科 目 | 哲学 ( Philosophy ) | |||
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担当教員 | 手代木 陽 | |||
対象学年等 | 応用化学科・5年・通年・選択・2単位 | |||
学習・教育 目標 |
工学系複合プログラム | JABEE基準1(1) | ||
C3(100%) | (a),(b) | |||
授業の概要 と方針 |
哲学の根本問題は「人間とは何か」である.科学技術の進歩は現代を生きる人間のあり方を大きく変えつつある.まず科学技術についての楽観論,悲観論を取り上げ,その根拠を考察する.そして限定論の立場から科学技術の進歩が現代社会に投げかけている問題を哲学的に考察する. | |||
到 達 目 標 |
1 | 【C3】 科学技術の諸問題を理解し、その根本には「人間とは何か」という哲学的問題があることを理解する。 | ||
2 | 【C3】 科学技術の諸問題について哲学的に考え、自分の意見を矛盾なく展開できる。 | |||
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評 価 方 法 と 基 準 |
到 達 目 標 毎 |
1 | 科学技術の諸問題を理解し、その根本には「人間とは何か」という哲学的問題があることを理解しているか、定期試験で評価する。 | |
2 | 科学技術の諸問題について哲学的に考え、自分の意見を矛盾なく展開できるか、毎回の授業で課すレポートおよび定期試験で評価する。 | |||
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総 合 評 価 |
定期試験成績50%,毎回授業で課すレポートおよび自主的に提出されたレポート合わせて50%で評価する. | |||
テキスト | 「人間論の21世紀的課題?応用倫理学の試練」:石崎・山内編(ナカニシヤ出版) |
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参考書 | なし |
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関連科目 | ||||
履修上の 注意事項 |
なし |
週 | 上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など) |
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1 | 哲学とは? |
哲学と科学のアプローチの相違を解説し、「私とは何か」という問題について考えてみる。 | |
2 | 人間とは? |
哲学の根本問題が「人間とは何か」という問題に集約されることを説明し、ヒトと類人猿の相違点についてビデオ教材を視聴して考える。 | |
3 | 技術とは? |
科学技術の問題が「人間とは何か」という哲学的問題と不可分であることを説明し、ハンス・ヨーナスの科学技術についての5つの主張を取り上げ、科学技術の楽観論、悲観論、限定論のいずれに賛成するかを考える。 | |
4 | プラトンとアリストテレスの技術論 |
プラトンとアリストテレスの技術についての考え方の相違点を各々の哲学的立場から解説する。 | |
5 | 科学技術の楽観論(1) |
F.ベーコンの「知は力なり」という言葉に代表される楽観的な技術論とその問題点について解説する。 | |
6 | 科学技術の楽観論(2) |
今日の科学技術の基礎にある近代科学の自然観の特徴を解説し、その問題点を考える。 | |
7 | 科学技術の楽観論(3) |
人間にとって「進歩」とは何か、「進歩」観の歴史を振り返り、果たして科学技術は進歩したと言えるのかを考える。 | |
8 | 科学技術の悲観論(1) |
スィフトの『ガリバー旅行記』に見出される人間へのイロニー(皮肉)を通して科学技術批判を試みる。 | |
9 | 科学技術の悲観論(2) |
レイチェル・カーソンの『沈黙の春』を取り上げ、環境破壊への彼女の警告について考える。 | |
10 | 科学技術の悲観論(3) |
チャップリンの『モダンタイムス』を視聴し、彼の機械文明批判について考える。 | |
11 | 人間の生命と技術(1) |
医療技術の進歩がもたらした生命倫理の歴史を概説する。 | |
12 | 人間の生命と技術(2) |
延命技術の進歩によって生じた積極的安楽死の問題を取り上げ、患者の自己決定権と医者の義務の関係について考える。 | |
13 | 人間の生命と技術(3) |
脳死は「人の死」と言えるかという問題を、脳死臨調答申の中の「死の定義」を取り上げて考える。 | |
14 | 人間の生命と技術(4) |
「サバイバル・ロッタリー」という架空の制度を通して、臓器移植の「最大多数の最大生存」という原理の問題点を考える。 | |
15 | 人間の生命と技術(5) |
臓器不足の対策として動物の臓器を利用する「異種間移植」の是非について、ビデオ教材を視聴して考える。 | |
16 | 人間の生命と技術(6) |
人工妊娠中絶をめぐる保守派、リベラル派、中間派の立場の相違を解説し、いずれに賛成するか考える。 | |
17 | 人間の生命と技術(7) |
体外受精や代理母といった生殖医療技術が他人に危害を及ぼす可能性について考える。 | |
18 | 人間の生命と技術(8) |
他人の精子を使った人工授精によって生まれた子どもの「出自を知る権利」と提供者の匿名性の問題を、ビデオ教材を視聴して考える。 | |
19 | 人間の生命と技術(9) |
出生前診断やクローン技術のヒトへの応用の可能性を解説し、遺伝子技術と人間の尊厳の問題を考える。 | |
20 | 人間と環境と技術(1) |
地球全体主義、自然の権利、世代間倫理という環境倫理の3つの主張について概説する。 | |
21 | 人間と環境と技術(2) |
環境問題が自由主義の原理的欠陥に起因することを「共有地の悲劇」や「囚人のジレンマ」のモデルで解説する。 | |
22 | 人間と環境と技術(3) |
地球全体主義が強権的なエコファシズムに陥る危険性を「救命艇の倫理」のモデルを通して考える。 | |
23 | 人間と環境と技術(4) |
市場社会を前提とした環境保護の可能性を「排出権売買」を扱ったビデオ教材を視聴して考える。 | |
24 | 人間と環境と技術(5) |
鯨のような動物にも生存権を与える可能性について、「動物解放論」と「生態系主義」の立場から考える。 | |
25 | 人間と環境と技術(6) |
現代人は未来世代のために環境を守る義務があるという「世代間倫理」の理論的可能性について解説する。 | |
26 | 人間と機械と情報(1) |
人工知能(AI)開発の基礎には「人間の知識とは何か」という哲学的問題があることを解説し、AI主義と反AI主義のいずれに賛成するか考える。 | |
27 | 人間と機械と情報(2) |
ロボット開発の基礎には「心身問題」という哲学的問題があることを解説し、ロボットにも人間のような心を認めることができるか考える。 | |
28 | 人間と機械と情報(3) |
インターネットが目指す「情報の共有」は知的財産権やプライバシー権と両立するか考える。 | |
29 | 人間と機械と情報(4) |
映像著作権の保護期間延長の問題についてビデオ教材を視聴して考える。 | |
30 | まとめ |
これまでの講義を受講して、改めて科学技術の楽観論、悲観論、限定論を検討する。ディベートを行い、最後に各自の意見を発表する。 | |
備 考 |
中間試験を実施しない。 定期試験を実施する。 |