【 2020 年度 授業概要】
科   目 コンクリート工学T ( Concrete Engineering I )
担当教員 [前期] 水越 睦視 教授, [後期] 上中 宏二郎 教授
対象学年等 都市工学科・3年・通年・必修・2単位 ( 学修単位I )
学習・教育
目標
A4-S1(70%), A4-S2(10%), A4-S3(10%), A4-S4(10%)
授業の概要
と方針
鉄筋コンクリート(RC)構造物の設計方法の基礎を学ぶ.曲げを受けるRC梁部材の挙動について,(1)曲げひび割れ発生前,(2)曲げひび割れ発生から降伏まで,(3)終局状態に区分して説明する.また,実験実習の載荷試験とも連携させ,梁部材のせん断破壊と曲げ破壊の違いを説明する.以上より,使用状態のコンクリート応力,鉄筋応力,曲げ耐力,せん断耐力の計算方法を習得させる.また,一様な圧縮力を受けるRC柱部材の挙動についても学ぶ.



1 【A4-S1】 RC構造の特徴と挙動について説明でき,曲げを受ける梁部材の使用状態におけるコンクリート応力,鉄筋応力,降伏耐力,曲げ耐力を計算することができる.
2 【A4-S3】 鉄筋のかぶりと耐久性,鉄筋の配置と施工性の関係について説明できる.
3 【A4-S2】 せん断破壊の特徴やその補強鉄筋の役割を説明でき,せん断耐力を計算することができる.
4 【A4-S4】 柱部材の特徴について説明でき,軸方向耐力を計算することができる.
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1 RC構造の特徴と挙動について説明でき,曲げを受ける梁部材の使用状態におけるコンクリート応力,鉄筋応力については前期中間試験で,曲げ耐力については前期定期試験で評価する.
2 鉄筋のかぶりと耐久性の関係,鉄筋の配置と施工性の関係についてレポートで評価する.
3 せん断破壊の特徴やその補強鉄筋の役割を説明でき,せん断耐力を計算できているかを後期中間試験,レポートで評価する.
4 部材断面の軸方向耐力や曲げ耐力を計算できるか後期定期試験,レポートで評価する.
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成績は,試験70% レポート30% として評価する.試験70%の内訳は中間試験50%,定期試験50%とする.前期と後期の内訳は50%ずつとする.総合評価は100点満点で60点以上を合格とする.
テキスト 「コンクリート構造の基礎〔改定第2版〕」:二羽淳一郎(コロナ社)
参考書 「大学土木 鉄筋コンクリ−ト工学」:町田篤彦 編(オーム社)
「コンクリート構造学」:小林和夫,宮川豊章 他(森北出版)
関連科目 材料学(S2),構造力学I(S2),構造力学II(S3),都市工学実験実習(S3)
履修上の
注意事項
 

