【 2021 年度 授業概要】
科   目 化学工学熱力学 ( Chemical Engineering Thermodynamics )
担当教員 久貝 潤一郎 教授 【実務経験者担当科目】
対象学年等 応用化学専攻・1年・前期・選択・2単位【講義】
学習・教育
目標
A4-AC4(100%)
授業の概要
と方針
化学工学単位操作の理解を基礎として,その装置設計やプロセス計算で必要不可欠な流体 (気体,液体) と固体の諸性質の理解とその熱力学的物性値の算出法について講義する.それらの理解を深めるため多くの演習問題を課す.本講義は,担当教員の触媒材料と反応器設計の実務経験を踏まえて,実在流体の熱力学特性の計算法について教授します.



1 【A4-AC4】 理想気体およびその混合物のP-V-T関係を理解し,それを用いて未知量を求めることができる.
2 【A4-AC4】 実在気体およびその混合物のP-V-T関係を理解し,状態式および対応状態原理を用いて未知量を求めることができる.
3 【A4-AC4】 蒸気圧の温度変化を理解し,飽和,部分飽和の概念を用いて湿度の計算ができ,そのプロセスを説明できる.
4 【A4-AC4】 多成分系の気液平衡関係をRaoultの法則とHenryの法則で説明できる.また相律を用いて純成分の相現象を説明できる.
5 【A4-AC4】 凝縮および蒸発を伴う物質収支を乾燥,増湿などの単位操作に適用できる.
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1 レポートおよび中間試験で未知量が計算できるかどうかで評価する.
2 レポートおよび中間試験で対応状態原理を用いて未知量を求めることができるかどうか,また状態式を用いて未知量を求めることができるかどうかで評価する.
3 レポートおよび定期試験で種々の湿度が計算できるかどうかで評価する.
4 定期試験でRaoultの法則とHenryの法則が説明できるかどうか,また相現象を相律を用いて説明できるかどうかで評価する.
5 定期試験で乾燥や増湿過程での物質収支を計算できるかどうかで評価する.
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成績は,試験70% レポート30% として評価する.試験成績は中間試験と定期試験の平均値とする.100点満点で60点以上を合格とする.
テキスト 「化学工学の基礎と計算」 : D. H. Himmelblau著, 大竹伝雄訳 (培風館)
参考書 「演習化学工学熱力学」 : 大竹伝雄, 平田光穂著 (丸善)
関連科目 化学工学I,化学工学II,化学工学量論, 応用物理I(前期)
履修上の
注意事項
上記関連科目の理解を前提に講義を進める.演習を実施するので関数電卓の用意が必要.

【授業計画( 化学工学熱力学 )】
上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など)
1 理想気体の法則
理想気体の法則に含まれる仮定を説明し,その適用範囲について解説する.気体定数Rの算出法を復習し,P-V-T関係の計算演習を実施する.
2 気体の密度と比重
気体の比重と密度の定義の違いについて解説する.気体の比重は基準気体と目的気体の密度が同一温度,同一圧力である場合,気体分子量の比に等しいことを求める.
3 理想気体の混合物
Daltonの分圧の法則,Amagatの偏容積の法則を解説し,気体混合物のP-V-T関係の計算演習を実施する.
4 実在気体の状態式
実在気体の状態式について解説し,そのなかでvan der Waals式とRedlich-Kwong式を用いたP-V-T計算を実施する.
5 対応状態原理
臨界状態,対応状態原理の考え方を解説する.
6 圧縮係数の利用
対臨界状態を用いた圧縮係数の値から実在気体のP-V-T関係が求められることを示す.
7 実在気体混合物の取り扱い
実在気体混合物のP-V-T関係を状態式および対応状態原理を用いて求める演習を実施する.
8 中間試験
上記7回の講義内容について中間試験を実施する.
9 中間試験解説,蒸気圧
中間試験の解説を行う.また,蒸気圧の温度による変化を示し,蒸気が凝縮するプロセスについて解説する.
10 飽和の概念
非凝縮性の気体と混合した凝縮性蒸気の特性を予知する方法について解説する.
11 多成分系の気液平衡
気液平衡の基礎となる2つの法則 (Raoultの法則,Henryの法則) について解説する.
12 部分飽和と湿度
湿度の種々の定義について解説し,その計算演習を実施する.
13 凝縮および蒸発を伴う物質収支1
部分飽和,凝縮,蒸発を含んだ物質収支の問題の解き方を示し,演習を実施する.
14 凝縮および蒸発を伴う物質収支2
前回の続きを行う.
15 相現象
相律の復習と純成分の相現象への適応について解説する.


本科目の修得には,30 時間の授業の受講と 60 時間の事前・事後自己学習が必要である. 中間試験および定期試験は実施しない.