【 2015 年度 授業概要】
科   目 発変電工学 ( Generation and Transformation of Electric Power )
担当教員 津吉 彰 教授
対象学年等 電気工学科・5年・通年・必修・2単位 ( 学修単位III )
学習・
教育目標
A4-E4(100%)
JABEE
基準1(1)
(d)1,(d)2-a,(d)2-d,(g)
授業の概要
と方針
エネルギー変換の概要を述べ,水力,火力,原子力発電について,その基礎理論とシステムおよびプラントの構成要素を講義する.次に,変電所の役割と構成,系統運用の概要を説明し,さらにエネルギーと環境問題について講義し,新しい発電方式の研究開発状況を紹介する.



1 【A4-E4】 水力学の基礎理論および各種水力発電所の構成と設備を理解し,水力発電に関する知識と計算問題が解ける能力を身につける.
2 【A4-E4】 熱力学の基礎理論および汽力発電,ガスタービン発電,内燃力発電所の構成と設備を理解し,火力発電に関する知識と計算問題が解ける能力を身につける.
3 【A4-E4】 原子核物理の基礎理論および各種原子力発電所の構成と設備を理解し,原子力発電に関する知識と計算問題が解ける能力を身につける.
4 【A4-E4】 変電所の役割とその構成機器と運用方法を理解して説明できる能力を身につける
5 【A4-E4】 エネルギーと環境問題を理解して,その解決方法を考える能力を身につける.
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1 授業中の小テスト,レポートおよび前期中間試験で,水力学および水力発電に関する理解度を評価する.
2 授業中の小テスト,レポートおよび前期定期試験で,熱力学および火力発電に関する理解度を評価する.
3 授業中の小テスト,レポートおよび後期中間試験で,原子核物理および原子力発電に関する理解度を評価する.
4 レポートおよび後期定期試験で,変電設備に関する理解度を評価する.
5 レポートおよび後期定期試験でエネルギーと環境問題に関する理解度を評価する.
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成績は,試験85% レポート5% 小テスト10% として評価する.試験は前期中間1 前期定期1.25,後期中間1.25 後期定期1.5の重み付けで評価する.試験,レポート,小テストの総合評価を行い,100点法で60点以上を合格とする.後期定期試験で60%以上の評価であった場合,それまでの成績によらず合格とする.
テキスト 「よくわかる発変電工学」:箕田充志/橋口清人ほか(電気書院)
参考書 「発変電工学 改訂版」:弘山尚直,電気学会編(オーム社)
「大学課程 発変電工学」:植野一郎著(オーム社)
関連科目 応用物理I,II,電気機器I,II,送配電工学
履修上の
注意事項
電力の発生の部分で応用物理I,IIの内容が必要.発電機の部分で電気機器I,IIの内容が必要,電力の発生と送電も同時現象であるので,送配電工学の内容も必要.

【授業計画( 発変電工学 )】
上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など)
1 発電総論.エネルギー変換論.我が国の電気事業概説.
エネルギー変換としての発電工学の位置づけを説明し,我が国の電気事業の歴史および現状を述べる.電気エネルギーが低炭素化社会実現に配慮されていることを学ぶ.KEMSに関して説明する.
2 水力発電の基礎理論.水力学.河川の流量
水の位置エネルギーから落差,流量の定義および理論出力を導く.またベルヌーイの定理および連続の式より水力学の基本公式を説明する.
3 水力発電設備.ダム.水路.その他の土木設備.
落差の取り方による各種水力発電方式を紹介し,ダム,導水路等の水力発電所の土木設備と門扉等その付随設備を解説する.
4 各種水車の構造と特徴.
水力発電で使用される水車の構造と特徴および付帯設備を説明する.
5 水車発電機.水力発電所の諸設備.
水力発電所で使用される発電機の特徴を説明し,その他発電所に設置される設備を紹介する.
6 水力発電所の管理.揚水発電.水力問題演習.
水力発電所の運転制御法を解説する.揚水発電の方式,潮力発電を説明し,水力発電全般の演習後,小テストを実施する.
7 前期中間試験
電気事業の歴史,水力発電に関する試験を行う.
8 火力発電の基礎理論.熱力学.
熱力学とランキンサイクルを説明し,火力発電におけるエネルギー変換,エネルギーの流れを解説する.
9 各種燃料の特徴.ボイラおよび蒸気タービン.
火力発電で使用される固体,液体,気体燃料の特徴と燃焼方法,ボイラ内に設置される熱吸収機器の配置を説明する.次に,各種蒸気タービンの構造と動作原理を解説する.
10 給水ポンプ.復水器その他の設備.
給水ポンプ,復水器,再熱器,給水加熱器,所内電力設備等の構造と特性.
11 タービン発電機の特徴と制御.
火力発電所で使用されるタービン発電機の特徴および並列運転条件.
12 火力発電所の排煙処理設備およびその他の公害防止機器
電気集塵装置,排煙脱硫脱硝装置の構造と動作原理および温排水の影響を述べる.
13 火力発電所の管理と運用
熱効率その他効率の定義および計算.最近の火力発電所運転制御を紹介する.
14 ガスタービン発電.内燃力発電.
各種ガスタービンの構造と特徴.ディーゼルおよびガソリン内燃力発電の特徴を述べる.
15 火力発電問題演習
火力発電全般に関する演習後,小テストを実施する..
16 原子力発電の基礎理論.原子核物理.
原子核分裂による質量欠損と結合エネルギーの放出について説明する.
17 核分裂連鎖反応と中性子束分布.減速材,吸収材.
熱中性子によるウラン235の分裂と高速中性子減速材,吸収材による制御について説明し,臨界状態の核分裂連鎖反応を維持する条件を示す.
18 各種原子炉と原子力発電所の構成.
加圧水型および沸騰水型軽水炉の構造を説明する.また,ガス冷却炉,高速増殖炉の構造と特徴を紹介する.
19 原子炉の制御理論.
軽水炉について,加圧水型および沸騰水型の相違点を中心にその制御方法,自己制御性を説明する.
20 核燃料サイクル.原子力発電の今後
核燃料サイクルや将来的な原子力発電の要となる核融合発電の原理などについて外部講師による授業を行う.
21 地熱発電.原子力発電問題演習.
地熱エネルギーとその発電設備を説明し,世界およびわが国の地熱発電所を紹介する.また原子力発電に関する演習後,小テストを実施する.
22 後期中間試験
これまでの内容に加え,原子力発電,地熱発電に関する問題を出題する.
23 新しい発電方式.直接発電,太陽エネルギー,その他の自然エネルギー
太陽光発電などの特性や普及状況,自然エネルギーを取り巻く状況について学ぶ
24 MHD発電,燃料電池などの概要
MHD発電など新発電や,普及が始まっている燃料電池などについて学ぶ.
25 変電所の概要
送電配電の概要と変電所の持つべき機能を説明する.代表的な変電所の構成を示す.
26 主変圧器,遮断器その他の変電所構成機器
変電所を構成する機器についてその機能,構造を紹介する.
27 変圧器の容量計算など理論計算
変圧器の容量計算など変電設備における理論計算について学ぶ.
28 変電の復習
変電工学全般の復習をする.
29 発変電工学電全般の復習1
発変電工学電全般について電気回路的な問題を中心とした復習.
30 発変電工学電全般の復習2
発変電工学電全般について物理的な問題を中心とした復習.


本科目の修得には,60 時間の授業の受講と 30 時間の自己学習が必要である. 前期,後期ともに中間試験および定期試験を実施する.