機構を説明できる。 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
評 価 方 法 と 基 準 |
到 達 目 標 毎 |
1 | RC構造の特徴と力学的意義を理解できているか中間試験で評価する。 | |
2 | 材料強度のばらつきを正規分布の利用で計算できるかをレポートで評価する。 | |||
3 | 部材断面の軸方向耐力や曲げ耐力を計算できるか定期試験で評価する。 | |||
4 | 曲げ破壊形式における靭性の重要性を理解できているか定期試験で評価する。 | |||
5 | せん断破壊の特徴やその補強筋やコンクリ−トの耐力機構を説明できるかどうかを定期試験で評価する。 | |||
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総 合 評 価 |
成績は,試験80% レポート20% として評価する。 | |||
テキスト | 「鉄筋コンクリート工学」近藤泰夫・岸本進・角田忍著(コロナ社) |
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参考書 | 鉄筋コンクリ−トの設計,吉川弘道著(丸善) |
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関連科目 | 設計製図 | |||
履修上の 注意事項 |
週 | 上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など) |
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1 | 鉄筋コンクリート(RC)構造の力学的意義・特徴 |
外力に対して,鉄筋は引張力,コンクリ−トは圧縮力を受け持つことで,鉄筋コンクリ−ト構造物の力学的な役割分担を理解する。 | |
2 | 設計方法概念(限界状態設計法,許容応力度設計法の比較) |
鉄筋コンクリ−トの設計概念を,限界状態設計法,許容応力度設計法の各設計フロ−比較と照査の観点から,概観を説明する。 | |
3 | 材料の性質と応力ひずみ曲線のモデル化 |
鉄筋とコンクリ−トの応力ひずみ曲線の違い,実際上の曲線と設計モデル化されたものを比較し,その適用の根拠を考える。 | |
4 | 設計強度,安全係数及び特性値(材料強度のばらつき考慮) |
コンクリ−トの圧縮強度分布が正規分布を示すことで,統計学的に強度を特性値として安全性が考慮されていることを学ぶ。 | |
5 | 終局限界状態に対する検討(軸方向圧縮を受ける部材) |
軸方向圧縮力を受ける柱部材を検討する。実構造物柱部材には,施工誤差・寸法誤差による偏心軸方向力の問題や長柱・短柱の問題があることを説明する。 | |
6 | 帯鉄筋柱の構成・構造細目・設計軸方向中心軸圧縮耐力 |
帯鉄筋柱での軸方向鉄筋と帯鉄筋の役割を解説する。 | |
7 | 座屈現象と長柱の低減係数 |
オイラ−の提唱した中心圧縮性の長柱理論を紹介し,柱の座屈現象を理解する。 | |
8 | 中間試験 |
中間試験 | |
9 | らせん鉄筋柱 |
らせん拘束力や破壊現象における様相が異なること(らせん効果)を説明する。 | |
10 | らせん鉄筋柱の計算問題 |
柱の長さや断面諸元を与え,らせん鉄筋断面を計算させる。また,この時,構造細目や細長比を考えながら,設計軸方向中心軸圧縮耐力の計算を行い,最適な断面を決定させ | |
11 | 曲げを受ける梁部材 |
曲げを受ける梁部材の終局限界状態の検討を取り上げる。 | |
12 | 梁部材の曲げ挙動と釣合い鉄筋比と破壊形式 |
RC梁部材の曲げ挙動を概観的に説明し,曲げ破壊形式を判別する上で,釣合い破壊を検討し,釣合い鉄筋比と断面の鉄筋比を比較する必要があることを学習する。 | |
