【 2023 年度 授業概要】
科   目 制御工学 ( Control Engineering )
担当教員 道平 雅一 教授, 茂木 進一 教授
対象学年等 電気工学科・4年・通年・必修・2単位【講義】 ( 学修単位III )
学習・教育
目標
A4-E3(100%)
授業の概要
と方針
フィードバック制御系の基礎的事項の考え方やそれら相互間の理論的な一貫性を明らかにし,古典制御理論の体系を理解させる.



1 【A4-E3】 与えられた条件から状態方程式を求め,伝達関数を求めることができる.
2 【A4-E3】 伝達関数からブロック線図が示せ,これらから制御系の特徴を理解することができる.また,ブロック線図を簡略化することができる.
3 【A4-E3】 制御系の時間応答を理解し,その特徴が理解できる.
4 【A4-E3】 ボード線図を描くことができ,周波数応答やゲイン余裕等を求めることができる.また,ボード線図から伝達関数を求めることができる.
5 【A4-E3】 各種安定判別法の違いを理解し,制御系の安定判別ができる.
6 【A4-E3】 根軌跡を描くことができ,最適なゲインを決定することができる.また,補償法による効果を定量的に評価できる.
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1 状態方程式から伝達関数が求めることができるかを前期中間試験で評価する.
2 ブロック線図に関する理解度を前期中間試験で評価する.
3 時間応答に関する理解度を前期定期試験で評価する.また,減衰係数による2次遅れ系の時間応答の違いに関する課題を与え,レポートを提出させその理解度を評価する.
4 ボード線図に関する理解度を前期定期試験で評価する.
5 各種安定判別法に関する理解度を後期中間試験で評価する.
6 根軌跡に関する理解度をレポート及び後期定期試験で評価する.
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成績は,試験85% レポート15% として評価する.中間,定期試験の4回の平均の85%(85点)とレポート15点の合計100点満点で60点以上を合格とする.
テキスト 「基礎制御工学」:近藤文治編,前田和夫・岩貞継夫・坪根治広共著(森北出版)
参考書 「詳解 制御工学演習」:明石一,今井弘之 共著 (共立出版)
関連科目 応用数学,電気回路,電気機器
履修上の
注意事項
3年までの電気回路や物理,微分積分などの知識を必要とする場合があるので復習しておくこと.また,ラプラス変換の知識は重要であるのでしっかりと修得しておくこと.

【授業計画( 制御工学 )】
上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など)
1 制御工学の概要
制御工学の古典制御理論と現代制御理論の体系を理解する.また,専門学科を問わず適用される制御工学の特徴を理解する.
2 ラプラス変換
伝達関数は,ラプラス変換された関数で議論されることのメリット等を理解する.また,微分方程式等で与えられる状態方程式をラプラス変換し伝達関数を求めることができる.
3 基本的要素と伝達関数1
一次遅れ系などの基本要素の伝達関数を求めることができる.
4 基本的要素と伝達関数2
複数の基本的要素が接続された場合においても,全体の伝達関数を求めることができる.
5 基本的要素と伝達関数3
与えられた条件から,状態方程式をたて伝達関数を求めることができる.
6 ブロック線図
ブロック線図の特徴を理解し,伝達関数からブロック線図を求めることができる.
7 ブロック線図の合成
各要素毎に示されているブロック線図を簡略化させ,全体の伝達関数を求めることができる.
8 中間試験
1回目から7回目までの範囲の試験を行う.
9 中間試験の解答と解説
中間試験の解答と解説を行う.
10 時間領域における応答1
制御系の応答には,時間応答と周波数応答の2つがあることを説明する.また,2次遅れ系の時間応答波形と伝達関数にどのような関係があるかを理解するとともに応答時間の定義についても理解する.
11 時間領域における応答2
2次遅れ系の伝達関数を逆ラプラス変換することにより時間応答の式を導出できる.
12 周波数領域における応答
周波数伝達関数について説明し,例題を示しながら伝達関数と周波数伝達関数の関連について理解させる.
13 ベクトル軌跡
周波数伝達関数からベクトル軌跡を書くことができる.
14 ボード線図
ボード線図の特徴について説明する.また,1次遅れ系や1次進み系などの基本的な要素のボード線図を書くことができる.
15 ボード線図の合成
複数のボード線図が合成できることを説明する.ボード線図の合成ができるとともに,合成されたボード線図からその伝達関数を求めることができる.
16 定期試験の解答と解説
定期試験の解答と解説を行う.
17 不安定現象と特性方程式,ラウスの安定判別
制御系のパラメータの設定等においては,不安定な状態を招くことがあること,特性方程式から不安定状態をある程度推察できることを説明する.ラウスの安定判別法とその特徴を説明する.特性方程式からラウスの安定判別法で安定判別ができる.
18 フルビッツの安定判別
フルビッツの安定判別法とその特徴を説明する.特性方程式からフルビッツの安定判別法で安定判別ができる.
19 ナイキストの安定判別1
ナイキストの安定判別法とその特徴を説明する.特性方程式からナイキストの安定判別法で安定判別ができる.
20 ナイキストの安定判別2
ナイキストの安定判別では,ゲイン余裕が求めることができることを説明する.実際に安定判別と同時にゲイン余裕を求めることができる.
21 ゲイン余裕と位相余裕
ボード線図からも安定判別ができることを説明する.ボード線図を用いて安定判別でき,ゲイン余裕,位相余裕を求めることができる.
22 制御系と定常偏差
フィードバック制御系の偏差について説明する.これらを理解するとともにオフセットや定常速度偏差を求めることができる.
23 中間試験
16回から22回までの範囲について中間試験を行なう.
24 中間試験の解答・解説
中間試験の解答・解説を行なう.
25 過渡特性の評価1
定常特性以外にも過渡特性の評価が必要であることを説明する.行き過ぎ時間などがどのような数値になっているべきかを理解させる.
26 過渡特性の評価2
共振値と共振周波数,複素平面上における減衰係数の安定領域について説明する.
27 制御系の評価と評価関数,制御系の設計とその基本量
制御系の評価には評価関数と呼ばれるものがあることを説明する.様々な評価関数を知り,それらの特徴を理解する.速応性や安定性はトレードオフの関係にあることを説明し,この両立の重要性について説明する.速応性や安定性を決定するパラメータを理解し,その基本的な設定数値を理解する.
28 根軌跡法1
ゲインKの決定方法に根軌跡があることを説明する.与えられた伝達関数から根軌跡の書き方を説明する.
29 根軌跡法2
描いた根軌跡から,条件に適合する最適なゲインを求める方法を説明する.
30 直列補償
位相進み補償や位相遅れ補償などについて説明する.位相補償によってどのような効果が得られるかを定量的に評価できることを理解させる.


前期,後期ともに中間試験および定期試験を実施する. 本科目の修得には,60 時間の授業の受講と 30 時間の事前・事後の自己学習が必要である.