【 2017 年度 授業概要】
科   目 電子回路I ( Electronic Circuit I )
担当教員 佐藤 徹哉 教授
対象学年等 電気工学科・4年・通年・必修・2単位 ( 学修単位III )
学習・教育
目標
A4-E1(100%)
授業の概要
と方針
アナログ電子回路設計技術として,電子回路の基礎となるダイオードおよびトランジスタの基礎特性,作図法および等価回路によるトランジスタ増幅回路の解析方法,それらを活かした各種増幅回路(広帯域増幅回路,電力増幅回路,帰還増幅回路,直流増幅回路,演算増幅回路)の解析について,英文プリントを参照しながらノート講義形式で授業を行う.



1 【A4-E1】 ダイオードおよびトランジスタの基礎動作を説明できる.
2 【A4-E1】 トランジスタ増幅回路のバイアス回路が設計できる.
3 【A4-E1】 トランジスタ増幅回路の小信号等価回路による解析が行える.
4 【A4-E1】 広帯域増幅回路の増幅度の周波数特性が説明できる.
5 【A4-E1】 電力増幅回路の動作が説明できる.
6 【A4-E1】 帰還増幅回路の動作が説明できる.
7 【A4-E1】 直流増幅回路の動作が説明できる.
8 【A4-E1】 演算増幅回路の動作が説明できる.
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1 ダイオードの順方向・逆方向バイアスにおける動作,バイポーラトランジスタの増幅動作,およびFETの増幅動作が理解できているかを前期中間試験及びレポートで評価する.
2 バイポーラトランジスタおよびFET増幅回路におけるバイアス回路の種類が判別でき,回路を設計できるかを前期中間試験及びレポートで評価する.
3 hパラメータおよびYパラメータ等価回路を用いたトランジスタ増幅回路の増幅度が計算できるかを前期定期試験及びレポートで評価する.
4 広帯域増幅回路において,周波数の帯域における増幅度の特性,低域および高域における遮断周波数が計算できるかを前期定期試験及びレポートで評価する.
5 A級およびB級電力増幅回路の直流入力電力および交流出力電力が計算でき,電源効率が計算できるかを後期中間試験及びレポートで評価する.
6 負帰還増幅回路の種類が判別でき,負帰還があるときの増幅回路の増幅度が計算できるかを後期中間試験及びレポートで評価する.
7 直流増幅回路の問題点が把握でき,その解決方法としてのレベルシフト回路および差動増幅回路の解析が行えるかを後期定期試験及びレポートで評価する.
8 演算増幅器を用いた線形・非線形応用回路の動作が理解できているかを後期定期試験及びレポートで評価する.
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成績は,試験85% レポート15% として評価する.試験は4回の平均点を指し,レポート点はノートと別途指示するものを合わせて評価するが未提出があるとゼロ点とする.これらを85:15としたものを総合評価とし,100点満点で60点以上を合格とする.
テキスト オリジナルテキストとしてA4縦サイズの英文プリントを配布する
参考書 「エース電子回路」:金田彌吉著 (朝倉書店)
「最新電子回路入門」:藤井信生,岩本洋(実教出版)
工業英検2級問題集,公益社団法人日本工業英語協会(日本能率協会マネジメントセンター)
工業英検2級クリア,公益社団法人日本工業英語協会(日本能率協会マネジメントセンター)
工業英検2級対策,公益社団法人日本工業英語協会(日本能率協会マネジメントセンター)
関連科目 電気回路, 電子工学, 電子回路II
履修上の
注意事項
オリジナルテキストとして,A4縦の英文プリントを配布するので,全ての英文は授業前に読んで理解しておくこと.授業はそれらを参照しながらノート講義形式で行うので,A4綴ノート(ルーズリーフ不可)に講義内容を記録すること.演習問題も同ノートに解答し,講義内容の記録と併せてレポート点として評価するので,試験日に毎回提出すること.

