【 2019 年度 授業概要】
科   目 哲学 ( Philosophy )
担当教員 李 明哲 非常勤講師
対象学年等 全学科・5年・通年・選択・2単位 ( 学修単位I )
学習・
教育目標
C3(80%), D2(20%)
JABEE
基準1(1)
(a),(b)
授業の概要
と方針
哲学と呼ばれる知的営みは, 現在から2500年ほど前,ギリシアにおいて始まった. 以来, 存在とは何か, 心とは何か, 知識とは何か, といった根本的な問題を哲学者は問い続けている. 授業では, 哲学者がどのような問題にどのように取り組みどのような答えを提示したのかを学ぶことで, 人類が長い時間をかけて取り組み続けている問題を知り, 自分もそのような問題について考える喜びを感じ取ることを大きな狙いとする.



1 【C3】 言語や心や時間などにまつわる哲学的問題について, その要点を理解し, 自分なりの哲学的思考ができるようになること.
2 【D2】 過去の哲学者がどのような問題にどのように取り組んだのかを知ることで,哲学的方法論についての理解を深めること.
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1 言語や心や時間などにまつわる哲学的問題について, その要点を理解し, 自分なりの哲学的思考ができるようになったかを小テスト, 定期試験で評価する.
2 過去の哲学者の議論を理解し,哲学的方法論や哲学的思考についての理解を深めることができるようになったかを小テスト,定期試験で評価する.
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成績は,試験80% 小テスト20% として評価する.100点満点で60点以上を合格とする.小テストの評価の割合が大きいのは,哲学の基本的概念を正しく理解していることを確認する機会を小テストとして設けることで,より確実に授業内容が理解できるようにするためである.
テキスト なし.
参考書 授業内でその都度紹介する.
関連科目 倫理
履修上の
注意事項
なし.

