【 2016 年度 授業概要】
科   目 分析化学II ( Analytical Chemistry II )
担当教員 根津 豊彦 教授
対象学年等 応用化学科・3年・通年・必修・2単位 ( 学修単位I )
学習・教育
目標
A4-C2(100%)
授業の概要
と方針
分析化学Iに引き続き,溶液内の酸化還元平衡および酸化還元滴定に関する基礎理論について学ぶ.次に主として機器を使った分析法の原理と応用について学ぶ.テーマは,電気化学的測定法,紫外可視分光法,クロマトグラフィー,赤外線吸収法,核磁気共鳴スペクトル,X線分析法,原子吸光およびICP発光分析法,質量分析法,熱分析法である.



1 【A4-C2】 酸化還元平衡の基礎理論および酸化還元滴定法について説明できる.これらについて種々の計算問題が解けると共に酸化還元滴定曲線が描ける.
2 【A4-C2】 電気化学的測定法の基礎理論を理解し,分析への応用について説明できる.測定結果の解析ができる.
3 【A4-C2】 物質による光吸収に関する基礎理論を理解し,説明できる.光吸収に関する種々の単位変換ができる.それらの知識を実際の測定に応用できる.
4 【A4-C2】 クロマトグラフィーの基礎理論を理解し,基本的な計算問題が解ける.各種クロマトグラフィーについて説明できる.
5 【A4-C2】 分子振動の基礎理論を理解し,赤外線吸収スペクトルの特徴を説明できる.簡単な振動スペクトルの解析ができる.
6 【A4-C2】 核磁気共鳴スペクトルの基礎理論を理解し,スペクトルの解析に基づいた簡単な分子構造決定への応用ができる.
7 【A4-C2】 X線に関する基礎知識を習得し,X線分析への応用について説明できる.X線回折の原理について説明できる.
8 【A4-C2】 原子吸光分析とICP発光分析の基礎理論を理解し,説明できる.測定結果の解析ができる.
9 【A4-C2】 質量分析のためのイオン化について基本を理解し,説明できる.質量スペクトルの基本を理解し,簡単なスペクトルの解析ができる.
10 【A4-C2】 熱分析の基礎理論を理解し,説明できる.簡単な測定結果の解析ができる.












1 酸化還元反応の基礎理論が理解でき,計算問題が解けるか,代表的な酸化還元滴定について説明でき,計算問題を解くことができるかを,前期中間試験とレポートで評価する.
2 電気化学測定の基本原理が説明できるか,測定結果の解釈ができるかを,前期中間試験とレポートで評価する.
3 光吸収の基本を説明できるか,各種表示単位の換算ができるか,基礎的な式を使って測定結果の解析ができるかを,前期定期試験とレポートで評価する.
4 クロマトグラフィーの基礎理論が理解できているか,基礎理論に関する計算問題が解けるか,各種クロマトグラフィーの特徴を説明できるかを,前期定期試験とレポートで評価する.
5 分子構造と振動の関係が説明できるか,簡単な赤外線吸収スペクトルの解釈ができるかを,後期中間試験とレポートで評価する.
6 核磁気共鳴の原理を説明できるか,測定結果の解釈ができるかを,後期中間試験とレポートで評価する.
7 X線に関する基礎知識を習得し,理論を説明できるか,結晶構造について理解できているかを,後期中間試験とレポートで評価する.
8 原子吸光分析とICP発光分析の基礎理論を説明できるか,基礎的な式を使って測定結果を解析できるかを,後期定期試験とレポートで評価する.
9 質量分析の原理と質量スペクトルについて説明できるか,測定結果の解釈ができるかを,後期定期試験およびレポートで評価する.
10 熱分析法の理論を説明できるか,測定結果を解析できるかを,後期定期試験およびレポートで評価する.




成績は,試験80% レポート20% として評価する.試験成績は,前・後期の中間試験および定期試験計4回の平均点に0.8を乗じたものとする.レポート点は,出題したレポートの平均点(100点満点)に0.2を乗じたものとする.100点満点で60点以上を合格とする.
テキスト 「溶液内イオン平衡に基づく 分析化学(第2版)」:姫野貞之・市村彰男 共著(化学同人)  
「機器分析」:大谷肇・梅村知也・金子聡・伊藤彰英・森田成昭 他 共著(講談社)
参考書 「基礎分析化学」:今泉洋・上田一正・澤田清・田口茂・永長幸雄 他 共著(化学同人) 
「基礎からわかる分析化学」:加藤正直・塚原聡 共著(森北出版) 
「入門機器分析化学」:庄野利之・脇田久伸 編著(三共出版)
「基礎からわかる 機器分析」:加藤正直・内山一美・鈴木秋弘 共著(森北出版)
「第2版 機器分析のてびき」:泉美治 他 監修(化学同人) 
関連科目 「分析化学I」「応用化学実験I(容量分析)」「応用化学実験II(物理化学)」
履修上の
注意事項
基礎的な化学と物理全般の理解と知識が必要.

