【 2023 年度 授業概要】
科   目 半導体工学 ( Semiconductor Engineering )
担当教員 河合 孝太郎 准教授
対象学年等 電気工学科・4年・前期・必修・2単位【講義】 ( 学修単位II )
学習・教育
目標
A2(100%)
授業の概要
と方針
これまで学習した半導体デバイスの基礎知識に,定量的なアプローチや量子論的な考え方を加えることで,より深い知識を学ぶ.また,様々な半導体デバイスの動作原理をエネルギーバンド図などを用いながら広く学び,劣化や降伏などの関連する現象も学ぶ.さらに,半導体デバイス作製に用いられる装置やデバイスプロセスの基礎についても学ぶ.



1 【A2】 エネルギーバンド構造を書くことができ,半導体内のキャリア密度を計算により算出できる.
2 【A2】 pn接合ダイオードのI-V特性をキャリア密度から定量的に導出できる.
3 【A2】 pn接合における降伏現象をエネルギーバンド図を用いて説明できる.
4 【A2】 金属と半導体の接触やヘテロ接合などの異種材料の接触構造について,バンド図を基にした電子運動の観点から説明できる.
5 【A2】 MOS構造の動作をエネルギーバンド図をもとに説明できる.
6 【A2】 半導体材料と光の相互作用に関する定量的扱いとエネルギーバンド図を用いた定性的な説明ができる.
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1 エネルギーバンド構造を書くことができ,半導体内のキャリア密度を計算により算出できることを中間試験及びレポートで評価する.
2 pn接合ダイオードのI-V特性をキャリア密度から定量的に導出できることを中間試験及びレポートで評価する.
3 pn接合における降伏現象をエネルギーバンド図を用いて説明できることを中間試験及びレポートで評価する.
4 金属と半導体の接触やヘテロ接合などの異種材料の接触構造について,バンド図を基にした電子運動の観点から説明できることを定期試験及びレポートで評価する.
5 MOS構造の動作をエネルギーバンド図をもとに説明できることを定期試験及びレポートで評価する.
6 半導体材料と光の相互作用に関する定量的扱いとエネルギーバンド図を用いた定性的な説明ができることを定期試験及びレポートで評価する.
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成績は,試験85% レポート15% として評価する.試験85%分は,中間試験と定期試験の相加平均をとる.試験成績85点とレポート成績15点を合わせて100点満点で60点以上を合格とする.総合評価の小数点以下は切り捨てる.
テキスト 半導体工学 第3版-半導体物性の基礎- 高橋清,山田陽一著
参考書 半導体デバイス S.M.ジィー
関連科目 電気材料,応用物理,電子工学
履修上の
注意事項
授業に関係のない私語を一切禁じる.本科3年生の電子工学で修得した半導体デバイスの基本的動作原理に,定量的なアプローチや量子論的な考え方の導入,界面準位などの欠陥や降伏などの劣化を加えて,エネルギーバンドを用いてより深い知識を習得する.したがって,電子工学の内容をしっかりと復習しておいてほしい.

【授業計画( 半導体工学 )】
上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など)
1 Si基板中でのキャリアの振る舞い/真性電導現象および単結晶成長法
Si基板中を流れるキャリアが起こす,ドリフト電流,フォノン散乱,有効質量などについて解説し,これらを基に半導体内におけるドリフト電流の全電流密度を導出する/真性電導現象についてエネルギーバンド図を用いて解説する.また単結晶Siの作製方法として,チョクラルスキー法について解説する.
2 半導体のキャリア密度/pn接合の作製方法
フェルミ・ディラック分布関数と状態密度関数からボルツマン近似を用いて半導体のキャリア密度を導出する.また,真性半導体において,フェルミ準位が禁制帯の中央に存在することについて導出する/pn接合の作製方法について解説する.
3 質量作用の法則及び不純物半導体のバンド構造とフェルミ準位の温度依存性/バイポーラトランジスタの作製
質量作用の法則(pn積)について解説する.また,不純物半導体におけるフェルミエネルギーが温度に依存することについて解説する/バイポーラトランジスタの作製方法を詳細に解説する.
4 pn接合のI-V特性/様々なFET
pn接合ダイオードのI-V特性を定量的にキャリア密度を用いて導出する/接合型電界効果トランジスタやMESFETについて解説する.
5 pn接合の降伏機構/半導体メモリ
なだれ降伏とZener降伏について説明し,それぞれにおける降伏電圧の温度依存性の違いについて,メカニズムも含めて解説する/DRAMやフラッシュメモリの原理について解説する.
6 トンネルダイオードとI-V特性/MOSFETの作製方法と性能向上
まず,トンネル効果とトンネルダイオードのI-V特性について説明し,そのメカニズムをエネルギーバンド図を用いて解説する/MOSFETの作製プロセスと相互コンダクタンス特性の向上について解説する.
7 前半の総復習
前半の内容の総復習を行う.
8 中間試験
前半部分で授業を受けた内容が理解できているかを評価する.
9 中間試験の解答と解説
試験問題の解答と解説,採点基準の説明,試験範囲の復習を行う.
10 金属−半導体接触I/各種材料のエネルギーバンドに関する復習
電子親和力と仕事関数について説明した後,ショットキー接触とショットキーバリアダイオードについて解説する/異種材料接触界面の物性をバンド図を用いて理解するにあたって,必要な事項を復習する.
11 金属−半導体接触II/化合物半導体デバイス
オーミック接触について解説する.また,ショットキー接触の界面において,オーミック接触を実現する方法について解説する/化合物半導体の概要とそれらを採用した半導体デバイスについて解説する.
12 MOS構造/MOS構造のC-V特性
理想MOS構造における蓄積,空乏,反転のそれぞれの状態について解説する/MOS構造におけるC-V特性の測定方法と測定する意義,また,C-V特性の周波数依存性について解説する.
13 ヘテロ接合/実際のMOS構造I
アンアイソタイプヘテロ接合およびアイソタイプヘテロ接合について解説する.また,LEDにおいて採用されるダブルヘテロ接合に基づいた量子井戸構造について解説する/金属と半導体の間で仕事関数に差が生じている場合に,C-V特性に与える影響について解説する.
14 半導体の光吸収/実際のMOS構造II
光と半導体の相互作用に関する数式扱い,吸収係数や侵入長等に関して解説する/界面準位がMOS構造の特性に与える影響と界面準位の軽減方法について解説する.
15 様々なバンド間遷移/実際のMOS構造III
基礎吸収をはじめ,励起子吸収,内殻電子による吸収,不純物励起吸収,伝導吸収について解説する/酸化膜内に固定電荷,捕獲電荷,可動イオンが存在した場合にMOS構造の特性に及ぼす影響について解説する.また,クリーンルームの概要を説明する.


前期中間試験および前期定期試験を実施する. 本科目の修得には,30 時間の授業の受講と 60 時間の事前・事後の自己学習が必要である.事前学習:授業動画を参照して予習すること.事後学習:授業動画の内容を理解しているかを確認するレポートに取り組むこと.