【 2022 年度 授業概要】
科   目 現代思想文化論 ( A Study of Modern Thinking and Culture )
担当教員 李 明哲 非常勤講師
対象学年等 全専攻・1年・前期・必修・2単位【講義】
学習・
教育目標
D2(100%)
JABEE
基準1(1)
(a)
授業の概要
と方針
本講義では,現代のさまざまな社会問題について哲学・倫理学的にアプローチします.そのさい,「グローバル」「多様性」という二つの視点を重視します.最近の地球規模での感染症拡大にともなう,経済活動の抑制,医薬品等の流通,国家や人種間での差別・分断などの問題も,その一例と言えます.授業方法としては,ディスカッションを多く取り入れ,プリントによる講義で補足する.



1 【D2】 現代の社会問題について,「グローバル」「多様性」という視点から,様々な倫理的対立の論点を理解する.
2 【D2】 現代の社会問題について,自分の意見を矛盾なく展開する.
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1 現代の社会問題について,「グローバル」「多様性」という視点から論点を理解しているか,定期試験および授業レポートで評価する.
2 現代の社会問題について,自分の意見を矛盾なく展開しているか,定期試験および授業レポートで評価する.
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成績は,試験60% 授業中のミニレポート(グループディスカッションでのやりとり)40% として評価する.100点満点で60点以上を合格とする.
テキスト 授業プリントを使用する.
参考書 『これからの「正義」の話をしよう いまを生き延びるための哲学』マイケル・サンデル(早川書房)
『教養としての応用倫理学』浅見昇吾,盛永審一郎編(丸善出版)
ほかにも講義で随時紹介する.
関連科目 応用倫理学
履修上の
注意事項
テーマごとに,グループディスカッションに集中して取り組み,関心と知識を高めていきましょう.

【授業計画( 現代思想文化論 )】
上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など)
1 イントロダクション
「哲学・倫理学」「グローバル」「多様性」それぞれのイメージについて,意見交換し,考えを深める.
2 モラルジレンマ
事例をとおして,どの選択肢もなんらかの犠牲を被る「モラルジレンマ」についての理解を深める.
3 「幸福」は数値化できるか?
「功利主義」について学び,現代の諸問題を考える準備をする.
4 なぜ,子供に「嘘はだめ」と教えるのか?
「カント義務論」について学び,現代の諸問題を考える準備をする.
5 「あの人はいい人」って誰が決める?
「徳倫理学」について学び,現代の諸問題を考える準備をする.
6 公衆衛生における個人の自由
感染症拡大の抑制やその予防において,多数の安全のために,個人の行動制限やワクチン義務化を施す問題を考える.みんなのために我慢すべきか?
7 「機会の平等」は公正か?
社会の多様性実現のために,マイノリティを優遇するアファーマティブアクションの狙いと,それに伴う問題を考える.能力主義の問題についても考察する.運も実力のうち?実力も運のうち?
8 税金徴収は「搾取」か?
経済活動の自由(と市場の原理)を最優先し,福祉政策などの政府による介入を最小限にしようとする「リバタリアニズム」の考え方を学ぶ.自己責任論はどこまで可能か?
9 グローバル化とビジネス倫理
フェアトレードやコンプライアンス,異文化ビジネスや貧富の格差などの理解を深める.
10 みんなにとっての「正義」とは?
公的幸福を追求するH.アーレントの思想を踏まえ,アメリカでの「自由」をめぐるJ.ロールズの「正義論」など「政治的リベラリズム」の論点を知り,「コミュニタリアニズム」からの批判も学ぶ.
11 公民権運動とフェミニズム運動
正義をめぐる議論の背景となった,1950〜60年代アメリカでの黒人差別・女性差別への反対運動の歴史を知る.また,それらの運動が与えた,現代思想や応用倫理学への影響を学ぶ.
12 ジェンダーとLGBTQ
女性らしさ,男性らしさに見る多様性の問題点と,未だにある男女格差の問題を学ぶ.加えて,同性婚が認められていない日本の現状と,性的マイノリティにたいする国際的理解の動きを学ぶ.
13 グローバル化と「障害」
グローバル化された現代において,バリアフリーやパラリンピックなどに注目されがちだが,常に健常者目線に回収されてしまう障害者側からの視点と,その多様性を国内外の活動事例から学ぶ.
14 グローバル化における地球市民
グローバル化における地球市民とはなにか.SDGsを参照しながら考える.
15 まとめ
これまでの内容をまとめ,グループディスカッションをおこなう.


前期定期試験を実施する. 本科目の修得には,30 時間の授業の受講と 60 時間の事前・事後自己学習が必要である.事前学習としては,各回テーマについて自分の知っていることや気になることを整理しておく.インターネットで情報収集する場合は,その情報源(新聞記事や論文など)を確認しておく.事後学習としては,グループディスカッションと講義内容を振り返り,自分が初めて得た見解や,改めて考え直した点を整理しておく.