【 2024 年度 授業概要】
科   目 プラズマ工学 ( Plasma Engineering )
担当教員 橋本 好幸 教授
対象学年等 電気電子工学専攻・2年・前期・選択・2単位【講義】
学習・教育
目標
A2(30%), A4-AE2(70%)
授業の概要
と方針
プラズマは「物質の第4の状態」と呼ばれ,荷電粒子(イオンと電子)からなる高温・高エネルギーの状態を示す.我々の日常生活では,蛍光灯,プラズマディスプレイ,半導体,発電や表面処理技術など至る所でプラズマが応用されている.本講義では,現在の工学において重要な存在となっているプラズマについて,その基礎特性を理論的に解説する.また,プラズマの生成,計測および応用技術について紹介する.



1 【A2】 プラズマとは何かが説明できる.
2 【A2】 プラズマ中での粒子運動が説明できる.
3 【A2】 プラズマ中での粒子衝突について説明できる.
4 【A4-AE2】 速度分布関数を理解し,温度の概念が説明できる.
5 【A4-AE2】 シースおよびデバイ遮へいとは何か説明できる.
6 【A4-AE2】 両極性拡散とはどのような状態を意味するか説明できる.
7 【A4-AE2】 プラズマ振動について説明できる.
8 【A4-AE2】 プラズマの生成方法が説明できる.
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1 プラズマとは何かが説明できるか,中間試験により評価する.
2 プラズマ中の粒子運動について理解し,それらの動きを式で説明できるかを,中間試験およびレポートにより評価する.
3 プラズマ中の粒子衝突について説明できるか,また,衝突断面積や平均自由行程を計算できるかを中間試験およびレポートにより評価する.
4 速度分布関数について理解しているかどうか,式で表現できるかを中間試験により評価する.
5 シースが形成される原理を説明できるか,また,デバイ遮へいとは何かが説明できるかを定期試験により評価する.
6 両極性拡散がどのようにして起こるかについて説明できるかを定期試験により評価する.
7 プラズマ振動とは何か,また,プラズマ振動が起こる原理が説明できるかを定期試験により評価する.
8 プラズマの生成方法について概略が説明できるかを定期試験により評価する.
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成績は,試験90% レポート10% として評価する.なお,試験成績は中間試験と定期試験の平均点とする.100点満点で60点以上を合格とする.
テキスト 「プラズマエレクトロニクス」:菅井秀郎著(オーム社)
参考書 「プラズマとビームのはなし」:八井 浄,江 偉華共著(日刊工業新聞社)
「プラズマ工学の基礎」:赤正則,岡村克紀,渡辺征夫,蛯原健治共著(産業図書)
「プラズマ物理入門」:内田岱二郎訳(丸善)
関連科目 物理,電気磁気学I, 電気磁気学II, 高電圧工学
履修上の
注意事項
本科目の履修には,電気電子系の専門知識は必要としないが,運動方程式などの力学や微分方程式の解法を理解しておくことが必要である.

【授業計画( プラズマ工学 )】
上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など)
1 プラズマ工学の概要
プラズマとは何か,どのような状態にあるのかを説明する.
2 プラズマ応用の現状
様々な分野でのプラズマ応用について例を挙げながら解説し,プラズマ工学の必要性について説明する.
3 プラズマ中の単一粒子の運動(1)
静電界および静磁界中での単一粒子の運動について解説する.
4 プラズマ中の単一粒子の運動(2)
直交電磁界中での単一粒子の運動について解説する.
5 プラズマ中における粒子の衝突
粒子が衝突することによって起こるエネルギーの授受によって生じる励起や電離について解説する.また,プラズマ中での粒子間の衝突について,衝突断面積や平均自由行程を用いて解説する.
6 速度分布関数と温度の概念
プラズマをマクロに捉らえ,集団としての性質について解説していく.その最初として,速度分布関数を取り扱い,プラズマ中での電子,イオン,中性粒子の速度分布について学習する.
7 プラズマ基礎方程式
プラズマを流体として捉え,プラズマの運動方程式を導出する.
8 中間試験
プラズマとは何か,プラズマの集団運動,温度の概念等について設問する.
9 電気的中性を保つプラズマ(試験返却および解説を含む)
プラズマが電気的中性を保つためのデバイ遮蔽について解説する.また,プラズマパラメータを用いてプラズマと呼ばれるための条件について解説する.(最初に中間試験の返却と簡単な解説を行う.)
10 プラズマ振動
プラズマの集団運動の結果として生じるプラズマ振動について解説する.
11 プラズマの分布と流れ
プラズマは電場や圧力によって,拡散していく.この概念について解説する.
12 固体と接するプラズマ
プラズマが固体と接すると,シースが形成される.このシースが形成される条件について解説する.
13 プラズマの計測方法
ラングミュアプローブを用いて,プラズマ中の電子密度や電子温度を評価する方法について解説する.
14 プラズマの生成方法
プラズマの様々な生成方法について,概略を解説する.
15 プラズマの最新技術動向
様々な科学技術分野におけるプラズマの最新応用について解説する.


前期中間試験および前期定期試験を実施する. 本科目の修得には,30 時間の授業の受講と 60 時間の事前・事後自己学習が必要である.事前学習では,次回の授業範囲について教科書を読み,各自で理解できないところを整理しておくこと.事後学習では,当日の授業の復習を行い,理解度を確認すること.また,適宜,課題を配付するので,指定期日までにレポート提出すること.