卒研選択のための研究室紹介



研究テーマ:光合成色素の励起状態の物理化学


 《研究の概要》光合成の明反応では光エネルギーがATP等の化学的エネルギーに変換され,暗反応での糖類の合成に用いられる.明反応の最初の段階,光合成初期過程では,光合成色素が光エネルギーの捕穫・伝達・散逸や電子伝達反応などを担っており,その機能発現には光合成色素の励起状態の特性や蛋白による励起状態の制御が深く関わっている.当研究室では種々の分光法や理論的な解析を用いて,(1) 有機溶媒中での光合成色素の励起状態の特性を調べあげ,(2) 色素蛋白中で励起状態が受けている相互作用を理解し,(3) 光合成色素の機能発現のメカニズムを解明すること,を当面の目標としている.

 基本的に物理化学的色彩が強いが,目的のためには手段を選ばない.光合成バクテリアの培養や色素蛋白質の単離・精製(生化学)から,光合成色素の単離・精製や構造決定(有機化学),種々の分光法による励起状態の検出(物理化学),分子軌道計算などによる理論的解析(物理)まで,あらゆる領域に踏み込んでいる.卒研のテーマはこちらの研究内容と本人の希望を併せて決めようと思う.

 《研究室の稼働状態》卒研の時間は原則として,月から土まで,9時から18時までとしている.しかし,授業が終わってからでも夜遅くまで実験する位の意気込みが欲しいものである.夏休みは2週間,冬休みは1週間としているが,大学編入を希望する場合,第一志望の大学の試験前1ヶ月〜1ヶ月半を休みとしている.

 《学生に望むこと》卒研は学生実験とは全く異なり,「研究」をして自らを磨くところである.一年が過ぎた後,どんな小さなことでも良いから「この現象は私が見つけた・解明した」という結果を出して卒業していってほしいと思う.そういう経験があれば社会に出てからも十分一人で成功していけると思う.何事でも一つのことを成し遂げようと思えばしんどいものである.しかし,物事を成し遂げたときの喜びやその価値は何物にも代え難いものである.その労を惜しみ,日々の享楽に埋没しようと欲するなら,当研究室には来ない方がよいだろう.お互いに不幸である.本気で本当の学問をしよう.

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