【 2015 年度 授業概要】
科   目 哲学 ( Philosophy )
担当教員 稲岡大志 非常勤講師
対象学年等 全学科・5年・通年・選択・2単位 ( 学修単位I )
学習・
教育目標
C3(80%) D2(20%)
JABEE
基準1(1)
(a),(b)
授業の概要
と方針
哲学とは言葉を用いて世界についての理解を深める学問である.思考実験や概念分析といった哲学的思考のエッセンスを理解するために, 講義前半では過去の主要な哲学者による議論を学ぶ.講義後半では,講義前半を踏まえた上で,科学的方法論,心,時間などといった,科学哲学と呼ばれる分野における主題を取り上げて,具体的な問題の検討をおこなう.



1 【C3】 現代の科学や社会における哲学的問題について,その要点を理解し,自分なりの哲学的思考ができるようになること.
2 【D2】 過去の哲学者がどのような問題にどのように取り組んだのかを知ることで,哲学的方法論についての理解を深めること.
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1 現代の科学や社会における哲学的問題について,その要点を理解し,自分なりの哲学的思考ができるようになったかをレポート,小テスト,定期試験で評価する.
2 過去の哲学者の議論を理解し,哲学的方法論や哲学的思考についての理解を深めることができるようになったかをレポート,小テスト,定期試験で評価する.
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成績は,試験60% レポート20% 小テスト20% として評価する.レポートと小テストの評価の割合が大きいのは,哲学の基本的概念を正しく理解していることを確認する機会をレポートや小テストとして設けることで,より確実に授業内容が理解できるようにするためである.100点満点で60点以上を合格とする.
テキスト ノート講義
参考書 講義時に資料を配布する.
関連科目 倫理
履修上の
注意事項
特になし

【授業計画( 哲学 )】
上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など)
1 哲学とはどのような学問なのか
哲学とはどのような学問なのかを具体例を挙げて講義することで,「哲学」という学問について,おおまかなイメージが得られるようする.
2 古代ギリシア哲学(1)
ソクラテス以前の哲学者の哲学の要点を講義し,古代ギリシア特有の世界観や自然観を理解できるようにする.
3 古代ギリシア哲学(2)
プラトンの対話篇を読みながら,ソクラテス哲学の要点の一つである「哲学的問答法」についての理解を深める.
4 古代ギリシア哲学(3)
プラトン哲学の要点を講義し,その後の哲学を学ぶのに不可欠な概念枠組みについての理解を深める.
5 古代ギリシア哲学(4)
アリストテレス哲学の要点を講義し,形而上学,自然学,生物学,倫理学などあらゆる領域にアンテナを伸ばすアリストテレス哲学のエッセンスを理解できるようにする.
6 中世スコラ哲学
中世スコラ哲学における「神の存在証明」の議論を講義し,「論理を用いて存在の問題を解くこと」という,哲学に特有の方法論についての理解を深める.
7 近代哲学(1)
デカルト哲学の「方法的懐疑」について講義し,伝統的に哲学において議論されるテーマである「懐疑論」についての理解を深める.
8 近代哲学(2)
ライプニッツやスピノザといった,デカルトと同時代の哲学者の議論を講義し,同時代の自然科学や数学と連動して展開される哲学についての理解を深める.また,前回の講義と合わせて,大陸合理論についての理解も深める.
9 近代哲学(3)
引き続きライプニッツやスピノザの哲学について講義し,ヨーロッパ近代哲学のエッセンスを理解できるようにする.
10 ドイツ観念論(1)
カント哲学について講義し,大陸合理論とイギリス経験論の総合としてのカント哲学という,哲学史におけるスタンダードな図式の理解を深める.
11 ドイツ観念論(2)
引き続きカント哲学について講義し,その要点と問題点についての理解を深める.
12 ドイツ観念論(3)
時間と空間に関するカントの議論について講義し,その要点と問題点についての理解を深める.
13 現象学
フッサールの現象学について講義し,哲学的方法論としての「現象学的還元」についての理解を深める.
14 分析哲学(1)
言葉の意味について,言語哲学の議論を講義する.意味のイメージ説や心理主義といった考え方のどこが間違っているのか,意味の指示対象説はどういう利点を持つのか,といった点についての理解を深める.
15 分析哲学(2)
固有名をめぐるパズルを取り上げて,現代の言語哲学の基礎的理論の一つであり,哲学的分析のお手本とも言われる記述理論についての理解を深める.また,そのために必要な初等レベルの論理学についても講義する.
16 科学について考えてみよう(1)
「科学」と呼ばれる営みについて理解するために,演繹,帰納,仮説演繹法といった自然科学の方法論について講義し,その要点と問題点についての理解を深める.
17 科学について考えてみよう(2)
前回の講義を踏まえた上で,自然科学の方法論について講義し,その要点と問題点についての理解を深める.
18 科学について考えてみよう(3)
科学哲学における「帰納の正当化」の問題について講義し,その要点と問題点についての理解を深める.
19 科学について考えてみよう(4)
科学と疑似科学の違いや法則的一般化をめぐる問題について講義し,その要点と問題点についての理解を深める.
20 心の哲学(1):中国語の部屋
いわゆる「中国語の部屋」論法と呼ばれる思考実験について受講生同士でディスカッションし,その要点と問題点についての理解を深める.
21 心の哲学(2):中国語の部屋(続き)
前回の講義でのディスカッションを踏まえて,「中国語の部屋」の思考実験についての理解をさらに深める.
22 心の哲学(3):物理主義と「マリーの部屋」論法
いわゆる「マリーの部屋」論法と呼ばれる思考実験について受講生同士でディスカッションし,その要点と問題点についての理解を深める.
23 心の哲学(4):物理主義と「マリーの部屋」論法(続き)
前回の講義でのディスカッションを踏まえて,「マリーの部屋」の思考実験についての理解をさらに深める.
24 心の哲学(5):他人の心をどうやって知るのか?
他人の心をどうやって知るのかという「他我問題」について講義し,古典的計算主義と呼ばれる心のモデルについての理解を深める.
25 心の哲学(6):コネクショニズム
心のモデルの一つであるコネクショニズムについて講義し,その要点と問題点の理解を深める.
26 心の哲学(7):古典的計算主義とコネクショニズム
古典的計算主義とコネクショニズムという二つの心のモデルを調和的に捉えるモデルについて講義し,心と身体と環境と脳からなるひとつのシステムとして捉える考え方についての理解を深める.
27 時間の哲学(1):過去を変えることは可能か?
いわゆる「逆向き因果」と呼ばれる問題について講義する.宿命論との関連などにも触れることで,一見すると非常識的な「逆向き因果」が時間についての重要な問題を提起することが理解できるようにする.
28 時間の哲学(2):排中律と宿命論
前回の講義を踏まえて,宿命論という時間の本性に関する主張と排中律という論理法則が結びついていることについて講義し,その要点と問題点の理解を深める.
29 時間の哲学(3):時間は存在しない?
マクタガードによる時間の非実在性の論証について講義し,時間をめぐる現代の代表的な哲学的議論が理解できるようにする.
30 時間の哲学(4):時間は存在しない?(続き)
前回の講義を踏まえて,時間の非実在性の論証に対する批判や批判への応答などの議論について講義し,時間をめぐる現代の代表的な哲学的議論の理解をさらに深める.


前期定期試験および後期定期試験を実施する.また,受講生の理解度や関心などに応じて授業内容を変更することがある.