【 2021 年度 授業概要】
科   目 電気磁気学U ( Electromagnetics II )
担当教員 [前期] 酒井 昌彦 准教授, [後期] 酒井 昌彦 准教授 【実務経験者担当科目】
対象学年等 電気工学科・4年・通年・必修・2単位【講義】 ( 学修単位III )
学習・教育
目標
A2(100%)
授業の概要
と方針
電気磁気学のうち,磁性体,電磁界分野を担当し,講義および演習を行う.この分野では,電流による場と静電界,電流によって作られる磁界発生の現象(アンペアの法則,ビオサバールの法則),電磁誘導現象を理解させることがメインとなる.理解を深めるためにレポート,小テスト(授業中の演習も含む)をできるだけ行う.本講義は担当教員の企業における研究開発経験を踏まえて教授する.



1 【A2】 電流の場と静電界の類似性から接地抵抗の求め方を理解できる.
2 【A2】 磁束密度と磁化の関係,透磁率と磁化率の関係を理解できる.磁気におけるガウスの法則が理解できる.
3 【A2】 ビオ・サバールの法則が理解できる.有限長の電線電流,ループ状電流によって作られる磁束密度が理解できる.
4 【A2】 アンペアの法則が理解できる.無限長の電線電流によって作られる磁束密度の計算,円環ソレノイドの磁束密度が理解できる.
5 【A2】 ベクトルポテンシャルによる磁束密度の求め方について理解できる.
6 【A2】 磁気回路への変換理論が理解できる.またヒステリシス特性をもった磁性体の磁束密度と磁界の関係が理解できる.磁界中の電流に作用する力が理解できる.電磁誘導現象が理解できる.
7 【A2】 電磁誘導の法則を理解できる.運動する導体に発生する起電力について理解できる.
8 【A2】 自己インダクタンス,相互インダクタンスの求め方が理解できる.
9 【A2】 変位電流を理解できる.アンペア・マクスウェルの法則が理解できる.
10 【A2】 マクスウェル方程式および波動方程式と電磁波の概念について理解できる.












1 損失のある媒質に関して,誘電率と導電率さらに静電容量を求めることにより接地抵抗が導出方法の理解程度について,課題レポートと前期中間試験での設問で評価する.
2 磁束密度と磁化の関係,透磁率と磁化率の関係に関する理解程度について,課題レポートと前期中間試験での設問によって評価する.
3 ビオ・サバールの法則の理解程度,有限長の電線電流,ループ状電流によって作られる磁束密度の理解程度について,課題レポートと前期定期試験の設問によって評価する.
4 アンペアの法則の理解程度,無限長の電線電流によって作られる磁束密度の計算,円環ソレノイドの磁束密度の理解程度について,課題レポートと前期定期試験の設問によって評価する.
5 ベクトルポテンシャルに関する演習問題を解き,課題レポートと前期定期試験の設問によって評価する.
6 磁気回路への変換の理解程度,ヒステリシス特性に関する理解程度について,課題レポートと後期中間試験の設問によって評価する.
7 電磁誘導の法則の理解程度,磁束の時間変化に伴う誘導起電力の導出方法について,課題レポートと後期中間試験の設問によって評価する.
8 代表的な形状に関するインダクタンス計算の演習問題を解き,それに関する課題レポートおよび後期定期試験の設問によって評価する.
9 変位電流の概念の理解程度,アンペア・マクスウェルの法則に関する理解程度について,課題レポートと後期定期試験の設問によって評価する.
10 マクスウェルの方程式,マクスウェル方程式からの波動方程式への導出方法,波動方程式から得られる電磁波の概念の理解程度について,課題レポートと後期定期試験の設問によって評価する.




成績は,試験85% レポート15% として評価する.総合評価100点満点で60点以上を合格とする.第三種電気主任技術者試験の理論科目に合格した者は,前期中間・前期定期・後期中間試験のいずれか1回の試験において試験成績が60点以上80点未満だった場合にその試験点数を80点に置き換える.
テキスト 「電磁気学」:宇野享,白井宏共著(コロナ社)
「1冊まるっと電験3種4科目」:伊佐他(電気書院)
参考書 「電磁気学」:多田泰芳,柴田尚志共著(コロナ社)
「電磁気学」:卯本重郎著(昭晃堂)
「電磁気学」:石井良博著(コロナ社)
「電気磁気学」:安達三郎,大貫繁雄共著(森北出版)
関連科目 電気磁気学I,III,電気回路I,II,電気計測
履修上の
注意事項
電気磁気学の静電気を扱う電気磁気学I(3年)の続きとして,電界と磁界とが混同しないよう注意が必要.5年生での電磁波,境界値問題を扱う電気磁気学IIIはIとIIの物理現象の理解が必要.2,3年生の電気回路I,IIとも電流を扱う時の説明で必要.3年生の電気計測はさぐりコイルによる漏れ磁束計測の測定の部分での磁束密度で扱う.

