【 2016 年度 授業概要】
科   目 電子工学実験実習 ( Laboratory Work in Electronic Engineering )
担当教員 笠井 正三郎 教授,尾山 匡浩 准教授
対象学年等 電子工学科・1年・通年・必修・2単位 ( 学修単位I )
学習・教育
目標
A3(10%), A4-D1(30%), B1(20%), C4(20%), D1(20%)
授業の概要
と方針
前期:電子工学で必要となる基本的な測定器についてその取り扱い方を中心に講義と実際に使用しながら学ぶ.また,実験報告書の書き方についてもその意義を説明し,図,表などの書き方を身につける.実験は2人1組で行い皆が測定器の操作方法を身に付ける.後期:電気工学の基礎となる実験と情報基礎の延長となるテーマについて,実験実習を行う.実験報告書(レポート)は書き方を身につけるとともに提出期限を守ることの大切さを理解させる.



1 【A4-D1】 テスターおよびマルチメータの使い方が理解できる
2 【A4-D1】 ファンクションジェネレータおよびオシロスコープの使い方が理解できる
3 【D1】 機器の取り扱いに注意し,安全に実験に取り組むことができる
4 【B1】 様式が整った実験報告書(レポート)が作成できる
5 【C4】 グループで協調して実験実習に挑み,期限内に実験報告書(レポート)を提出できる
6 【A4-D1】 テスタ回路の原理を理解し,分圧器,分流器の設計ができる
7 【A3】 ワープロソフト・表計算ソフト・文書整形ソフトの使い方がわかる
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1 前期中間試験で評価する
2 前期中間試験および前期定期試験で評価する
3 前期中間試験,前期定期試験と実験実習の取り組みと達成度で評価する
4 実験実習のレポートで評価する
5 実験実習の取り組みと達成度,および実験実習のレポート提出状態により評価する
6 実験実習の取り組みと達成度,およびレポートの内容により評価する
7 実験実習の取り組みと達成度,およびレポートの内容により評価する
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成績は,試験20% レポート35% 取り組みおよび達成度45% として評価する.前期は,試験成績40%,取り組みおよび達成度40%,レポート20%で評価する.後期は,取り組みおよび達成度50%,レポート50%で評価する.総合評価は,前期と後期の平均とし,100点満点で60点以上を合格とする.
テキスト 「絵ときでわかる電気電子計測」:熊谷文宏著 (オーム社)
「知的な科学・技術文章の書き方」:中島利勝,塚本真也共著 (コロナ社)
「情報基礎」:神戸高専編
参考書 「神戸高専安全マニュアル」:神戸高専編
「よくわかる電子基礎」:秋富,菅原共著(東京電機大学出版局)(電子工学序論の教科書)
「sanwa KIT-8D 組立・取扱説明書」:三和電気計器株式会社
「改訂新版 テスタとディジタル・マルチメータの使い方」:金沢敏保・藤原章雄共著(CQ出版社)
「知っておきたい 計測器の基本」:坂巻佳壽美・大内繁男共著(オーム社)
関連科目 電子工学序論,情報基礎
履修上の
注意事項
実験実習では,いろいろな測定器,工具を使用するので,必要に応じて「神戸高専安全マニュアル」を見ること. 実験実習では,電子工学序論で習ったことを実際に実験で確認したり,情報基礎で習ったこととも関連しているので,両科目との関連性も意識すること.