【授業計画( 哲学 )】
上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など)
1 イントロダクション 哲学を学ぶとはどういうことか?
哲学とはどのような学問なのかを具体例を挙げて講義することで,「哲学」という学問について,おおまかなイメージが得られるようする.
2 古代ギリシア哲学(1) ソクラテス以前の哲学者たち
ソクラテス以前の哲学者の哲学の要点を講義し,古代ギリシア特有の世界観や自然観を理解できるようにする.
3 古代ギリシア哲学(2) ソクラテス:対話としての哲学
プラトンの対話篇を読みながら,ソクラテス哲学の要点の一つである「哲学的問答法」についての理解を深める.
4 古代ギリシア哲学(3) プラトン:存在の根拠としてのイデア
プラトン哲学の要点を講義し,その後の哲学を学ぶのに不可欠な概念枠組みについての理解を深める.
5 古代ギリシア哲学(4) アリストテレス:機能としての心
アリストテレス哲学の要点を講義し,形而上学,自然学,生物学,倫理学などあらゆる領域にアンテナを伸ばすアリストテレス哲学のエッセンスを理解できるようにする.
6 中世スコラ哲学:神の存在を「証明」してみよう
中世スコラ哲学における「神の存在証明」の議論を講義し,「論理を用いて存在の問題を解くこと」という,哲学に特有の方法論についての理解を深める.
7 近代哲学(1) デカルト(1):「我思う,ゆえに,我あり」
デカルト哲学の「方法的懐疑」について講義し,伝統的に哲学において議論されるテーマである「懐疑論」についての理解を深める.
8 近代哲学(2) デカルト(2):心と身体はどう繋がっているのか?
いわゆる「心身問題」についてのデカルトの考えを学び, 現在においても議論されている「心の哲学」への関心を養う.
9 近代哲学(3) スピノザ:私たちは世界の一部である?
神=自然=世界というスピノザ独自の存在論についての理解を深める.
10 近代哲学(4) ライプニッツ:なぜこの世界に悪があるのか?
この世界は最善世界であるというライプニッツの最善世界説について講義し,現代でも議論される可能世界論や悪の問題についての関心と理解を深める.
11 イギリス経験論(1) ホッブズ:人は人を信頼することができるだろうか?
ホッブズの社会契約説について講義し, 社会的秩序はいかにして可能か?という問題への理解を深める.
12 イギリス経験論(2) バークリ:見えない木は存在するだろうか?
バークリの経験論について講義し, 知覚の哲学の入門的内容についての理解を深める.
13 ドイツ観念論(1) カント(1):私たちは何を知ることができ,何を知ることができないのか?
カントの主著『純粋理性批判』が何を問おうとしているのか,についての理解を深める.
14 ドイツ観念論(2) カント(2):時間や空間は存在しない?
カントのいわゆるアンチノミーについて講義し, 時空間の存在論への関心と理解を深める.
15 ドイツ観念論(3) カント(3):客観的認識はいかにして可能か?
カントの超越論的観念論について講義し, 『純粋理性批判』という書の到達点についての理解を深める.
16 前期のまとめ
前期の授業内容を振り返ることで, 受講生の理解内容を可能な限りで整理する.
17 ドイツ観念論(4) ヘーゲル:精神と自然はどちらが偉い?
ヘーゲルのカント批判や独自の観念論について講義し, 理解を深める.
18 生の哲学(1) ベルグソン:アキレスはなぜ亀を追い越すことができる?
いわゆる「ゼノンのパラドクス」を取り上げて, ベルグソン独自の時空間論を講義し, 理解を深める.
19 生の哲学(2) ニーチェ:誰が神を殺したのか?
ニーチェのよく知られた「神は死んだ」という文言の背景にある主張を講義し, 理解を深める.
20 現象学(1) フッサール(1):科学は厳密ではない!
フッサールが現象学を創始する背景である科学主義批判について講義し, 理解を深める.
21 現象学(2) フッサール(2):他人が心を持つとどうやったらわかるのか?
いわゆる「他我問題」へのフッサール現象学のアプローチについて講義し, 理解を深める.
22 現象学(3) ハイデガー(1):「存在する」とはどういうことを言っているのか?
ハイデガーの形而上学批判である「存在忘却の歴史」について講義し, それまでの授業内容を振り返りつつ, ハイデガーの西洋哲学史批判についての理解を深める.
23 現象学(4) ハイデガー(2):私たち人間はどのような存在であるのか?
ハイデガーの主著『存在と時間』の概要について講義し, その要点の理解を深める.
24 言語論的転回(1) フレーゲ:論理学の革命
フレーゲの論理学が伝統的論理学をどう革新したのかを講義し, その要点の理解を深める.
25 言語論的転回(2) ラッセル:「現在の日本の大統領は男性である」という文は正しい?間違い?
ラッセルの記述理論について講義し, その要点の理解を深める.
26 言語論的転回(3) ウィトゲンシュタイン:哲学の問題は偽物の問題である
ウィトゲンシュタインの主著『論理哲学論考』について講義し, ウィトゲンシュタインが哲学の問題は擬似問題であると考えた理由についての理解を深める.
27 分析哲学(1) 言語なんてものは存在しない?
「言語などというものは存在しない」という言語哲学者ドナルド・デイヴィドソンのテーゼを理解するために, 寛容の原理や根源的解釈といった事項について講義する.
28 分析哲学(2) 「この教室にドラゴンはいない」はなぜ正しい?
現代の分析的形而上学において議論されるtruthmaker理論について講義する. これにより, 言語と世界の結びつきについての理解を深める.
29 フランス現代思想
構造としての言語や意識が人間の思考を規定しているという20世紀フランス哲学に特徴的な主張を講義し, その内容の理解を深める.
30 まとめ
これまでの授業内容を総括し, 一年間学んだことを振り返ることで哲学を学んだ意義を受講生各自が感じ取れるようにする.


前期定期試験および後期定期試験を実施する.また,受講生の理解度や関心などに応じて授業内容を変更することがある.