【授業計画( 電子回路I )】
上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など)
1 電子回路の基礎 −ダイオード−
ダイオードは,アナログ電子回路における非線形素子の基本素子である.pn接合ダイオードの順方向および逆方向バイアスにおける動作を説明する.
2 電子回路の基礎 −バイポーラトランジスタ−
バイポーラトランジスタは,エミッタ,ベース,およびコレクタの3つの端子を持つ電流増幅素子である.このバイポーラトランジスタの基本構造を説明し,基本増幅回路を解説する.
3 電子回路の基礎 −FET−
電界効果トランジスタFETは電圧増幅素子である.このFETの動作を説明し,基本増幅回路を解説する.
4 増幅回路の基礎 −バイアス回路1−
トランジスタ増幅回路では,回路に直流バイアスを行うことで動作を最適に行う.バイポーラトランジスタを利用した増幅回路のバイアス回路の解説を行う.
5 増幅回路の基礎 −バイアス回路2−
前回のバイポーラトランジスタのバイアス回路に引き続き,FETを用いた増幅回路のバイアス回路の解説を行う.
6 増幅回路の基礎 −作図法による解析1−
トランジスタ増幅回路の解析に必要な,直流および交流負荷線と動作点についての解説を行い,作図による増幅回路の解析方法を説明する.
7 増幅回路の基礎 −作図法による解析2−
FET増幅回路を作図法によって解析する.
8 中間試験
1-7回目の内容を試験する.
9 中間試験解答および復習
試験の解答を行い,本範囲の復習を行う.
10 増幅回路の基礎 −小信号等価回路 1−
バイポーラトランジスタ増幅回路の増幅度をhパラメータによる小信号等価回路を用いて解析する.
11 増幅回路の基礎 −小信号等価回路 2−
FET増幅回路の増幅度をYパラメータによる小信号等価回路を用いて解析する.
12 デシベル
増幅回路の増幅度をデシベルで表示する方法およびその利点について解説する.
13 広帯域増幅回路 −中域周波数領域−
CR結合トランジスタ増幅回路を説明し,信号の周波数が中域領域における2段増幅回路の増幅度を求める方法を解説する.
14 広帯域増幅回路 −低域周波数領域−
信号の周波数が低域領域における2段増幅回路の増幅度の計算および低域遮断周波数の計算方法を解説する.
15 広帯域増幅回路 −高域周波数領域−
信号の周波数が高域領域における2段増幅回路の増幅度の計算および高域遮断周波数の計算方法を解説する.
16 定期試験解答および復習
試験の解答を行い,本範囲の復習を行う.
17 電力増幅回路 −A級電力増幅回路−
A級電力増幅回路は,動作点を交流負荷線の中心に設定した電力増幅回路である.A級電力増幅回路の動作点を作図法から求め,電力効率を求める方法を解説する.
18 電力増幅回路 −B級電力増幅回路 −
B級電力増幅回路は,動作点を交流負荷線の原点に設定した電力増幅回路である.B級電力増幅回路の動作点を作図法から求め,電力効率を求める方法を解説する.
19 帰還増幅回路 −帰還の基礎−
出力信号の一部あるいは全部を入力に戻して増幅する回路を帰還増幅回路という.ここでは,帰還の基礎および利点について解説を行う.
20 帰還増幅回路 −各種の負帰還増幅回路−
負帰還増幅回路にはいくつかの構成方法がある.ここでは,各構成回路における入出力インピーダンスの特徴を解説する.
21 帰還増幅回路 −バイポーラトランジスタを用いた負帰還増幅回路−
バイポーラトランジスタを用いた負帰還増幅回路の解析を行い,負帰還の有無によって増幅度および周波数特性がどのように異なるかを説明する.
22 帰還増幅回路 −FETを用いた負帰還増幅回路−
FETを用いた負帰還増幅回路の解析を行い,負帰還の有無によって増幅度および周波数特性がどのように異なるかを説明する.
23 中間試験
17-22回目の内容を試験する.
24 中間試験解答および復習
試験の解答を行い,本範囲の復習を行う.
25 直流増幅回路 −レベルシフト回路−
直流増幅回路は,直流信号を増幅することができる.ここでは,直流増幅回路の問題点を説明し,解決方法としてダイオードやトランジスタを用いたレベルシフト回路についての解説を行う.
26 直流増幅回路 −差動増幅回路−
直流増幅回路の種類として,差動増幅回路の解説を行う.差動増幅回路には,差動利得と同相利得があり,この違いに重点をおいた解説を行う.
27 演算増幅回路 −演算増幅回路の特徴−
演算増幅回路オペアンプは,アナログICの一つである.ここでは,オペアンプの特性として,同相信号除去比,スルーレート,オフセット,および位相補償についての解説を行う.
28 演算増幅回路 −反転・非反転増幅回路−
オペアンプを利用した基本演算回路として,反転および非反転増幅回路の閉ループ利得および入出力インピーダンスの解析についての解説を行う.
29 演算増幅回路 −線形・非形応用回路−
オペアンプを利用した線形応用回路として,加算,減算,微分,および積分回路の構成と動作を解説する.また,非線形応用回路として,対数および逆対数回路の解説も行う.
30 演算増幅回路 −アクティブフィルタ−
オペアンプを利用した非線形応用回路として,アクティブフィルタの解説を行う.


本科目の修得には,60 時間の授業の受講と 30 時間の自己学習が必要である. 前期,後期ともに中間試験および定期試験を実施する.試験問題も英文で出題するが,専門用語,専門表現は必要に応じて英語だけでなく日本語での理解も問うことがある.日本語での理解を問う問題は電験2種・3種『理論』の電子回路問題程度とする.