【授業計画( 電子工学実験実習 )】
上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など)
1 電子工学実験実習の概要
電子工学という分野で何を学習するか.身近に存在する電気機器,電子機器について知る.電子工学実験実習で学ぶこと,この教科の役割について知る.また,機器の取り扱い,実際の作業などで気をつけないといけないことについて,「神戸高専安全マニュアル」を用いて説明する.
2 簡単な測定器(テスター)とその取り扱い
まず最初に扱う測定器としてテスターを取り上げ,前半にはテスターでの電圧,抵抗の測定方法について講義し,後半には実際にテスターを用いて電池,直流安定化電源の電圧および抵抗器の抵抗値測定を行う.その際,抵抗のカラーコードによる抵抗値の読み方についても学習する.
3 テスターによるダイオードのチェック,コンデンサの容量測定
一定方向にしか電流を流さないダイオードについて素子としての機能を説明し,その機能をテスターで確認する方法について講義を行い,実験で確認を行う.また,テスターでのコンデンサの容量測定方法について学び,実際に測定を行う.
4 テスター,ディジタルマルチメータによる抵抗測定(許容差,ばらつき)
抵抗は種類により,許容差の異なるものがある(±5%,±1%).許容差の異なる素子をそれぞれ複数個測定し,ばらつき具合を調べ,許容差との関係を知る.また,測定器にも測定精度が異なるものがあり,テスターとテスターより精度のよいマルチメータを用いて,測定器の精度による違いについても知る.
5 電卓による測定値の特性計算(公称値と実測値の関係など)
前回測定したデータをもとに,許容差の違い,測定器の違いなどによる差を統計的(ばらつき具合は分散という量で知ることが出来る)に調べる.
6 直流回路の実験に必要となる測定器(直流電源,ブレッドボードなど)
これまでは素子単体を測定したが,今回からは電気回路を構成して,回路中の電気特性を測定することを考える.今回はまず直流回路を構成するための直流電源,回路を組むためのブレッドボード,回路中の電流,素子両端の電圧測定などについて学ぶ.
7 直流回路の電圧電流特性測定(測定と測定値のグラフ化)
前回の実験に引き続き,今回は回路中の直流電源の電圧を変化させ,回路を流れる電流と素子の両端に発生する電圧の関係を測定し,測定データをグラフにまとめ,オームの法則より直流回路中の抵抗値を求める.
8 中間試験
1週目から7週目までに習ったこと,実験を行ったことについて,理解できているか確認の筆記試験を行う.
9 中間試験の解答とこれまでの復習
中間試験の解答を行い,これまでの復習,注意点の確認を行う.
10 交流回路の実験に必要となる測定器(交流電源,ファンクションジェネレータ(FG),マルチメータ等)
まず最初に交流について基本的な事柄(正弦波,周期,角速度,実効値,波高値など)の説明を行い,次に交流回路の実験を行うために必要となる交流電源としてFGの具体的な使い方の説明を行う.実験では,簡単な交流回路を作り,テスター,マルチメータを用いて交流での電流,電圧の測定を行う.
11 オシロスコープで何ができるか.オシロスコープでFGの出力波形を観測
交流波形を観測する測定器として,オシロスコープを説明し,その使い方を実習する.実習内容は,ファンクションジェネレータで発生させた交流電圧をオシロスコープに入力し,交流信号(正弦波)の波高値,周期を測定し,それらの値から実効値,周波数を求める.
12 簡単な交流回路の入出力特性を観測
簡単な交流回路を組み,以前はマルチメーターやテスターで測定していた電圧をオシロスコープで測定し,交流回路での電流,電圧の関係を求める.
13 実験レポートの書き方(実験レポートの課題)
後期より行われる実験実習では実験報告書を提出しなければならず,実験報告書の役割,書き方について講義する.
14 課題実験,実験レポートの作成(約2日後を提出期限とする)
実験レポートを書くために,交流回路を題材とした課題実験を行い,指定された形式で実験報告書にまとめる.実験時間では報告書を書く時間がないので,自宅で報告書を作成し,指定期日までに提出する.
15 実験レポートの評価と注意
提出された報告書をもとに,報告書の書き方の補足説明,注意を行う. *この報告書は後期の実験実習にも利用するので,保管しておくこと.
16 前期定期試験の解答,後期実験実習の説明
最初に前期定期試験の解答と復習を行い,その後,後期実験実習の各テーマについて説明する.後期の実験実習で具体的に気をつけないといけない点など,「神戸高専安全マニュアル」を用いて説明する.
17 ワープロ
文書作成を通してワープロソフトの基本操作を身につける.
18 グラフ描画ソフト
関数やデータから各種波形を表示させる方法について学習する.
19 テスタ回路製作1
テスタ組み立てキットの製作手順を説明するとともに,半田付けの方法の説明と実習を行う.
20 テスタ回路製作2
テスタ組み立てキットを完成させ,電圧,抵抗など基本的な値を測定し,テスタが正しく製作されたか確認を行う.
21 表計算1
表計算の基本操作を身につけて表やグラフを作成する.
22 表計算2
与えられたデータを自由に加工し,そのデータの特徴をグラフ化してわかりやすく表示する.
23 テスタの動作確認と誤差の測定1
直流電流を測定し,測定誤差を知ることにより正しく作られているか確認する.
24 テスタの動作確認と誤差の測定2
直流電圧を測定し,測定誤差を知ることにより正しく作られているか確認する.
25 LaTeXによるレポート作成1
LaTexを使って,実験実習レポートを作成する.
26 LaTeXによるレポート作成2
図形描画ソフトを使って,図入りの実験実習レポートを完成させる.
27 テスタの動作確認と誤差の測定3
交流電圧を測定し,測定誤差を知ることにより正しく作られているか確認する.
28 テスタの動作確認と誤差の測定4
抵抗を測定し,測定誤差を知ることにより正しく作られているか確認する.
29 工場見学
授業時間が確保できる場合には近隣企業の工場見学を行い,見聞を広める.授業時間が確保できない場合には,実施しない.
30 実験実習のまとめ
後期実験実習のまとめを行う.


前期中間試験および前期定期試験を実施する.前期に作成した報告書は後期の実験実習にも利用するので保管しておくこと.17週目以降は,20名ずつ2班に分けて,それぞれ情報関係と電気関係の実験を交代で実施する.