科 目 | 電気磁気学II ( Electromagnetics II ) | |||
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担当教員 | 森田 二朗 教授 | |||
対象学年等 | 電気工学科・4年・通年・必修・2単位 ( 学修単位III ) | |||
学習・教育 目標 |
A2(100%) | |||
授業の概要 と方針 |
電気磁気学のうち,磁性体,電磁界分野を担当し,講義および演習を行う.この分野では,電流による場と静電界,電流によって作られる磁界発生の現象(アンペアの法則,ビオサバールの法則),電磁誘導現象を理解させることがメインとなる.理解を深めるためにレポート,小テスト(授業中の演習も含む)をできるだけ行う. | |||
到 達 目 標 |
1 | 【A2】 電流の場と静電界の類似性から接地抵抗の求め方を理解できる. | 2 | 【A2】 磁束密度と磁化の関係,透磁率と磁化率の関係を理解できる.磁気におけるガウスの法則が理解できる. | 3 | 【A2】 ビオ・サバールの法則が理解できる.有限長の電線電流,ループ状電流によって作られる磁束密度(B)が理解できる. | 4 | 【A2】 アンペアの法則が理解できる.無限長の電線電流によって作られる磁束密度(B)の計算,円環ソレノイドの磁束密度(B)が理解できる. | 5 | 【A2】 磁気回路への変換理論が理解できる.またヒステリシス特性をもった磁性体の磁束密度(B)と磁界(H)の関係が理解できる.磁界中の電流に作用する力が理解できる.電磁誘導現象が理解できる. | 6 | 【A2】 ベクトルポテンシャルによる磁束密度Bの求め方が理解できる | 7 | 【A2】 電磁誘導の法則を理解できる | 8 | 【A2】 自己インダクタンス,相互インダクタンスの求め方が理解できる | 9 | 【A2】 変位電流を理解できる | 10 | 【A2】 波動方程式とベクトルポテンシャル |
評 価 方 法 と 基 準 |
到 達 目 標 毎 |
1 | 損失のある媒質に関して,誘電率と導電率さらに静電容量を求めることにより接地抵抗が求まることを講義し,4タイプの演習問題を解くことによって理解を深める.前期中間試験での設問で評価する. | |
2 | 磁束密度と磁化の関係,透磁率と磁化率の関係の理解の程度確認のために演習回答方式によるプレゼンテーション(小テスト含む)と前期中間試験での設問で評価する. | |||
3 | ビオ・サバールの法則の理解程度,有限長の電線電流,ループ状電流によって作られるBの理解程度のいづれも課題レポートと前期中間試験の設問によって評価する. | |||
4 | アンペアの法則の理解程度,無限長の電線電流によって作られるBの計算,円環ソレノイドのBの理解の程度のいづれも課題レポートと前期定期試験の設問によって評価する. | |||
5 | 試験の基本問磁気回路への変換理論の理解の程度,ヒステリシス特性をもった磁性体のBとHの関係が理解程度のいづれも課題レポートと前期定期試験の設問によって評価する. | |||
6 | ベクトルポテンシャルに関する演習問題を解き,後期中間試験の設問によって評価する. | |||
7 | 磁束の時間変化による誘導起電力の発生に関して,演習問題を解いて,後期中間試験の設問によって評価する. | |||
8 | 演習問題を解いて,後期定期試験の設問によって評価する. | |||
9 | 変位電流の概念について,演習問題を解いて,後期定期試験の設問によって評価する. | |||
10 | マクスウェルの方程式から波動方程式への導出へのレポート課題を課して,理解度は,後期定期試験の設問によって評価する. | |||
総 合 評 価 |
成績は,試験85% レポート15% として評価する.レポート評価の中には小テスト,プレゼンテーションも含む.総合評価100点満点で60点以上を合格とする. | |||
テキスト | 「電気学会大学講座 電気磁気学」:山田直平,桂井誠共著(電気学会) 「詳解 電気磁気学例題演習」:山口勝也著(コロナ社) 「1冊まるっと電験3種4科目」:伊佐,野村,堀内,森田著(電気書院) |
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参考書 | 「電磁気学」:多田泰芳,柴田尚志共著(コロナ社) 「電磁気学」:卯本重郎著(昭晃堂) 「電磁気学」:石井良博著(コロナ社) 「電気磁気学」:安達三郎,大貫繁雄共著(森北出版) |
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関連科目 | 電気磁気学I,III,電気回路I,II,電気計測 | |||
履修上の 注意事項 |
電気磁気学の静電気を扱う電気磁気学I(3年)の続きとして,電界と磁界とが混同しないよう注意が必要.5年生での電磁波,境界値問題を扱う電気磁気学IIIはIとIIの物理現象の理解が必要.2,3年生の電気回路I,IIとも電流を扱う時の説明で必要.3年生の電気計測はさぐりコイルによる漏れ磁束計測の測定の部分での磁束密度で扱う. |
週 | 上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など) |
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1 | 電流の場と静電界 |
