【 2018 年度 授業概要】
科   目 大気環境化学 ( Atmospheric Enviroment )
担当教員 根津 豊彦 特任教授
対象学年等 応用化学専攻・1年・後期・選択・2単位
学習・教育
目標
A2(40%), A4-AC1(20%), A4-AC2(20%), A4-AC3(20%)
授業の概要
と方針
大気環境問題の実態を把握し,効果的対策を構築するにあたり,汚染物質測定技術や汚染物質間で生じる化学反応機構を知ることは重要である.大気汚染物質の変換過程である光化学スモッグや二次生成粒子について生成原因物質,生成機構,除去過を主なテーマとして解説する.また主要汚染物質の測定方法,固定発生源からの排出量測定方法について演習を交えながら講述する.また環境測定に関する精度管理手法について解説する.



1 【A2】 大気浮遊粒子状物質(SPM,PM2.5)の性状や環境影響・健康影響について説明できる.
2 【A4-AC1】 大気環境中で二次的に生成する光化学スモッグや二次生成粒子状物質生成のメカニズムの概要を理解することにより効果的抑制対策について説明できる.
3 【A4-AC2】 大気浮遊粒子状物質(SPM,PM2.5)濃度測定方法の概要が説明でき,測定の問題点について理解し説明できる.
4 【A4-AC2】 大気浮遊粒子状物質(SPM,PM2.5)中の無機化学成分測定方法の概要を理解し,説明できる.
5 【A4-AC3】 湿性降下物のpHおよびについて,溶解イオン成分濃度との関係について理解し,予想されるpHの算出ができる.また予想される電気伝導度の算出ができる.
6 【A4-AC2】 環境大気中のガス状汚染物質測定方法の原理・特性について概要を理解し,説明できる.
7 【A4-AC3】 固定発生源から排出される粒子状物質(ダスト)濃度測定方法の概要が説明できる.等速吸引のための演算と排出量の計算ができる.
8 【A2】 環境測定に関する精度管理手法の概要を理解し,説明できる.
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1 大気浮遊粒子状物質(SPM,PM2.5)の性状や環境影響・健康影響について説明できるかを中間試験およびレポートで評価する.
2 大気環境中で二次生成する光化学スモッグや粒子生成メカニズムの概要を理解して説明でき,これを基に効果的抑制対策について考察し,まとめることができるかを中間試験およびレポートで評価する.
3 大気浮遊粒子状物質(SPM,PM2.5)濃度測定方法について重量測定法と自動測定法の概要および測定の問題点について理解し,説明できるかを中間試験およびレポートで評価する.
4 大気浮遊粒子状物質(SPM,PM2.5)中の無機化学成分測定方法の概要が理解でき説明できるかを中間試験およびレポートで評価する.
5 湿性降下物のpHおよび溶存イオン成分濃度との関連について理解し,予想されるpH,電気伝導度の算出ができるかを中間試験およびレポートで評価する.
6 環境大気中のガス状汚染物質測定方法の原理・特性についての概要を理解し,説明できるかを定期試験およびレポートで評価する.
7 固定発生源から排出される粒子状物質(ダスト)測定を行うための工程について概要が説明でき,等速吸引のための計算と排出量の演算ができるかを定期試験およびレポートで評価する.
8 環境測定に関する精度管理手法の概要を理解し,説明できるかを定期試験およびレポートで評価する.
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成績は,試験80% レポート20% として評価する.試験成績は中間試験と定期試験の平均点(100点満点)に0.8を乗じたものとする.レポート点は,出題したレポート平均点(100点満点)に0.2を乗じたものとする.100点満点で60点以上を合格とする.
テキスト プリント
参考書 「はじめての大気環境化学」:松本 淳(コロナ社)
「入門 大気中微小粒子の環境・健康影響」:横山栄二・内田巌雄 編((財) 日本環境衛生センター) 
「浮遊粒子状物質汚染予測マニュアル」:環境庁 監修(東洋館出版社)
「環境大気常時監視実務推進マニュアル 第三版」:同マニュアル編集委員会 編((社) 日本環境技術協会)
「日本工業規格 Z8808 排ガス中のダスト濃度の測定方法」:日本工業標準調査会 審議(日本規格協会)
関連科目 C5環境化学,C2分析化学I, C3分析化学II,C2無機化学I,C3無機化学II,C2有機化学I,C3有機化学II
履修上の
注意事項
本科選択科目である環境化学を受講しておくことが望ましい.上記の関連科目に関する内容を復習して講義に臨むこと.

