【 2022 年度 授業概要】
科   目 卒業研究 ( Graduation Thesis )
担当教員 応用化学科講義科目担当教員
対象学年等 応用化学科・5年・通年・必修・10単位【研究】 ( 学修単位I )
学習・教育
目標
B1(20%), B2(10%), C2(70%)
授業の概要
と方針
特定のテーマを設定し,授業等で習得した知識と技術を総合して,自主的かつ計画的に指導教官の下で研究を行う.研究を通じて問題への接近の方法を理解し,文献調査や実験,理論的な考察など問題解決の手順を習得して,総合力およびデザイン能力を高める.また,研究成果を口頭で発表し卒業研究論文にまとめることでコミュニケーション能力を身につける.



1 【C2】 研究活動:研究テーマの背景と目標を的確に把握し十分な準備活動を行い,指導教官,共同研究者と連携しながら自主的に研究を遂行できる.
2 【C2】 研究の発展性:得られた研究結果を深く考察し,今後の課題等を示し,研究の発展性を展望することができる.
3 【B1】 発表および報告書:研究の発表方法を工夫し,与えられた時間内に明瞭でわかりやすく発表できる.また.報告書が合理的な構成で研究全体が簡潔・的確にまとめることができる.
4 【B2】 質疑応答:質問の内容を把握し,質問者に的確に回答できる.
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1 研究への取り組み,達成度を卒業研究論文および発表会の内容で評価する.
2 研究活動の状況,研究成果を卒業研究論文および発表会の内容で評価する.
3 中間および最終発表会,卒業研究論文の構成で評価する.
4 中間および最終発表会の質疑応答と質問回答書で評価する.
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研究活動(C-2)を30%,研究の発展性(C-2)を30%,卒業研究論文の構成(B-1)を10%,卒業研究発表会の内容(C-2)を10%,その発表(B-1)を10%,質疑応答(B-2)を10%として評価する.100点満点で60点以上を合格とする.
テキスト 各研究テーマに関する文献,論文等.
参考書 各研究テーマに関する文献,論文等.
関連科目 基礎化学実験,応用化学実験I・II・III
履修上の
注意事項
各専門分野に対する強い興味と未知の分野への探求姿勢が望まれる.

【授業計画( 卒業研究 )】
内容(目標、準備など)
以下の11の分野の中から一つのテーマを選び,1年間担当教員から指導を受け研究活動を行う.


(分野1:大淵)「新規機能性有機化合物および有機金属錯体の合成と応用」
分子デバイス(有機EL素子,有機トランジスタ,分子ワイヤー),触媒,医薬品への展開を図るため,新規な機能性有機化合物および有機金属錯体の合成とその応用を研究している.

(分野2:九鬼)「光合成色素の励起状態の物理化学」
光合成色素の一つカロテノイドの補助集光・光保護作用の機能発現機構を物理化学的視点より研究する.色素蛋白やカロテノイドを単離精製(生化学・有機化学)して種々の分光法を応用(物理化学)したり,理論計算(物理学)を行って,カロテノイドの励起状態の特性を調べ上げ,光合成系での機能発現の機構を考察する.また,光合成色素の太陽電池への応用にも挑戦する.

(分野3:渡辺)「分子の反応性に関する多面的アプローチに関する研究」
分子の反応性について考察する場合,反応速度定数について考慮することはもちろんであるが,分子のポテンシャルなど反応動力学的要素も必要となる.そのためには分光法を主とした実験を行い,必要に応じて量子化学計算などを利用した理論的アプローチも実施する.

(分野4:久貝)「担持金属ナノ粒子の構造制御と触媒機能の改良に関する研究」
ナノ粒子は表面に露出した原子の割合が大きくバルク材料とは異なる物理化学特性を持つ.担持金属ナノ粒子の合成条件と得られたナノ粒子の構造からナノ粒子の生成プロセスを考察するとともに,その構造特性と触媒特性の相関からより高機能な材料の設計を行う.

(分野5:宮下)「金属錯体の立体選択性に関する基礎研究」
金属イオンは多種多様な酸化数や幾何構造を取り得る.光学活性な多座キレート配位子を有する金属錯体を合成し,その立体化学を分光化学的に評価する.錯体の立体選択性に対する金属間相互作用やキラリティーの影響を調査する.

(分野6:根本)「新規機能性高分子の合成および高分子複合体への応用」
本研究では次世代の高分子材料の創製を目指し,熱的・機械的特性や相溶性に優れた機能性高分子の合成を行う.得られる高分子を用いた複合材料は,自動車・飛行機などの輸送用機器や宇宙船開発への応用が期待される.また,化石燃料の枯渇問題や石油製品の焼却による大気汚染などを考慮し,地球に優しい植物由来の原料を用いた高分子合成を行う.

(分野7:小泉)「不安定中間体の化学」
反応中に発生はするが反応活性なため単離ができない中間体 (不安定中間体) の反応性に関する研究を行っている.具体的にはビニルカルベノイドやイミノカルベノイドに着目し,ヘテロ原子や多重結合との分子内,分子間の反応を検討し,新規化合物の創成および反応機構の解明を目指す.

(分野8:下村)「植物のアルミニウムイオン耐性機構に関する研究」
マメ科植物-根粒菌共生に関わる遺伝子やアルミニウムイオン耐性遺伝子の発現解析と機能解析を行う.また,グリーンバイオマスとして着目されているアブラギリの遺伝子組換え法の確立に向けた研究も行う.

(分野9:安田)「新しい機能性無機材料の研究開発」
人体や環境に悪影響を及ぼす大気汚染物質や水質汚濁物質を効率よく浄化するための環境触媒の開発,および触媒活性発現のメカニズムの解明を行う.また,高容量・高出力化などの高機能を有する二次電池材料の開発,および環境や人体に対して有害物質を含まない環境調和型の新規な無機顔料の開発も行う.

(分野10:増田)「粒子・流体材料の工学」
微粒子分散系複合材料への応用を目指し,粒子と流体が混在した物質の挙動および特性に関する研究を行っており,せん断場および伸長場における微粒子の分散・凝集挙動を対象とする.またそれ以外にも電気粘性流体や粉体挙動なども研究対象とする.

(分野11:濱田)「蛍光性炭素ナノ粒子の合成とその応用」
単一光子源や細胞イメージングにおいて, 高い発光効率と高光退色性, 無毒であることは重要である. 合成したカーボンドットをアンサンブルと単一粒子レベルでの測定を通して光学特性を明らかにすることを目指す.


中間試験および定期試験は実施しない. 前期6単位時間,後期14単位時間実施.