【授業計画( 電気磁気学U )】
上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など)
1 数学的準備
電磁気学を学ぶ上で最低限必要なベクトル・スカラの概念,ベクトル演算,座標変換について復習する.
2 定常電流と保存則
定常電流によって発生する磁界の計算方法および定常電流が存在する空間でのエネルギー保存則について説明する.
3 オームの法則・ジュールの法則
オームの法則およびジュールの法則についてベクトル場を利用して一般化された記述を用いて理解を深める.
4 真空中の静磁界・アンペアの力
電流による磁気作用について説明し,アンペアの力の計算方法とその応用例となる電動機の動作について説明する.
5 ローレンツ力と磁束密度
磁界中を運動する点電荷に働くローレンツ力とその計算方法について説明する.
6 ローレンツ力とその応用
点電荷における一様磁界中のサイクロトロン運動,一様静電界中の放物運動を導出し,電磁偏向型ブラウン管などの産業用陽について紹介する.
7 演習課題による復習
1回目から6回目の内容について演習課題による復習を行う.
8 ビオ・サバールの法則
ビオ・サバールの法則について説明する.
9 中間試験
1週目から7週目の内容について中間試験を実施する.
10 前期中間試験の解説,ビオ・サバールの法則による磁束密度の導出
前期中間試験の解説を行う.有限長直線電流・ループ状電流によって発生する磁束密度の算出方法について演習問題を中心に解説を行う.
11 ベクトルポテンシャルの定義と不定性
ベクトルポテンシャルの定義の解説,ベクトルポテンシャルによる磁束密度の導出方法について説明する.
12 ベクトルポテンシャルによる磁束密度の導出
ベクトルポテンシャルを用いた磁束密度の計算演習を行い,さらに磁気双極子モーメントを導出する.
13 アンペアの法則
アンペアの法則について説明し,定常電流に対するアンペアの力を定量的に導出する.
14 アンペアの法則による静磁界の計算
無限長直線電流・同軸ケーブルによって発生する磁束密度の算出方法について演習問題を中心に解説を行う.
15 演習課題による復習
9回目から14回目の内容について演習課題による復習を行う.
16 磁気回路
電気回路からの類推によって構成される磁気回路の概念と構成について演習問題を中心に解説を行う.
17 磁性体の特性
磁性体の分類と磁性体が有するBH特性・ヒステリシス特性,透磁率などの諸特性について説明する.
18 磁化・磁化ベクトル
磁性材料における磁化・磁化ベクトルの概念,それを応用した物理現象などを紹介し,磁界に対する理解を深める.
19 電磁誘導の法則
ファラデーの電磁誘導の法則と誘導電流,磁界中を運動する導体に発生する電磁力の計算方法について説明する.
20 電磁誘導の法則を応用した現象
電磁誘導を応用した産業機器,うず電流,表皮効果について説明する.
21 演習課題による復習
16回目から21回目の内容について演習課題による復習を行う.
22 後期中間試験
16週目から21週目の内容について中間試験を実施する.
23 後期中間試験の解説,インダクタンスの定義
後期中間試験の解説を行う.またインダクタンスの定義について説明する.
24 インダクタンスの計算方法と応用例
自己・相互インダクタンスの計算方法,変圧器の計算方法について説明する.
25 代表的なインダクタンスの導出
ソレノイドコイル・並行導線などにおける自己インダクタンスの算出方法について演習問題を中心に解説を行う.
26 変位電流とマクスウウェル方程式
変異電流の概念とそれによって拡張されたアンペアの法則を紹介し,そこからマクスウェル方程式を導出する.
27 磁気エネルギーと境界条件
電磁界中に蓄積されるエネルギーと境界面における電磁界の拘束条件について説明する.
28 波動方程式と電磁波
マクスウェル方程式から波動方程式の導出を行い,電磁波の存在とその特性について導出する.
29 ポインティングベクトルとエネルギー保存則
ポインティングベクトルの概念説明および波動方程式からの導出を行い,電磁界のエネルギー場における保存則を説明する.
30 演習課題による復習
23回目から29回目の内容について演習課題による復習を行う.


本科目の修得には,60 時間の授業の受講と 30 時間の事前・事後の自己学習が必要である. 前期,後期ともに中間試験および定期試験を実施する.