電流の場と静電界には類似性がある.この類似性の解説と静電容量から接地抵抗を求める方法を解説し,演習問題を解く. | |
2 | 磁気現象とビオ・サバールの法則 |
電流が流れることによって,磁場(磁束密度B)が発生し,磁針が触れたり,磁場の吸引力,反発力が発生したりする.このような磁気現象の定性的な解説とビオ・サバールの法則の解説を行う | |
3 | ビオ・サバールの法則による有限長電線電流の磁場,ループ状電流の磁場 |
ビオ・サバールの法則によるベクトル公式から,有限長直線電流によるBの導出,ループ状電流のBの導出を行う.さらにサイコロモデルによる任意の点のBの求め方の演習問題を行う. | |
4 | ビオ・サバールの法則の演習問題 |
前週に引き続き,ビオ・サバールの法則に関する演習問題を解説する,円形ループ状コイルを2つ並べたヘルムホルツコイルの解説および関係する演習問題も行う. | |
5 | ローレンツ力と磁束密度B |
一様な磁束密度B中に質量m,電荷qの点電荷が初速度vで入射したときの電荷の軌跡がサイクロトロン運動となることを解説する.一様な静電界E中の点電荷軌跡が放物運動となることも解説する. | |
6 | 静電偏向型,電磁偏向型ブラウン管 |
先週に引き続き,ローレンツ力から円運動,放物運動となることの応用として,静電偏向型,電磁偏向型のブラウン管の仕組みについて解説を行う. | |
7 | ベクトルポテンシャルによるBの導出 |
ベクトルポテンシャルの定義の解説,さらにベクトルポテンシャルによる磁束密度Bの導出方法の解説および演習問題を行う. | |
8 | 中間試験 |
中間試験 | |
9 | 前期中間試験の解説およびアンペアの周回積分の法則 |
前期中間試験の解説を行う.さらに,アンペアの周回積分の法則の解説を行う. | |
10 | アンペアの周回積分の法則を使った演習(1) |
無限長直線電線電流によるBの算出方法の解説.同軸ケーブルの場合のBの算出方法,円環ソレノイドの場合のBの算出方法の解説と演習 | |
11 | アンペアの周回積分の法則を使った演習(2)強磁性体を含めたアンペアの法則の展開 |
大地境界がある場合のモデルでのBの算出方法,多角形の辺に流れた場合の中心のBの算出方法,平行電流に働く力の算出方法と演習問題. | |
12 | 平等磁界中のコイル,ピンチ効果,ホール効果 |
平等磁界中のコイルの回転に関する解説,Bに関してのピンチ効果,ホール効果を行う.空隙をもった環状ソレノイドを例にあげ,アンペアの法則を適用したとき, | |
13 | 磁性体,磁化率,強磁性体,BH曲線,ヒステリシス損 |
強磁性体では,磁束密度と磁界とは比例関係とはならない.一般にヒステリシス特性をもち,磁界を高くしても磁束密度は飽和するような関係となる.このような関係のなかでのアンペアの法則を適用した場合の例をあげて解説する. | |
14 | 磁気回路 |
電気回路からの類推によって構成される磁気回路の構成を解説と演習問題を行う. | |
15 | 強磁性体を含めた磁気回路,電磁石 |
強磁性体(磁石)を含めた磁性体でのBH特性の解説および演習問題,電磁石の空隙部分での電磁力の算出方法の解説および演習問題を行う. | |
16 | 前期定期試験の解説 |
前期定期試験の解説を行う. | |
17 | 電磁誘導の法則 |
ファラデーの電磁誘導の発見の説明,誘導起電力の解説 | |
18 | 電磁誘導の法則の演習(1) |
磁束の時間変化による誘起起電力,ヒステリシス特性をもった磁性体にのこぎり派状周期電流を流したときのBおよび誘起起電力の問題 | |
19 | 電磁誘導の法則演習(2) |
単極誘導に誘起起電力の発生の解説,うず電流損,IHクッキングヒータの原理解説 | |
20 | 電磁誘導の法則演習(3) |
一様な磁束密度中に平行導線レールを置き,片方を閉じて,もう片方を移動可能な導体棒を置いた場合の運動モデルの解説と関連した演習問題 | |
21 | 電磁誘導の法則演習(4) |
表皮効果,表皮厚さの解説と電磁誘導現象に関する演習問題の総復習 | |
22 | 後期中間試験 |
中間試験 | |
23 | 後期中間試験の解説 |
後期中間試験の解説 | |
24 | インダクタンスの定義と接続方法 |
インダクタンスの定義と直列および並列接続方法の解説 | |
25 | インダクタンスの算出(1) |
円環ソレノイドにおいて,内径と厚みとの比によって,平均磁路長から求めたLと解析的に求めた厳密なLとの違いの解説. | |
26 | インダクタンスの算出(2) |
同軸円筒ケーブルにおける自己インダクタンスの算出方法の解説. | |
27 | インダクタンスの算出(3) |
平行導線における自己インダクタンスの算出方法の解説. | |
28 | インダクタンスの算出(4) |
長岡係数を使った自己インダクタンスと相互インダクタンスの算出問題の解説と演習. | |
29 | 変位電流とマクスウウェルの方程式 |
変位電流の解説とマクスウェルの方程式から波動方程式の導出の解説 | |
30 | 電磁波とポインチングベクトル |
電磁波の波形とポインチングベクトルの解説. | |
備 考 |
本科目の修得には,60 時間の授業の受講と 30 時間の自己学習が必要である. 前期,後期ともに中間試験および定期試験を実施する.電験3種の理論に合格した場合は,前期中間・定期試験のいづれかの試験成績を最低80点にする. |