【授業計画( 分析化学II )】
上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など)
1 酸化還元反応の基礎理論1
標準電極電位とネルンスト式について講義する.電極電位についての演習を行う.
2 酸化還元反応の基礎理論2
標準電極電位および活量から種々の電池の起電力について講義する.電池の表記方法,起電力に関する演習を行う.
3 酸化還元反応の基礎理論3
電極電位と平衡定数の関係式を導き,酸化還元反応の平衡定数について講義する.酸化還元反応の進行について理解すると共に,ガルバニ電池について種々の条件下における起電力の求め方について演習を交えながら講義する.
4 酸化還元滴定
代表的な酸化還元滴定について講義する.滴定曲線の描き方について演習を交えながら講義する.電位差滴定および酸化還元滴定に用いる指示薬について説明する.
5 酸化還元反応のまとめと機器分析概論
1週から4週までの講義内容について演習を中心にまとめる.分析化学における機器分析とは何か,測定で得られた数値の取り扱い方について概観する.本講義で取り上げる分析機器について説明する.
6 電気化学的測定法1
主な電気化学的測定法を紹介する.電位差分析法について講義する.電位差測定法に関する演習を行う.
7 電気化学的測定法2
電解分析法,電気伝導度分析法について講義する.電気化学的分析法に関する演習を行う.
8 中間試験
1週目から7週目までの内容を出題する.
9 中間試験の解説・紫外可視分光法1
中間試験の問題について解説を行う.紫外可視分光法の原理と基礎理論について講義する.
10 紫外可視分光法2
紫外可視分光法の原理と基礎理論について講義する.ランベルトベールの法則および絶対検量線を用いた測定値の取り扱い方について演習を行う.
11 紫外可視分光法3
紫外可視分光光度計について講義する.全体のまとめとして紫外可視分光光度法について教材ビデオを用いてより理解を深める.紫外可視分光法に関する演習を行う.
12 クロマトグラフィー1
機器分析においてクロマトグラフィーは移動相が気体のガスクロマトグラフィーと,移動相が液体の液体クロマトグラフィーに大別される.クロマトグラフィーの分類,分離の種類と分離の基本原理について講義する.
13 クロマトグラフィー2
クロマトグラフィーの基本原理について講義する.定性分析,定量分析方法について演習を交えながら講義する.
14 クロマトグラフィー3
ガスクロマトグラフィー,液体クロマトグラフィーについて講義する.クロマトグラフィーに関する演習を行う.
15 前期のまとめ
定期試験に向けて,前期の講義のまとめを行う.
16 前期定期試験の解説・赤外線吸収法1
前期定期試験の問題について解説を行う.分子振動と分子構造,赤外線吸収スペクトルの原理について講義する.
17 赤外線吸収法2
赤外線吸収スペクトルの測定法,測定結果の解析法について講義する.
18 赤外線吸収法3
赤外線吸収測定結果の解析法について講義する.教材ビデオを用いてより理解を深める.赤外線吸収に関する演習を行う.
19 核磁気共鳴スペクトル1
核磁気共鳴の基礎となる原理,化学シフト,スピン−スピン結合について講義する.
20 核磁気共鳴スペクトル2
核磁気共鳴の基礎となる原理,化学シフト,スピン−スピン結合について講義する.1H NMRスペクトルの測定結果の解析法について講義する.
21 X線分析法1
X線とは何か,発生法,X線の吸収など,X線分析法の理解に必要な基礎的事項を講義する.
22 X線分析法2・中間試験に向けたまとめ
X線分析法の理解に必要な基礎的事項を講義する.X線回折分析に必要な基礎知識を講義する.X線分析に関する演習を行う.中間試験に向けたまとめを行う.
23 中間試験
16週目から22週目までの内容を出題する.
24 中間試験の解説・原子吸光度法,ICP発光分析法1
中間試験の問題について解説を行う.原子吸光分析法の基礎理論を講義する.
25 原子吸光度法,ICP発光分析法2
原子吸光光度計について,測定方法の応用および得られたデータ解析法について演習を交えながら講義する.
26 原子吸光度法,ICP発光分析法3
原子吸光分析法について教材ビデオを用いてより理解を深める.ICP発光分析法の基礎理論を講義する.ICP発光分析法に関する演習を行う.
27 質量分析法1
質量スペクトルの測定に関する基礎理論,イオン化の方法などを講義する.
28 質量分析法2
質量スペクトルのチャートの見方,解析方法について講義する.質量分析法に関する演習を行う.
29 熱分析
熱重量測定,示差熱分析,示差走査熱量測定の原理と測定法について講義する.測定データの解析法について演習を交えながら講義する.
30 後期のまとめ
後期定期試験に向けたまとめを行う.


前期,後期ともに中間試験および定期試験を実施する.