【 2018 年度 授業概要】
科   目 材料化学 ( Material Chemistry )
担当教員 (前期)安田 佳祐 准教授, (後期)根本 忠将 准教授
対象学年等 応用化学科・5年・通年・必修・2単位 ( 学修単位III )
学習・教育
目標
A2(100%)
授業の概要
と方針
前期に関しては,無機材料の機能発現に大きく関与する無機固体構造について解説する.加えて,触媒,磁性材料,電池,化学センサなどの様々な無機材料の性質や種類,発現メカニズムについて解説する.後期に関しては,現在までの日本の化学工業の姿を紹介し,その基礎となる有機工業化学を歴史,製造法および製品の用途について解説する.製造法については,有機化学,高分子化学等の基礎化学をもとに解説する.



1 【A2】 結晶系の分類や結晶格子面の表記方法,イオン半径比と配位数の関係,代表的な結晶構造が理解できる.
2 【A2】 イオン伝導性を示す物質の構造と発現メカニズムが理解できる.
3 【A2】 触媒の種類や特徴,触媒機能の発現原理,環境触媒への応用が理解できる.
4 【A2】 磁性材料や超伝導材料の機能や種類,作動原理が理解できる.
5 【A2】 電池,光触媒,化学センサ,顔料の機能や用途,発現原理が理解できる.
6 【A2】 パルプから紙の製造工程の原理,さらには油脂からの各種製品の製造工程および製造原理が理解できる.
7 【A2】 各種ゴム化合物の化学構造と性質が理解できる.
8 【A2】 天然繊維の化学と工業が理解できる.
9 【A2】 化学繊維の性質が理解できる.ビスコースおよびキュプラレーヨン,アセテート,ポリアミド,ナイロン,ポリエステル繊維等の構造が記述でき,製造法および特徴が理解できる.
10 【A2】 高分子の物性が理解できる.重合反応,重合法が理解できる.各種プラスチックの構造が記述でき,特徴が理解できる.プラスチックの成型加工が理解できる.












1 結晶系の分類や結晶格子面の表記方法,イオン半径比と配位数の関係,代表的な結晶構造を文章ならびに図を用いて説明できるか前期中間試験およびレポートで評価する.
2 イオン伝導性を示す物質の構造と発現メカニズムを文章ならびに図を用いて説明できるか前期中間試験およびレポートで評価する.
3 触媒の種類や特徴,触媒機能の発現原理,環境触媒への応用を文章ならびに図を用いて説明できるか前期中間試験およびレポートで評価する.
4 磁性材料や超伝導材料の機能や種類,作動原理を文章ならびに図を用いて説明できるか前期定期試験およびレポートで評価する.
5 電池,光触媒,化学センサ,顔料の機能や用途,発現原理を文章ならびに図を用いて説明できるか前期定期試験およびレポートで評価する.
6 パルプおよび紙の製造工程の概略および原理について,文章を用いて,さらには油脂からの各種製品の製造工程および製造原理について,文章ならびに図を用いて説明できるか後期中間試験およびレポートで評価する.
7 各種ゴム化合物の化学構造と性質を関連付けながら文章を用いて説明できるか後期中間試験およびレポートで評価する.
8 天然繊維の化学と工業について,文章を用いて説明できるか後期定期試験およびレポートで評価する.
9 代表的な繊維の構造が記述でき,化学繊維の製造法および特徴について,さらに不織布,合成紙,合成皮革の違いについて,文章を用いて説明できるか後期定期試験およびレポートで評価する.
10 高分子の物性を文章を用いて,重合反応をスキームを用いて,各種プラスチックの構造・特徴ならびに成型加工を関連付けながら文章を用いて説明できるか後期定期試験およびレポートで評価する.




成績は,試験90% レポート10% として評価する.試験成績は中間と定期の平均点とし,前期は,試験90%,レポート10%として総合評価する.後期は,試験90%,レポート10%として評価する.前期と後期の平均で総合評価とする.100点満点で60点以上を合格とする.
テキスト 「現代無機材料科学」:足立 吟也・南 努 編著 (化学同人)
「有機工業化学 第6版」:阿河 利男・小川 雅弥・北尾 悌次郎・木下 雅悦・黄堂 敬雲 著 (朝倉書店)
参考書 「新無機材料科学」:足立 吟也・島田 昌彦・南 努 編著 (化学同人)
「無機材料入門」:塩川 二朗 著 (丸善)
「固体化学の基礎と無機材料」:足立 吟也 編著 (丸善出版)
「化学工業概論」 : 弘岡 正明 編著 (丸善)
「コンパクト高分子化学」:宮下 徳治 著 (三共出版)
関連科目 分析化学I(C2)・II(C3),無機化学I(C2)・II(C3),有機化学I(C2)・II(C3),有機合成化学(C4),高分子化学(C4),物理化学I(C4)・II(C5)
履修上の
注意事項
上記の関連科目を十分学習し,理解しておくことが望ましい.

