【 2022 年度 授業概要】
科   目 倫理 ( Ethics )
担当教員 丸山 栄治 非常勤講師
対象学年等 応用化学科・2年・通年・必修・2単位【講義】 ( 学修単位I )
学習・教育
目標
C3(20%), D1(80%)
授業の概要
と方針
私たちは日々,自分や他人の行為の善悪や様々な物事の価値を判断しています.しかし,そうした判断の基準となるものを正確に言葉にすることは必ずしも容易ではありません.そのため,この授業では,先人の倫理思想や現代の倫理的課題を知ることで,自分自身の倫理的判断の基準を捉え直し,吟味することを目指します.



1 【C3】 知に対する人間のあり方について,ヨーロッパの思想の基本的な特徴を理解できる.
2 【C3】 宗教的世界観に固有の特徴を正しく理解できる.
3 【C3】 現代社会の前提となった近代の倫理思想を正しく理解できる.
4 【C3】 現代社会における倫理的問題を正しく理解できる.
5 【D1】 現代社会における倫理的問題について自分の意見を矛盾なく展開できる.
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1 古代ギリシアや近世ヨーロッパの哲学についての理解度を授業プリントや定期試験で評価する.
2 キリスト教,イスラーム,仏教についての理解度を授業プリントや定期試験で評価する.
3 近代における自然観,人間の尊厳,民主社会の思想とその課題に関する理解度を授業プリントや定期試験で評価する.
4 生命倫理,環境倫理の問題についての理解度を授業プリントや定期試験で評価する.
5 現代社会における倫理的問題について自分の意見を矛盾なく展開できるかを授業プリントや定期試験で評価する.
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成績は,試験70% レポート(授業プリント)30% として評価する.100点満点で60点以上を合格とする.
テキスト 村上隆夫『高等学校現代倫理』(清水書院)
『アプローチ倫理資料PLUS』(東京法令)
参考書 山口裕之『語源から哲学がわかる事典』(日本実業出版社,2019年)
その他,適宜紹介します.
関連科目 哲学A,哲学B
履修上の
注意事項
 

【授業計画( 倫理 )】
上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など)
1 「倫理」について考えるとはどういうことか
授業のオリエンテーションを実施する.自分自分の価値観,善悪の基準を表現することを通して,倫理について考えることの意味を確認する.
2 古代ギリシアの思想(1): 初期のギリシア哲学者
万物の始原の探求と,生成を否定したパルメニデスの存在についての探求を学ぶ.
3 古代ギリシアの思想(2): ソクラテス
アテナイの直接民主政,ソフィストの登場,ソクラテスの「無知の知」について学び,知に対する人間のあり方について考える.
4 古代ギリシアの思想(3): プラトン
プラトンのイデアについて学ぶ.特にプラトンが示す知性の特徴を感覚との対比のもとで考える.
5 古代ギリシアの思想(4): プラトン
プラトンによる民主主義に対する批判と理想国家について考える.
6 古代ギリシアの思想(5): アリストテレス
アリストテレスの『形而上学』における学問知と経験知の違いについて学ぶ.
7 古代ギリシアの思想(6): アリストテレス
アリストテレスの『ニコマコス倫理学』における倫理的卓越性について学ぶ.
8 前期中間試験
前期のそれまでの内容について中間試験を実施する.
9 有限性の自覚と宗教
様々なものには限りがあるということをどう捉えるか考え,宗教を理解するための視点を得る.
10 唯一神の宗教(1): キリスト教
ユダヤ教の誕生,キリスト教の成立を概観するとともに,キリスト教の死生観について学ぶ.
11 唯一神の宗教(2): キリスト教
アウグスティヌスの信仰における原罪と自由意志の関係について学ぶ.
12 唯一神の宗教(3): イスラーム
五行に含まれる喜捨を中心にイスラームの宗教生活と社会制度について学ぶ.
13 唯一神の宗教(4): イスラームとキリスト教
アリストテレスの哲学をイスラームやキリスト教の神学がどのように考えたか.主要なテーマの一つである世界の永遠性に関する議論を学び,神学の議論の特徴について知る.
14 古代インド思想と仏教(1)
古代インド思想と仏教について,「輪廻」と「縁起」を中心にその宗教的世界観の特徴を学ぶ.
15 古代インド思想と仏教(2)
浄土真宗の開祖である親鸞の「悪人正機」について学ぶ.
16 デカルト(1)
デカルトの方法的懐疑と第一原理とされる「我思う故に我あり」について学ぶ.数学が持つ普遍性の起源や根拠についても言及する.
17 デカルト(2)
デカルトの心身二元論がもたらした近代的な機械論的自然観について学ぶ.
18 社会契約説
社会,国家は何によって成立するのか.17-18世紀の社会契約説に遡って考える.
19 道徳判断と感情・快苦
感情を道徳判断の原理とするアダム・スミスと,快楽と苦痛を起点として考えるベンサム,ミルの思想について学ぶ.
20 人間の尊厳とは何か
人間の尊厳を人格に見出したカントの思想を学び,意志の自律という視点から人間の尊厳について考える.
21 ジェンダーについて
社会的・文化的につくられた性差の問題について考える.
22 ヘイトスピーチについて
ヘイトスピーチに関する現状を知り,その背景にあるマジョリティの歴史に対する認識について考える.
23 後期中間試験
後期のそれまでの内容について中間試験を実施する.
24 生命科学と倫理(1)
出生前診断と選択的中絶について考える.
25 生命科学と倫理(2)
脳死を人の死と認めることの是非について考える.
26 生命科学と倫理(3)
「安楽死・尊厳死」をめぐる倫理的問題について考える.
27 地球環境と倫理(1)
地球温暖化について学ぶ. 日本と世界全体で温暖化対策に対する認識にどのようなが違いがあるかを取り上げる.
28 地球環境と倫理(2)
ハンス・ヨナスの思想を参照し,未来世代に対する責任について考える.
29 地球環境と倫理(3)
動物実験の問題,動物の権利について考える.
30 ディスカッション
これまでの内容に関して自分自身がどのように考え表現するか検討し,議論する.


前期,後期ともに中間試験および定期試験を実施する.