【 2018 年度 授業概要】
科   目 コンクリート工学 ( Reinforced Concrete )
担当教員 (前期)高科 豊 准教授,(後期)水越 陸視 教授
対象学年等 都市工学科・3年・通年・必修・2単位 ( 学修単位I )
学習・教育
目標
A4-S1(70%), A4-S2(10%), A4-S3(10%), A4-S4(10%)
授業の概要
と方針
コンクリート構造物の設計方法を学ぶ.特に,柱部材,梁部材の終局限界状態について考える.断面を算定照査する上で,引張鉄筋の降伏靱性設計の概念,コンクリ−ト強度の引張・圧縮の役割分担をRC部材断面を通して把握する.また実験実習との連携を充足する.



1 【A4-S1】 RC構造の特徴と力学的役割を説明できる.
2 【A4-S3】 材料強度のばらつきや安全性のあり方を説明できる.
3 【A4-S4】 柱部材や梁部材の軸方向耐力や曲げ耐力を計算できる.
4 【A4-S2】 曲げを受けるRC梁部材の曲げひび割れの進展に伴う断面の応力分布の変化と曲げ破壊形式を説明できる.
5 【A4-S2】 せん断破壊の特徴やその補強鉄筋の役割を説明できる.
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1 RC構造の特徴と力学的役割を理解できているか前期中間試験で評価する.
2 材料強度のばらつきを正規分布の利用で計算できるかをレポートで評価する.
3 部材断面の軸方向耐力や曲げ耐力を計算できるか前期定期試験で評価する.
4 曲げを受けるRC梁部材の曲げひび割れの進展に伴う断面の応力分布の変化と曲げ破壊形式を理解できているかを後期中間試験で評価する.
5 せん断破壊の特徴やその補強鉄筋の役割を理解できているかを後期定期試験で評価する.
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成績は,試験70% レポート30% として評価する.100点満点で,60点以上を合格とする.中間試験と定期試験の割合は同じとする.
テキスト 「鉄筋コンクリート工学」近藤泰夫・岸本進・角田忍著(コロナ社)
参考書 「鉄筋コンクリ−トの設計」,吉川弘道著(丸善)
関連科目 材料学
履修上の
注意事項
 