【授業計画( 材料化学 )】
上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など)
1 無機材料科学の基礎,無機固体の結晶構造(1)
材料と物質の違い,形態や機能について説明する.また,空間格子や結晶系について説明する.
2 無機固体の結晶構造(2)
ミラー指数の表記方法,結晶の充填,イオン半径比の規則について説明する.
3 イオン結晶の性質
岩塩型構造,塩化セシウム型構造,蛍石型構造などの代表的な結晶構造を取り上げ,特徴と機能について説明する.
4 イオン伝導体
イオン伝導性を示す物質の構造と発現のメカニズムについて説明する.
5 触媒(1)
触媒の特徴,機能,種類について説明する.
6 触媒(2)
触媒表面での分子の活性化と触媒機能の発現について説明する.
7 環境触媒
自動車用触媒などの環境触媒について説明する.
8 中間試験
第1週から第7週までの内容で中間試験を実施する.
9 磁性材料(1)
磁性材料の発現原理について説明する.
10 磁性材料(2),超伝導材料(1)
磁性材料の構造や応用例について説明する.また,超伝導性を示す物質の発現のメカニズムについて説明する.
11 超伝導材料(2)
超伝導材料の構造や種類および発見の歴史や応用例について説明する.
12 電池
電池の構成および化学電池と物理電池の基本的原理や種類について説明する.
13 顔料
顔料の物理的性質について説明する.また,無機顔料の種類や特徴について説明する.
14 光触媒
光触媒の発現機構・結晶構造・製造方法について説明する.
15 化学センサ
化学センサの種類や特徴について説明する.
16 木材化学,パルプ工業
木材の構成成分ならびにパルプを製造する工程および原理について説明する.
17 パルプ・紙の製造
パルプの製造法のうち,化学パルプ法について説明する.また,紙の製造法についても説明する.
18 油化学工業(1)
油脂の詳細について説明する.ケン化価およびヨウ素価についても説明する.
19 油化学工業(2)
油脂の精製法ならびに油脂から各種製品を製造する工程について説明する.
20 脂肪酸関連工業,界面活性剤工業(1)
脂肪酸を原料とした種々製品の製造法ならびに界面活性剤の代表例とその働きについて説明する.
21 界面活性剤工業(2)
構造の違いにより界面活性剤を分類し,それぞれの特徴や用途について説明する.また,非イオン界面活性剤の親水性の度合いを示すHLB値について説明する.
22 ゴム工業(1)
天然ゴム,合成ゴムの化学構造と性質について説明する.
23 中間試験
第16週から第23週までの内容で中間試験を実施する.
24 ゴム工業(2)
代表的な合成ゴムの用途とその加工法について説明する.
25 化学繊維工業(1)
化学繊維の性質・分類について説明する.繊維を作成する方法(紡糸法)について説明する.
26 化学繊維工業(2)
再生繊維の一つであるビスコースレーヨンについて説明する.合成繊維のうち,ポリアミド繊維,ビニロン,アクリル繊維,ポリエステル繊維の製造法および特徴について説明する.
27 化学繊維工業(3),プラスチック工業(1)
合成繊維のうち,ポリオレフィン繊維,ポリウレタン,炭素繊維,ガラス繊維,不織布,合成皮革の製造法および特徴について説明する.プラスチック工業の歴史と現状について説明する.
28 プラスチック工業(2)
主なプラスチックの原料高分子の物性について説明する.ラジカル重合,カチオン重合,アニオン重合について高分子化学工業的見地から説明する.
29 プラスチック工業(3)
塊状重合,溶液重合,乳化重合および懸濁重合について説明し,付加重合系プラスチック,重付加系プラスチック,重縮合系プラスチックの特徴および製造法を説明する.
30 プラスチック工業(4)
プラスチックの成型加工について説明し,機能性プラスチックの構造および機能について説明する.


本科目の修得には,60 時間の授業の受講と 30 時間の自己学習が必要である. 前期,後期ともに中間試験および定期試験を実施する.