【授業計画( コンクリート工学T )】
上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など)
1 ガイダンス,鉄筋コンクリート(RC)構造の特徴と基本
受講のポイントを理解する.RC構造の特徴と基本3条件を理解する.また,コンクリート構造の種類を理解する.
2 設計方法の概念,鉄筋の構造細目が耐久性と施工性に及ぼす影響
RCの設計概念を,限界状態設計法,許容応力度設計法の設計フローの比較と照査方法の観点から,設計法の概要を理解する.また,鉄筋のかぶりと耐久性(中性化,塩害など)の関係,鉄筋の配置と施工性の関係について理解する.
3 曲げを受けるRC梁の挙動(1)-全体挙動(載荷開始から破壊まで)
曲げを受けるRC梁の全体挙動をたわみと曲げひび割れの進展状況と対応付けながら説明できるようになる.
4 曲げを受けるRC梁の挙動(2)-曲げひび割れ発生まで
曲げひび割れ発生のメカニズムと断面の応力分布を理解し,曲げひび割れ発生荷重の計算方法を理解する.
5 曲げを受けるRC梁の挙動(3)-曲げひび割れ発生から鉄筋降伏まで(1)
単鉄筋矩形断面のコンクリートと鉄筋が弾性状態にある使用状態における中立軸深さ,コンクリートの応力度,鉄筋の応力度を断面の力の釣合を考えて計算する方法を理解する.また,降伏荷重を算定できるようになる.
6 曲げを受けるRC梁の挙動(4)-曲げひび割れ発生から鉄筋降伏まで(2)
複鉄筋矩形断面のコンクリートと鉄筋が弾性状態にある使用状態における中立軸深さ,コンクリートの応力度,鉄筋の応力度を断面の力の釣合を考えて計算する方法を理解する.また,降伏荷重を算定できるようになる.
7 ここまでの復習(1)
ここまでのRC理論の復習を行い,理解を深める.
8 ここまでの復習(2)
ここまでの計算演習を行い,理解を深める.
9 RC梁の挙動(5)-鉄筋降伏から曲げ破壊まで(1)
コンクリートが弾塑性域にある終局状態における断面の応力分布を理解し,等価応力ブロックの理論を学び理解する.
10 曲げを受けるRC梁の挙動(6)-鉄筋降伏から曲げ破壊まで(2)
釣合鉄筋比の意味を理解し,式を誘導できるようになる.RC梁の曲げ破壊形式を学び,鉄筋比と釣合鉄筋比から曲げ引張破壊となるか曲げ圧縮破壊となるかを判断することができるようになる.
11 前期中間試験
1から8週目までの範囲から出題する.
12 中間試験の解答・解説および曲げを受けるRC梁の挙動(7)-鉄筋降伏から曲げ破壊まで(3)
単鉄筋矩形断面の曲げ引張破壊の場合の曲げ耐力の計算方法を理解する.
13 曲げを受けるRC梁の挙動(8)-鉄筋降伏から曲げ破壊まで(4)
単鉄筋矩形断面の曲げ圧縮破壊の場合の曲げ耐力の計算方法を理解する.
14 曲げを受けるRC梁の挙動(9)-鉄筋降伏から曲げ破壊まで(5)
複鉄筋矩形断面の場合の曲げ耐力の計算方法を理解する.
15 前期定期試験の解答・解説および前期まとめ
前期定期試験の解答,解説を行い,前期の授業を振り返り学力補充を行う.
16 せん断を受けるRC梁の挙動(1)-RC梁のせん断破壊のメカニズム
主応力度の発生する角度から,梁腹部に斜め引張応力度によるせん断破壊の可能性があることを学び,せん断を受けるRC梁のひび割れ発生状況と応力状態を理解する.また,せん断破壊の特徴,せん断ひび割れの種類,せん断スパン長とせん断破壊形式について理解する.
17 せん断を受けるRC梁の挙動(2)-せん断力分担のメカニズム
RC梁にせん断力が作用した場合,どのような成分でせん断力に抵抗しているかを学び,その分担メカニズムを理解する.
18 せん断を受けるRC梁の挙動(3)-せん断補強鉄筋が配置されていない場合
せん断ひび割れ発生後のせん断補強鉄筋(スターラップ)が配置されていない場合のRC梁のせん断耐力(斜め引張破壊耐力)の算定方法を理解する.
19 せん断を受けるRC梁の挙動(4)-せん断補強鉄筋が配置されている場合
せん断ひび割れ発生後のせん断補強鉄筋(スターラップ)が配置されている場合の耐荷機構とトラス理論について学び理解する.また,修正トラス理論を学び,適切なせん断補強鉄筋(スターラップ)の配置間隔やせん断補強鉄筋径を決定することができきるようになる.
20 せん断を受けるRC梁の挙動(5)-せん断破壊と曲げ破壊の判定
RC梁の曲げ耐力とせん断耐力(斜め引張破壊耐力)を算定し,与えられた部材がどちらの破壊が先行するかを判定することができるようになる.
21 せん断を受けるRC梁の挙動(6)-斜め圧縮破壊耐力
斜め圧縮破壊耐力の算定方法を学び理解する.
22 前期定期試験からここまでの復習
ここまでの復習を行い,理解を深める.
23 後期中間試験
後期中間試験
24 中間試験の解答・解説およびRC柱の挙動(1)-RC柱の特徴と区分
中間試験の解答・解説を行う.RC柱の特徴,短柱と長柱の区分,不可モーメントの影響など,RC柱の概要を理解する.
25 RC柱の挙動(2)-一様な圧縮力を受ける短柱の耐荷力(1)
一様な圧縮力を受けるRC柱の耐荷力を計算することができ,その式の係数の意味を理解する.
26 RC柱の挙動(3)-短柱に配置すべき補強用鉄筋
補強鉄筋の役割,構造細目について理解する.
27 RC柱の挙動(4)-らせん鉄筋柱の耐荷力および長柱の挙動
一様な圧縮力を受けるらせん鉄筋柱の耐荷力を計算することができ,その式の係数の意味を理解する.また,長柱の簡易な判定方法,長柱の構造解析方法の基礎を理解する.
28 曲げを受けるRC梁の挙動(10)-曲げひび割れ発生から鉄筋降伏まで(3)
単鉄筋矩形断面のコンクリートと鉄筋が弾性状態にある使用状態における中立軸深さ,コンクリートの応力度,鉄筋の応力度を換算断面を考えて計算する方法を理解する.
29 後期中間試験からここまでの復習
ここまでの復習を行い,理解を深める.
30 後期定期試験の解答・解説および後期まとめ
後期定期試験の解答,解説を行い,後期の授業を振り返り学力補充を行う.


前期,後期ともに中間試験および定期試験を実施する.前期,後期ともに中間試験および定期試験を実施する.