【 2017 年度 授業概要】
科   目 応用構造工学I ( Advanced Structural Mechanics I )
担当教員 酒造 敏廣 特任教授
対象学年等 都市工学専攻・1年・前期・選択・2単位
学習・
教育目標
A3(20%), A4-AS2(80%)
JABEE
基準1(1)
(c),(d),(g)
授業の概要
と方針
 本講義は,構造物の設計計算や強度解析に必要となる有限要素解析法(FEM),及び,構造物の地震応答解析に必要となる動的解析法を学ぶ.まず,平面骨組に対する有限要素の剛性マトリックス定式化と全体解析の流れを理解して簡単なプログラミングができるように講義する.つぎに,ニューマークβ法を用いた1自由度系振動体の動的解析法について講義し,スプレッドシートを用いて,構造物の地震応答の動的解析演習を行う.



1 【A4-AS2】 有限要素法の基礎式の定式化の流れを説明できる.
2 【A4-AS2】 骨組要素の変位関数を仮定して,剛性マトリックスを誘導できる.
3 【A4-AS2】 運動方程式の数値積分法の基礎式を誘導できる.
4 【A3】 平面骨組の有限要素解析のプログラムを作成して実行することができる.
5 【A3】 1自由度系振動体にモデル化した構造物の地震応答解析を行うことができる.
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1 有限要素法の基礎式定式化が理解できているかをレポートおよび中間試験で評価する.
2 有限要素の変位関数を仮定して,要素剛性マトリックスを誘導できるかをレポートおよび中間試験で評価する.
3 運動方程式の成り立ちについて説明できるか,及び,平均加速度法による数値積分が理解できているかの2点をレポートおよび定期試験で評価する.
4 有限要素法を用いて構造計算を実施できるかをレポートにより評価する.
5 地震動を受ける1自由度系振動体の時刻歴応答解析が実施できるかをレポートで評価する.
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成績は,試験70% レポート30% として評価する.100点満点中60点以上を合格とする.試験70%の内訳は,中間試験30%,定期試験40%とする.
テキスト 崎元達郎: 構造力学(下),第2版,不静定編,森北出版
動的解析に関しては適宜プリント配布する.
参考書 平井一男,水田洋司: 耐震工学入門,森北出版
関連科目 本科2年〜5年の構造力学I〜III,及び,応用構造工学II(専攻科1年後期)
履修上の
注意事項
行列計算の知識(線形代数),力のつり合い,応力−ひずみ関係などの基礎知識(構造力学,材料力学)を修得していること.また,PCの基本操作ができること.

【授業計画( 応用構造工学I )】
上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など)
1 応答構造工学概論
(1)有限要素法の歴史,(2)応力法,混合法,変位法の関係,(3)マトリックス構造解析法の進歩,(4)有限要素法の応用例,および,(5)動的応答解析についての概論を講義する.
2 有限要素法の基礎式
構造物に作用する外力−変位の関係,内部の応力−ひずみの関係を基礎として,仮想外力仕事=仮想ひずみエネルギーを意味する仮想仕事の原理について講義する.
3 平面トラス要素の剛性マトリックス
簡単な棒要素を取り上げて,変位関数の仮定,ひずみ−変位関係,応力−変位関係を導き,仮想仕事の原理を用いて,要素剛性マトリックスを誘導する.定式化の流れを理解する.
4 座標変換マトリックスと平面トラスの全体剛性マトリックス
トラスの全体解析を行う.要素剛性マトリックスから全体剛性マトリックスを組み立て(アセンブル),境界条件を導入して,未知変位を求める.全体解析の流れを理解する.
5 軸力と曲げを受ける骨組要素の剛性マトリックス
軸力と曲げをうける平面骨組のはり要素の剛性マトリックスを誘導する.
6 平面骨組の全体解析(1)
門形ラ−メンの全体解析を通じて,要素剛性マトリックスから全体剛性マトリックスを組み立て(アセンブル),境界条件を導入して,未知変位を求める.全体解析の流れを理解する.
7 平面骨組の全体解析(2)
門形ラ−メンの全体解析を通じて,要素剛性マトリックスから全体剛性マトリックスを組み立て(アセンブル),境界条件を導入して,未知変位を求める.全体解析の流れを理解する.
8 中間試験
1から7回目までの講義内容について試験を行う.
9 構造物の動的解析のモデル化について
構造物の動的解析の基礎として,構造物のモデル化と運動方程式の成り立ちについて理解する.
10 構造物の基本振動性状(1)
1自由度系振動体の自由振動と減衰自由振動の一般解を誘導し,振動特性の基本を理解する.
11 構造物の基本振動性状(2)
調和外力を受ける1自由度系振動体について,運動方程式を解き,一般解,特解を誘導して,自由振動,過渡応答,定常応答を理解する.
12 運動方程式の数値積分法(1)
運動方程式の数値積分に用いるニューマークβ法の基礎式を誘導して,数値積分法の流れを理解する.
13 運動方程式の数値積分法(2)
運動方程式の数値積分に用いるニューマークβ法の基礎式を誘導して,数値積分法の流れを理解する.
14 平均加速度法を用いた構造物の動的解析(1)
平均加速度法によって1自由度系振動体の自由振動と減衰自由振動の数値シミュレーションを行い,厳密解と比較する.
15 平均加速度法を用いた構造物の動的解析(2)
平均加速度法によって,1自由度系にモデル化した構造物の地震応答の数値シミュレーションを行い,各種の時刻歴応答の結果を理解する.


本科目の修得には,30 時間の授業の受講と 60 時間の自己学習が必要である. 前期中間試験および前期定期試験を実施する.