【授業計画( コンクリート工学 )】
上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など)
1 鉄筋コンクリート(RC)構造の力学的意義・特徴
外力に対して,鉄筋は引張力,コンクリ−トは圧縮力を受け持つことで,鉄筋コンクリ−ト構造物の力学的な役割分担を理解する.
2 設計方法概念(限界状態設計法,許容応力度設計法の比較)
鉄筋コンクリ−トの設計概念を,限界状態設計法,許容応力度設計法の各設計フロ−比較と照査の観点から,概観を説明する.
3 材料の性質と応力ひずみ曲線のモデル化
鉄筋とコンクリ−トの応力ひずみ曲線の違い,実際上の曲線と設計モデル化されたものを比較し,その適用の根拠を考える.
4 設計強度,安全係数及び特性値(材料強度のばらつき考慮)
コンクリ−トの圧縮強度分布が正規分布を示すことで,統計学的に強度を特性値として安全性が考慮されていることを学ぶ.
5 終局限界状態に対する検討(軸方向圧縮を受ける部材)
軸方向圧縮力を受ける柱部材を検討する.実構造物柱部材には,施工誤差・寸法誤差による偏心軸方向力の問題や長柱・短柱の問題があることを説明する.
6 帯鉄筋柱の構成・構造細目・設計軸方向中心軸圧縮耐力
帯鉄筋柱での軸方向鉄筋と帯鉄筋の役割を解説する.
7 座屈現象と長柱の低減係数
オイラ−の提唱した中心圧縮性の長柱理論を紹介し,柱の座屈現象を理解する.
8 前期中間試験
前期中間試験
9 らせん鉄筋柱
らせん拘束力や破壊現象における様相が異なること(らせん効果)を説明する.
10 らせん鉄筋柱の計算問題
柱の長さや断面諸元を与え,らせん鉄筋断面を計算させる.また,この時,構造細目や細長比を考えながら,設計軸方向中心軸圧縮耐力の計算を行う.
11 曲げを受ける梁部材
曲げを受ける梁部材の終局限界状態の検討を取り上げる.
12 梁部材の曲げ挙動と釣合い鉄筋比と破壊形式
RC梁部材の曲げ挙動を概観的に説明し,曲げ破壊形式を判別する上で,釣合い破壊を検討し,釣合い鉄筋比と断面の鉄筋比を比較する必要があることを学習する.
13 等価応カブロックの力学的仮定
圧縮部コンクリ−トの応力分布は,非線形分布になるが,その分布形状を等価応力ブロックとして,設計曲げ耐力を計算する上で,置換できることを証明する.
14 複鉄筋長方形断面RC梁において,圧縮鉄筋が降伏する・しない場合の検討
圧縮鉄筋・引張鉄筋を区分し,圧縮鉄筋がコンクリ−トに生ずる圧縮応力の一部を分担することを学習する.終局状態において,応力分布は非線形になるが,歪み分布は線形であることから,圧縮鉄筋に生ずる応力度を算定できることを学習する.
15 前期定期試験返しと見直し
前期定期試験の見直し及び学力補充を行う.
16 曲を受けるRC梁のひび割れ進展と断面の応力分布の変化
曲げひび割れ発生のメカニズムと断面の応力分布を理解し,曲げひび割れ発生荷重を求めることができる.また,曲げひび割れ進展に伴う断面の応力分布の変化を説明できる.
17 使用限界状態における曲げを受けるRC梁に生じる応力度(1)
断面の力の釣り合いからコンクリートと鉄筋が弾性体である場合の曲げ作用時の中立軸の位置,コンクリートの応力度,鉄筋の応力度を求めることができる.
18 使用限界状態における曲げを受けるRC梁に生じる応力度(2)
換算断面の考えてコンクリートと鉄筋が弾性体である場合の曲げ作用時の中立軸の位置,コンクリートの応力度,鉄筋の応力度を求めることができる.
19 終局限界状態における曲げを受けるRC梁の曲げ耐力(1)
コンクリートが弾塑性体となった場合の断面の応力分布を理解し,等価応力ブロックの理論を説明することができる.
20 終局限界状態における曲げを受けるRC梁の曲げ耐力(2)
RC梁の曲げ破壊形式を学び.鉄筋比と釣り合い鉄筋比から曲げ引張破壊となるか曲げ圧縮破壊となるかを判断することができる.
21 限界状態設計法によるRC梁の安全性の照査
土木学会コンクリート標準示方書による曲げ破壊に対する安全性の照査方法を理解する.
22 許容応力度設計法によりRC梁の安全性の照査
設計断面に生じるコンクリートおよび鉄筋の応力度が各々許容範囲内にあるかどうかを判定することができる.
23 後期中間試験
後期中間試験
24 RC梁のせん断破壊のメカニズム
主応力度の発生する角度から,梁腹部に斜め引張応力度によるせん断破壊の可能性があることを学ぶ.
25 せん断破壊と曲げ破壊の違い
せん断破壊の特徴,せん断ひび割れの種類,せん断スパン長とせん断破壊形式について理解する.
26 RC部材におけるせん断力分担のメカニズム
RC梁にせん断力が作用した場合,どのような成分でせん断力に抵抗しているかを図解しながら説明し,その分担メカニズムを理解する.
27 コンクリ−トの受け持つ設計せん断耐力
土木学会のコンクリ−トの受け持つせん断耐力式を用いて,せん断補強鉄筋が無い場合もRC梁のせん断耐力が算定できるようになる.
28 せん断補強鉄筋がある場合のRC梁のせん断耐力
修正トラス理論を用いてせん断補強鉄筋がある場合のRC梁のせん断耐力が算定できるようになる.
29 RC梁のせん断破壊と曲げ破壊の判定
RC梁の曲げ耐力とせん断耐力を算定し,与えられた部材がどちらの破壊が先行するかを判定することができるようになる.
30 後期定期試験の返しと見直し
後期定期試験の見直し及び年間を通して学力補充を行う.


前期,後期ともに中間試験および定期試験を実施する.