【 2024 年度 授業概要】
科   目 熱流体計測 ( Thermal Fluids Measurement )
担当教員 橋本 英樹 教授
対象学年等 機械システム工学専攻・1年・後期・選択・2単位【講義・演習】
学習・教育
目標
A4-AM2(80%), B2(20%)
授業の概要
と方針
熱流体計測は,熱流体を扱うプラントや工業機器において,製品の生産量,原材料の使用料,蒸気や燃料などエネルギ−の消費量などの把握や制御という観点から欠くことのできないものである.流量,流速,圧力,水位(液位),粘性係数,密度,表面張力,温度,熱伝導率などについて,その計測法の原理と特徴,構造と機能,測定上の注意事項などを理解させる.学生による発表形式でプレゼンテーション能力を養う.



1 【A4-AM2】 各種熱流体計測法の原理と特徴,構造と機能,測定上の注意事項を理解できる.
2 【B2】 各種熱流体計測法を資料としてまとめることができると共に,その内容について発表・説明・質疑応答できる.
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1 流量,流速,圧力,水位(液位),粘性係数,密度,表面張力,温度,熱伝導率などについて,その計測法の原理と特徴,構造と機能,測定上の注意事項などを理解できているか,作成資料,発表内容,質疑内容で評価する.
2 作成資料,プレゼンテーションの資料,内容,質疑応答により評価する.
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成績は,プレゼンテーション30% 作成資料30% 質疑応答40% として評価する.アクティブラーニング形式のため試験による評価は行わない.100点満点で60点以上を合格とする.
テキスト 特に指定しない
参考書 「実用流量測定」:松山裕(省エネルギーセンター)
「熱管理技術講義」:日本熱エネルギー技術協会編
関連科目 流体力学I,II,熱力学I,II,計測工学I,II
履修上の
注意事項
上記関連科目のほかに,計測上使用される電気・電子回路などの電気的なことも理解していることが望ましい.

【授業計画( 熱流体計測 )】
上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など)
1 ガイダンス,流体工学および工業熱力学の基礎事項の確認
熱流体計測に必要な連続の式,ベルヌーイの定理,熱力学第1,第2法則などの流体工学および工業熱力学の基礎事項を復習する.
2 差圧式(絞り)流量計(オリフィス,ノズル,ベンチュリー)
管路を局所的に狭くして(絞り),流速の増加(連続の式より)による圧力の減少(ベルヌーイの定理より)を引き起こし,その圧力差から流量を測定する原理と特徴,構造と機能,測定上の注意事項を理解する.担当の学生(2〜3名)が発表し,全員で質疑をする.
3 電磁流量計,超音波流量計
管路を狭めることなく,磁力および超音波の変化特性を用いて流量を測定する方法である.流動抵抗を生じないのが特徴である.これらの原理と特徴,構造と機能,測定上の注意事項を理解する.担当の学生(2〜3名)が発表し,全員で質疑をする.
4 容積式流量計,面積流量計
容積式流量計はギアなどの回転体がつくる空間に流体を閉じ込めて運び,その回数により流量を測定する.面積流量計は,管路に浮子を浮かべその高さにより流量を測定する.これらの原理と特徴,構造と機能,測定上の注意事項を理解する.担当の学生(2〜3名)が発表し,全員で質疑をする.
5 タービン流量計,ピトー管式流量計
特に水道メータに用いられているタービンを回転させて流量を測定するタービン流量計,およびピトー管を管断面内に複数個配置して得られる速度分布から流量を測定するピトー管式流量計の原理と特徴,構造と機能,測定上の注意事項を理解する.担当の学生(2〜3名)が発表し,全員で質疑をする.
6 ピトー管,熱線流速計
流速を求める方法として,動圧と静圧の差を利用して求めるピトー管と電流を通した熱線からの放熱量から求める熱線流速計がある.それらの原理と特徴,構造と機能,測定上の注意事項を理解する.担当の学生(2〜3名)が発表し,全員で質疑をする.
7 LDV, PIV/PTV
2本のレーザー光の交点を通る微小物体により生じるドップラー効果から速度を求めるLDV,粒子の時系列の位置データから画像処理により速度をもとめるPIV/PTVがある.それらの原理と特徴,構造と機能,測定上の注意事項を理解する.担当の学生(2〜3名)が発表し,全員で質疑をする.
8 マノメータ,微圧計
マノメータは圧力を測定する最もシンプルな方法である.また圧力が小さくてマノメータでは読み取り精度が落ちるときには,傾斜マノメータやプラントル式などを用いて拡大して読む.それらの原理と特徴,構造と機能,測定上の注意事項を理解する.担当の学生(2〜3名)が発表し,全員で質疑をする.
9 ブルドン管圧力計,圧力変換器
ブルドン管圧力計は,楕円断面をした管を曲げたもので形状がコンパクトであり,工業装置上,最も広く用いられている.また,電気信号として圧力を測定するために各種の圧力変換器が開発されている.それらの原理と特徴,構造と機能,測定上の注意事項を理解する.担当の学生(2〜3名)が発表し,全員で質疑をする.
10 粘性係数(粘度),密度(比重),表面張力
流体の粘度,密度および表面張力はその流体の基本特性量として重要である.各種粘度計の原理と特徴,構造と機能,測定上の注意事項を理解する.また,各種比重計と表面張力計の原理と特徴,構造と機能,測定上の注意事項を理解する.担当の学生(2〜3名)が発表し,全員で質疑をする.
11 温度
低温から高温まで,各種温度計測方法はあり,測定物質や物質状態により計測機器もかわる.それらの構造と機能ならびに原理と特徴について理解する.担当の学生(2〜3名)が発表し,全員で質疑をする.
12 熱量
熱交換量は温度・流量により決定される.この熱流量を測定する計測機器の構造ならびに原理について理解する.担当の学生(2〜3名)が発表し,全員で質疑をする.
13 発熱量
燃焼現象では物質の状態が変化して,熱は発生する.この熱量を測定する方法について学習する.担当の学生(2〜3名)が発表し,全員で質疑をする.
14 排ガス測定
燃焼により発生する二酸化炭素等排ガス成分は,環境面から重要になっている.それら成分の測定機器の原理ならびに構造について理解する.担当の学生(2〜3名)が発表し,全員で質疑をする.
15 動力
エンジンなど熱機関での動力を有効に取り出すことは,エネルギーの観点からも重要である.そこでこの動力を測定する機器の構造・機能ならびに原理・特徴について理解する.担当の学生(2〜3名)が発表し,全員で質疑をする.


中間試験および定期試験は実施しない. 本科目の修得には,30 時間の授業の受講と 60 時間の事前・事後自己学習が必要である.事前学習では,プレゼンテーションで用いるスライドの作成と発表内容の要旨を作成すること.事後学習では,プレゼンテーションの質疑応答に対する回答書を作成し,提出すること.