【 2022 年度 授業概要】
科   目 有機化学W ( Organic Chemistry IV )
担当教員 小泉 拓也 教授
対象学年等 応用化学科・5年・前期・必修・2単位【講義】 ( 学修単位II )
学習・教育
目標
A4-C1(100%)
授業の概要
と方針
有機化合物の構造や酸と塩基の概念を解説する.有機化学反応を有機電子論や分子構造の概念に基づいて分類し,反応機構を解説し,関連する演習問題を解説することによって理論を理解させる.我が国における有機工業化学を歴史,合成法,製品の用途について各論的に述べる.



1 【A4-C1】 有機化合物の構造や酸と塩基の概念について理解でき,酸性度や塩基性度の強さの違いが理解できる.
2 【A4-C1】 有機化学反応機構を考える上で重要かつ基本的な事項である反応種の分類や中間体の安定性が理解できる.
3 【A4-C1】 有機化学反応機構を考える上で重要かつ基本的な事項である有機電子論が理解できる.これを基に反応別に電子の流れ図を用いて反応機構を考察できる.
4 【A4-C1】 芳香族化合物を命名できる.芳香族化合物の合成法を反応式で記述できる.
5 【A4-C1】 石炭化学工業の歴史,製品の用途が理解できる.石油化学工業の歴史,原油の精製法が理解できる.石油化学製品の合成法が反応式で記述できる.
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1 有機化合物の構造や酸と塩基の概念を理解し,酸性度や塩基性度の強さの違いを化学式などを用いて説明できるかを中間試験およびレポートで評価する.
2 反応種の分類や中間体の安定性を理解し,これらを化学式,文章などを用い説明できるかを中間試験およびレポートで評価する.
3 有機電子論を理解し,有機反応機構を化学式,文章などを用い説明できるかを中間試験およびレポートで評価する.
4 芳香族化合物を命名できるか,および芳香族化合物の合成法が反応式で記述できるかを定期試験およびレポートで評価する.
5 石炭化学工業の歴史,製品の用途,石油化学工業の歴史,原油の精製法,石油化学製品の合成法が反応式,文章を用い説明できるかを定期試験およびレポートで評価する.
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成績は,試験90% レポート10% として評価する.なお,試験成績は中間試験と定期試験の平均点とする.100 点満点で 60 点以上を合格とする.また,自己学習のために与えられたレポートの提出を求める.ただし,原則として,未提出レポートがあった場合は不合格とする.
テキスト 「基礎有機化学演習」:吉原 正邦・神川 忠雄 共著 (三共出版)
「有機工業化学 第 6 版」: 阿河 利男・小川 雅弥・川手 昭平・北尾 悌次郎・木下 雅悦・黄堂 慶雲 共著 (朝倉書店)
参考書 「マクマリー 有機化学 上中下」:J. McMurry 著,伊東 椒・ 児玉 三明・ 荻野 敏夫ら 共訳 (東京化学同人)
「ボルハルト・ショアー 現代有機化学 上下」:K. P. C. Vollhardt・N. E. Schore 共著,古賀 憲司ら 共訳 (化学同人)
「モリソン・ボイド 有機化学上中下」:R. T. Morrison・R. N. Boyd 共著,中西 香爾・黒野 昌庸ら 共訳 (東京化学同人)
「ジョーンズ 有機化学 上下」:M. Jones, Jr. 著,奈良坂 紘一・ 山本 学・中村 栄一ら 共訳 (東京化学同人)
「ハート 基礎有機化学」:H. Hart・L. E. Craine・D. J. Hart 共著,秋葉 欣哉・奥 彬 共訳 (培風館)
関連科目 C2 有機化学 I,C3 有機化学 II,C4 有機化学III
履修上の
注意事項
上記科目を十分学習し,理解しておくことが望ましい.

【授業計画( 有機化学W )】
上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など)
1 酸と塩基 (1)
酸と塩基の強さを支配する因子について解説する.
2 酸と塩基 (2)
酸と塩基の強さを支配する因子について,例題や章末問題など関連する演習問題の解説を行う.
3 化学反応 (1)
反応種の分類・求核性と塩基性の違いについて解説する.例題や章末問題など関連する演習問題の解説を行う.
4 化学反応 (2) および反応機構 (1)
遷移状態説とエネルギー相関図および中間体の安定性について解説する.求核置換反応(SN1)における反応機構について解説する.酸触媒下でのカルボニウムイオンを経る転位反応について解説する.例題や章末問題など関連する演習問題の解説を行う.
5 反応機構 (2)
求核置換反応 (SN2) における反応機構について解説する.脱離反応 (E1) における反応機構および Saytzeff 則について解説する.例題や章末問題など関連する演習問題の解説を行う.
6 反応機構 (3)
脱離反応 (E2) における反応機構および Saytzeff 則,Hofmann 則について解説する.アルケンへの求電子付加反応について解説する.例題や章末問題など関連する演習問題の解説を行う.
7 反応機構 (4)
アルケンへの求電子付加反応およびラジカル付加反応について解説する.Markovnikov 則について反応機構を解説する.例題や章末問題など関連する演習問題の解説を行う.
8 中間試験
第1回目から第7回目の講義内容について試験を行う.
9 中間試験の解説および反応機構 (5)
中間試験の解説を行う.アルケンへの求電子付加反応およびアルケンへの求核付加反応について解説する.例題や章末問題など関連する演習問題の解説を行う.
10 反応機構 (6)
カルボニル化合物への求核付加反応について解説する.例題や章末問題など関連する演習問題の解説を行う.中間試験の解説を行う.
11 反応機構 (7)
カルボン酸誘導体の求核アシル置換反応について解説する.エノラートイオンの反応について解説する.例題や章末問題など関連する演習問題の解説を行う.
12 反応機構 (8)
エノラートイオンの反応およびいくつかの人名反応について反応機構を解説する.ベンゼン環の特徴的な反応である芳香族求電子置換反応について解説する.
13 反応機構 (9),石炭化学および石油化学 (1)
芳香族求核置換反応について解説する.石炭の産出,成因,種類について解説する.石炭の乾留工業,ガス化工業について解説する.石油の産出,成因,原油の蒸留および精製法について解説する
14 石油化学 (2)
原料ガス (水素,一酸化炭素,アセチレン) の製造について解説する.原料ガスから合成 (メタノール,アンモニア等)について解説する.原料ガスから合成 (メタンのハロゲン化,フロンガス等)について解説する.原料ガスから C4,C5 成分の化学製品合成法について解説する.
15 石油化学 (3)
C6 成分の改質について解説する.エチレンおよびプロピレンから合成される化学製品について解説する.


前期中間試験および前期定期試験を実施する. 本科目の修得には,30 時間の授業の受講と 60 時間の事前・事後の自己学習が必要である.事前学習では,教科書等により,授業内容を確認し,各自で理解できないところを整理しておくこと.事後学習では,授業内容をまとめた授業ノートまとめを指定期日までに提出すること.