【授業計画( 大気環境化学 )】
上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など)
1 概要
ガイダンス.大気環境化学について概説する.本授業で講義する内容について説明する.
2 大気中浮遊粒子状物質の基礎1
大気浮遊粒子状物質(TSP(総粒子状物質),SPM,PM2.5)・エアロゾルの性状・環境影響・健康影響について講義する.
3 大気中浮遊粒子状物質の基礎2
大気中浮遊粒子状物質の一次発生源,二次生成過程について講義する,
4 大気粒子状物質の計測1
大気粒子状物質の捕集方法(TSP,SPM,PM2.5)について解説する.また粒子状物質捕集における問題点について説明する.粒子状成分中の主要成分とその測定方法について解説する.
5 大気粒子状物質の計測2
大気粒子状物質の質量濃度測定方法について日本および米国の標準測定法を比較しながら解説する.
6 大気粒子状物質の計測3
大気浮遊粒子状物質の自動計測機について,種類,測定原理を中心に解説する.自動測定器の持つ問題点と測定値の信頼性,装置に求められる課題について解説する.
7 大気粒子状物質の消滅過程(湿性降下物)
大気粒子状物質消滅の重要な過程の一つとして降水(washout)がある.washoutによる降水中化学成分濃度変化について実例にもとづいて説明する.降水pHを決定する要因であるイオンバランスと電導度決定要因について演習を交えながら講義する.
8 中間試験
1週から7週目までの内容を出題する.
9 中間試験の解説・環境大気中のガス状汚染物質計測法1
中間試験の問題について解説を行う.二次生成粒子生成原因物質として重要な窒素酸化物計測法の種類,測定原理を中心に解説する.
10 環境大気中のガス状汚染物質計測法2
二次生成粒子生成原因物質として重要なノンメタンハイドロカーボン測定法について説明する.また光化学オキシダント測定方法の種類,原理を中心に解説する.
11 環境大気中のガス状汚染物質計測法3
大気環境基準が定められている二酸化硫黄,一酸化炭素測定方法の原理について説明する.わが国における各種自動測定法の問題点と改良の歴史について解説する.環境大気汚染質自動測定機についてまとめる.
12 測定値の信頼性と標準物質・トレーサビリティー
環境計測における信頼性の確保を担保するための制度.標準物質の利用,トレーサビリティー確保の重要性について解説する.測定結果の信頼性を自ら証明するために必要な機器整備,実験記録等について日常記載している実験ノート記述内容と比較しながら考察する.
13 排ガス中の粒子状物質濃度測定法1
排ガス(固定発生源)中の粒子状物質(ダスト)濃度測定方法について解説する.等速吸引を実施することの重要性と等速吸引を行うための手法および計算方法について演習を交えながら講義する.
14 排ガス中の粒子状物質濃度測定法2・汚染物質の排出量1
固定発生源からの,湿り排ガス量および乾き排ガス量算出法について解説する.大気汚染防止法による規制基準値と,汚染物質総排出量の求め方について,演習を交えながら解説する.9週目からの内容を総括する.
15 排ガスからの汚染の物質排出量2・総括
固定発生源からの汚染物質排出総量の算出と関連づけ,排出インベントリー推定法について解説する.環境汚染対策における大気汚染予測モデルの活用について講義する.本講義全体をを総括する.


本科目の修得には,30 時間の授業の受講と 60 時間の自己学習が必要である. 後期中間試験および後期定期試験を実施する.本講義は,パワーポイントによる講義が中心となる.