【 2019 年度 授業概要】
科   目 応用無機化学U ( Applied Inorganic Chemistry II )
担当教員 松本 久司 非常勤講師
対象学年等 応用化学科・5年・後期・選択・2単位 ( 学修単位II )
学習・教育
目標
A4-C2(100%)
授業の概要
と方針
無機酸(硫酸・硝酸・塩酸・リン酸),塩,ソーダ,アンモニアの工業的な製造法,用途,合成理論などについて講述する.工業製造プラントについて概説し,製造コスト削減・合理的製造法に向けた技術進歩の過程について解説する.無機工業化学製造技術の進歩が環境調和と密接に関連してきたことを理解する.製造に伴う汚染物質排出抑制対策として原料使用効率の向上が効果的であることを理解すると共に主要な無機汚染物質の排出ガス浄化処理技術について解説する.



1 【A4-C2】 無機酸(硫酸・硝酸・塩酸・リン酸)の製造原理,製造技術の歴史,用途について理解する.
2 【A4-C2】 無機酸(硫酸・硝酸・塩酸・リン酸)の工業的製法と製造工程について理解する.
3 【A4-C2】 海水からの製塩,ソーダ工業,アンモニアの製造原理,製造技術の歴史,用途について理解する.
4 【A4-C2】 製造理論に関して化学反応,転化率,反応率,反応条件について理解し,関連した計算ができる.
5  
6  
7  
8  
9  
10  












1 無機酸(硫酸・硝酸・塩酸・リン酸)の製造原理,製造技術の歴史,用途について理解し説明できるかを中間試験,レポートおよび小テストで評価する.
2 無機酸(硫酸・硝酸・塩酸・リン酸)の工業的製法と製造工程についてについて理解し説明できるかを中間試験,レポートおよび小テストで評価する.
3 海水からの製塩,ソーダ工業,アンモニアの製造原理,製造技術の歴史,用途について理解し説明できるかを定期試験,レポートおよび小テストで評価する.
4 製造理論に関して化学反応,転化率,反応率,反応条件について理解し説明できるか.また関連した計算問題が解けるかを中間試験・定期試験,レポートおよび小テストで評価する.
5  
6  
7  
8  
9  
10  




成績は,試験85% レポート10% 小テスト5% として評価する.なお試験成績は中間試験と定期試験の平均点とする.100点満点で60点以上を合格とする.
テキスト 「無機工業化学 第4版」:安藤 淳平・佐治 孝 共著(東京化学同人)
参考書 「新しい工業化学」:足立 吟也・岩倉 千秋・馬場 章夫 編(化学同人)
「無機工業化学」:太田 健一郎・仁科 辰夫・佐々木 健・三宅 通博・佐々木 義典 共著(朝倉書店)
関連科目 無機化学I(C2),・無機化学II(C3),化学工学I(C3),化学工学・II(C4),物理化学I(C4),材料化学(無機)(C5),環境化学(C5).
履修上の
注意事項
上記関連科目を十分学習し,理解しておくことが望ましい.

【授業計画( 応用無機化学U )】
上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など)
1 工業化学総論(化学工業の特徴,資源とエネルギ−,世界の化学工業製品の動向,課題)について
無機化学工業に属する工業の分類について説明する.資源・エネルギーと工業化の関連,排出物による環境汚染問題などの課題の克服と技術進歩の歴史について講述する.世界の無機工業製品製造量の推移と動向について解説する.
2 硫酸工業(1)
硫酸製造技術の歴史と硫酸の用途について説明する.硝酸式製造方法およびその概要について解説する.接触式製造法について解説する.
3 硫酸工業(2)
接触式硫酸製造理論について化学平衡,物質収支の面から講述する.この反応で使用する原料,触媒,設備の特徴について解説する.各種濃度の硫酸製品調製方法について演習を交えながら学習する.
4 硫酸工業(3)・製造の理論
各種の条件で三酸化硫黄を製造した時の排ガス組成と転化率について演習を交えながら学習する.工業的生産時における反応効率の改善方法と原料使用率,排出物の削減効果について演習を交えながら説明する.
5 硝酸工業
硝酸製造方法の技術的発展と用途について説明する.アンモニア酸化法による製造方法の基礎理論について説明する.
6 塩酸工業
塩酸の製造方法別生産量の推移について,関連産業の需給バランスに関連づけて解説する.塩素と水素からの塩酸製造方法(合成塩酸製造方法)と副生塩酸製造方法について講述する.塩酸の用途について説明する.
7 リン酸工業
りん鉱石からのリン酸製造方法には湿式法と乾式法がある.特に湿式法を取り上げて製造基礎理論を講述する.リン酸の用途について説明する.副生成物として得られる石膏の工業的製造条件と,リン酸製造技術との密接した関連性について解説する.
8 中間試験
第1週から第7週までの内容で中間試験を行う.
9 中間試験の解答・製塩(1)
中間試験について解説する.塩の輸入状況,用途について説明する.海水からの製塩法(天日塩田法)の概要について説明する.
10 製塩(2)
イオン交換膜電気透析法における採かん工程とせんごう工程について解説する.
11 ソーダ工業(1)
ソーダ工業の分類,電解ソーダ法(隔膜法,水銀法,イオン交換膜法)による苛性ソーダ製造について解説する.
12 ソーダ工業(2)
ソーダ灰工業(アンモニアソーダ法と塩安ソーダ法)およびソーダ製品の用途について説明する.
13 アンモニア工業(1)
アンモニア合成技術の歴史的変遷について説明する.また,ハーバーボッシュ法によるアンモニア製造の合成理論について解説する.
14 アンモニア工業(2)
アンモニア合成用水素ガスの製造方法について解説する.ハーバーボッシュ法による合成装置の特徴や合成条件について講述する.
15 定期試験の解答・排気ガスの浄化技術・総括
定期試験について解説する・排煙脱硫技術,排煙脱硝技術,集じん装置(遠心力集じん装置,電気集じん装置)の原理と構造および機能について解説する.本講義について総括する.


本科目の修得には,30 時間の授業の受講と 60 時間の自己学習が必要である. 後期中間試験および後期定期試験を実施する.