13 | 等価応カブロックの力学的仮定 |
圧縮部コンクリ−トの応力分布は,非線形分布になるが,その分布形状を等価応力ブロックとして,設計曲げ耐力を計算する上で,置換できることを証明す | |
14 | 複鉄筋長方形断面RC梁 |
圧縮鉄筋・引張鉄筋を区分し,圧縮鉄筋がコンクリ−トに生ずる圧縮応力の一部を分担することを学習する。 | |
15 | 複鉄筋長方形断面RC梁において,圧縮鉄筋が降伏しない場合の検討 |
終局状態の計算において,応力の分布は非線形になるが,歪みの分布は線形であることから,コンクリ−トの終局歪みを基に,圧縮鉄筋に生ずる応力度を算定できることを学習する。 | |
16 | スラブと単体となるT形断面梁の設計曲げ耐力 |
フランジの有効幅の考え方を理解し,スラブと単体となる場合を学ぶ。 | |
17 | 曲げと軸方向力を受ける部材(相互作用図の概念) |
門型ラ−メンの柱などを設計する場合,各柱断面の位置によって,曲げと軸方向力の大きさが変化する。この場合,曲げと軸方向力を包括的に断面設計しなければならないことを学ぶ。 | |
18 | 偏心軸方向圧縮力が作用する場合の終局状態(鉄筋が降伏する場合) |
釣合い偏心距離と外力による曲げと軸方向力から定まる偏心距離との関係から,破壊モ−ドを決定し,そのモ−ドが曲げ支配または軸力支配になるかを考える。 | |
19 | 偏心軸方向圧縮力が作用する場合の終局状態(鉄筋が降伏しない場合) |
軸力支配モ−ドになる場合,圧縮破壊領域となり,引張鉄筋が降伏の状態に達するまでに,コンクリ−トが圧壊するので,等価応力ブロックの高さの計算過程が三次方程式となることを学習する。 | |
20 | 引張主応力とせん断破壊 |
主応力度の発生する角度から,梁腹部に斜め引張応力度によるせん断破壊の可能性があることを説明する。 | |
21 | 使用状態における任意断面の中立軸の位置の算定 |
任意断面における中立軸の位置の算定の断面一次モ−メントによる普遍的な釣合い条件式を説明する。 | |
22 | 換算断面二次モ−メントと梁部材の曲げ応力度の算定 |
鉄筋とコンクリ−トが複合する場合の曲げ応力度を計算する上で,使用状態における応力の分布を線形と仮定すると,曲げ公式において,換算断面二次モ−メントの計算が必要となることを学習す | |
23 | 中間試験 |
中間試験 | |
24 | RC梁部材のせん断応力度の算定 |
断面内のせん断応力度の分布形状を考察する。また,T形断面の場合,フランジとウエブで幅が急変するので,ハンチの重要性を説明する。 | |
25 | せん断破壊と曲げ破壊 |
せん断破壊の特徴,せん断ひび割れの種類,せん断スパン長の意味,せん断破壊形式を大別する。 | |
26 | 古典・修正トラス理論によるせん断補強筋のせん断耐力 |
腹鉄筋の種類とその役割を説明するとともに,リッタ−の古典的トラス理論により,せん断補強筋の受け持つ設計せん断耐力を学習する。 | |
27 | コンクリ−トの受け持つ設計せん断耐力 |
コンクリ−トの受け持つ設計せん断耐力が実験式であることを紹介し,寸法効果,鉄筋量,軸方向力の影響性が考慮されていることを学習する。 | |
28 | 腹部コンクリ−トの設計斜め圧縮破壊耐力とせん断補強筋の配置 |
せん断補強筋が過剰な場合,斜め引張でなく,斜め圧縮で腹部が破壊する可能性があることを説明する。 | |
29 | 実験におけるRC梁部材の耐荷性状 |
RC梁部材の曲げ載荷実験をした事例を映像で再現し,本講義で学習した事項を体感的に学習する。 | |
30 | コンクリ−ト構造物の維持管理 |
コンクリ−ト構造物の維持管理について,劣化事例を挙げながら,性能照査型設計の必要性を考察する。 | |
備 考 |
中間試験および定期試験を実施する。 |