【 2015 年度 授業概要】
科   目 応用無機化学II ( Applied Inorganic Chemistry II )
担当教員 宮下 芳太郎 教授
対象学年等 応用化学科・5年・後期・選択・2単位 ( 学修単位II )
学習・
教育目標
A4-C2(100%)
JABEE
基準1(1)
(d)1,(d)2-a,(d)2-d,(g)
授業の概要
と方針
錯体は,金属イオンと配位子の組み合わせにより多種多様な構造や物性,反応性を有する.本科目では,錯体に関する基礎理論やその応用について講義する.



1 【A4-C2】 錯体化学の歴史と現状について理解できる.
2 【A4-C2】 錯体の特性や多様性と周期表との関連について理解できる.
3 【A4-C2】 単核錯体および多核錯体の構造の特徴について理解できる.
4 【A4-C2】 錯体特有の異性現象および異性体の選択性や分離方法について理解できる.
5 【A4-C2】 錯体の結合理論について理解できる.
6 【A4-C2】 錯体の構造決定や物性評価の方法について理解できる.
7 【A4-C2】 置換活性錯体と置換不活性錯体との反応性の違いについて理解できる.
8 【A4-C2】 生体関連分野や超分子化学分野における錯体の利用について理解できる.
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1 錯体化学の歴史と現状について理解し,説明できるかを,中間試験およびレポートで評価する.
2 錯体の特性や多様性と周期表との関連について理解し,説明できるかを,中間試験およびレポートで評価する.
3 単核錯体および多核錯体の構造の特徴について理解し,説明できるかを,中間試験およびレポートで評価する.
4 錯体特有の異性現象および異性体の選択性や分離方法について理解し,説明できるかを,中間試験およびレポートで評価する.
5 錯体の結合理論について理解し,説明できるかを,定期試験およびレポートで評価する.
6 錯体の構造決定や物性評価の方法について理解し,説明できるかを,定期試験およびレポートで評価する.
7 置換活性錯体と置換不活性錯体との反応性の違いについて理解し,説明できるかを,定期試験およびレポートで評価する.
8 生体関連分野や超分子化学分野における錯体の利用について理解し,説明できるかを,定期試験およびレポートで評価する.
9  
10  




成績は,試験80% レポート20% として評価する.100点満点で60点以上を合格とする.
テキスト 「新版 錯体化学−基礎と最新の展開」:基礎錯体工学研究会 編(講談社)
参考書 「金属錯体の構造と性質」:三吉克彦 著(岩波書店)
「化学の指針シリーズ 錯体化学」:佐々木陽一・柘植清志 著(裳華房)
「無機化学講義ノート」:秋津貴城 著(現代図書)
「詳説 無機化学」:福田豊・海崎純男・北川進・伊藤翼 編(講談社)
「化合物命名法−IUPAC勧告に準拠−」:日本化学会命名法専門委員会 編(東京化学同人)
関連科目 C2「無機化学I」「分析化学I」「応用化学実験I(無機合成)」,C3「無機化学II」「分析化学II」,C4「応用化学実験III(機器分析)」
履修上の
注意事項
上記関連科目を十分に理解した上で履修することが望ましい.

【授業計画( 応用無機化学II )】
上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など)
1 錯体化学序論
分子やイオン(配位子)が非共有電子対を持つ原子部分で金属イオンに配位結合した物質を錯体と呼ぶ.錯体の定義について簡単に復習した後,錯体を扱う学問である錯体化学の歴史と現状について紹介する.
2 錯体と周期表
錯体の構造や性質は金属の種類や酸化状態,配位子の種類によって大きく変化する.このような錯体の特性や多様性について周期表と関連づけて解説する.
3 錯体の構造(1)
1つのみの金属イオンを有する錯体を単核錯体と呼ぶ.単核錯体の配位数と構造について解説する.
4 錯体の構造(2)
複数の金属イオンを有する錯体を多核錯体と呼ぶ.多核錯体の構造と金属間結合について解説する.
5 錯体の命名法と配位子
2005年のIUPAC勧告で改訂された錯体の命名法について解説する.また,種々のキレート配位子を紹介する.
6 錯体の異性現象とキラリティ
錯体特有の構造異性体および立体異性体(幾何異性体,光学異性体,ジアステレオ異性体)について解説する.
7 異性体の選択性と分離
錯体合成において,特定の異性体を選択的に得る方法や分離・分割する方法について解説する.
8 中間試験
中間試験を行う.
9 中間試験解答,錯体の結合理論(1)
中間試験の解答を行う.原子価結合理論について解説する.
10 錯体の結合理論(2)
結晶場理論および配位子場理論について解説する.
11 スペクトルと磁性
錯体の色と密接に関連する紫外可視吸収スペクトルを中心に,スペクトルと磁性について解説する.
12 錯体の構造決定と物性評価
単結晶X線構造解析および各種分光化学的手法により錯体の構造を決定し,その物性を評価する方法について解説する.
13 配位子置換反応
配位子の置換が容易な錯体を置換活性錯体,容易でない錯体を置換不活性錯体と呼ぶ.それぞれの錯体の反応性について解説する.
14 錯体の応用(1)
生体関連化学分野における錯体の利用について紹介する.
15 錯体の応用(2)
超分子化学分野における錯体の利用について紹介する.


本科目の修得には,30 時間の授業の受講と 60 時間の自己学習が必要である. 後期中間試験および後期定期試験を実施する.