2005 年度エネルギー工学シラバス

【 2005 年度授業概要】
学習・教育目標			工学系複合プログラム	ＪＡＢＥＥ基準１（１）
科　　　目			エネルギー工学 ( Energy Engineering )
担当教員			米田昭夫
対象学年等			応用化学科・5年・後期・選択・1単位
学習・教育目標			A4-4(100%)	(d)1,(d)2-a,(d)2-d,(g)
授業の概要と方針			現在の１次エネルギー総供給量の85%は、実に化石燃料から得ている。しかし、50％を越える石油の産出がピークを迎え、次世代のエネルギーによる対応について考えておく必要がある。本授業では、炭素資源の重要性と新エネルギーをどのようにして得ようとしているかを応用化学科学生が知っておくべき知識としてまとめる。
到達目標		1	【A4-4】　さまざまなエネルギーの形態を知り、共通項として単位の重要性を理解できる。
		2	【A4-4】　石油・石炭・天然ガスの化石燃料は、1次エネルギーとして85％を占めているが、これらはいずれも国の基幹産業を支える物質であることを理解できる。
		3	【A4-4】　太陽光がもつエネルギーの有効利用について、太陽電池をはじめいろんな方面から研究されていることが理解できる。
		4	【A4-4】　化石燃料にかわるエネルギー資源が求められていることが理解できる。
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評価方法と基準	到達目標毎	1	熱エネルギーと仕事エネルギーの互換性、運動エネルギーとポテンシャルエネルギーを含む力学エネルギーに対する理解などが出来ているかどうかを計算問題などを解かせて評価する。
		2	化石燃料は燃焼によりエネルギーを獲得するだけでなく、石油の改質と分解、石炭の乾留によるコークス製造、天然ガスのC1ケミストリーなどについて、理解でき記述できるかどうかを中間試験において評価する。
		3	太陽内部でおこなわれているppチエーン、CNOサイクルによる水素核融合式を理解でき記述できるか、また光エネルギーの化学的変換の方法を理解でき記述できるかを定期試験で評価する。
		4	次世代エネルギーとして、水素燃料への期待やそれを使った燃料電池、核融合開発について理解でき、図や反応式を用いて記述できるかを定期試験で評価する。
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	総合評価		中間試験50％、期末試験50％によって評価する。ただし、出席状況の悪いものは不合格とする。
テキスト
参考書			｢燃料工学概論｣小西誠一著(裳華房) ｢太陽エネルギー工学｣浜川圭弘(培風館)
関連科目
履修上の注意事項			化学工学の履修・修得を前提として講義を進める。有機化学、無機化学の基礎知識も必要なので十分に復習しておくこと。

【授業計画（エネルギー工学）】
週	上段：テーマ／下段：内容（目標、準備など）
1	エネルギーの定義
1	エネルギーは仕事エネルギー、電気エネルギー、光・熱エネルギーなどさまざまな使われ方をする。１回目においては、エネルギーの定義と単位について学ぶ。単位を理解することにより各エネルギー間の関係や量的な比較ができるようになる。
2	太陽の本質
2	太陽内部でおこなわれているエネルギー発生の本質として、ｐｐチエーンとＣＮＯサイクルの考え方を知る。地球に到達する太陽エネルギー量とその有効利用について、モデルを挙げて紹介する。
3	太陽光の化学的変換
3	光について理解するため、電磁波の性質や波長がもつエネルギー関係式を整理する。太陽光波長域における光エネルギーを利用した電子励起のメカニズムを学ぶ。
4	光合成をモデルとした太陽光エネルギーの利用
4	光合成のメカニズムを学び、それをモデルとした電子伝達の仕組みを組み込んだ化学物質を紹介する。また、ルテニウム錯体などの光触媒による水素製造の考え方を述べる。
5	太陽電池
5	太陽電池の仕組みを講義する。バンド理論による半導体の光起電力の考え方、またその材料としてどのようなものが使われているのか、変換効率についての現状はどのようになっているのかを述べる。
6	水素エネルギー
6	将来のエネルギー源と目される水素エネルギーについて、特徴、化学的性質、製造法を説明する。これを使用した場合の環境上の有利な点や、安全性などについても触れる。
7	燃料電池
7	化学反応が直接電気エネルギーに変換されるとして、開発に拍車がかかる燃料電池をとりあげ、メカニズムと開発の現状をみる。車やコジェネに各システムの特徴をどう生かそうとしているのかを学ぶ。
8	中間試験
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9	中間試験の解答。原子力エネルギーの利用と核融合
9	中間試験の解答を解説する。核分裂と核融合から発生するぼうだいなエネルギーについて、質量保存の法則などを使って説明する。わがくににおける原子力発電の利用と廃棄物処理の状況と核融合発電にたいする取り組みの現状を紹介する。
10	化石燃料：石油[I]
10	最大のエネルギー源である石油の燃料資源としての重要性を認識させる。石油の探査や採掘はいかにしておこなわれているのか、石油資源の埋蔵量はどうやっては測るのか、石油工業の上流部門を講義する。
11	化石燃料：石油[II]
11	石油の常圧蒸留や減圧蒸留のプロセスを紹介し、各留分の利用のされ方や輸送燃料としてのガソリンの必要性から接触改質や熱分解のプロセスについて講義する。また、ナフサからから得られるペトロレウムケミストリーについて触れる。
12	化石燃料：石炭[I]
12	石炭について、炭種の種類や分類法を示し、原料炭と一般炭について用途のちがいを分からせる。石炭乾留の重要性やコークス製造がどうして必要なのかを理解させる。
13	化石燃料：石炭[II]
13	ここでは、石炭のガス化プロセスや液化について説明する。得られる合成ガスから水素の製造やタール製品に含まれるさまざまな化学物質を基幹物質として使用するコールケミストリーについて概観する。
14	化石燃料：天然ガスとＬＮＧ
14	天然ガスやメタンハイドレード資源におけるメタンから、Ｃ１ケミストリーへの展開やフィッシャートロプシュ合成について説明し、化学工業における触媒のはたす役割について述べる。
15	燃焼の理論
15	炭素燃料の燃焼における熱化学方程式を理解させる。理論燃焼の考え方や大気汚染の問題はどのようにして発生するのかを、メカニズムをまじえて詳しく説明する。
備考	中間試験を実施する。定期試験を実施する。