科 目 | 無機化学I ( Inorganic Chemistry I ) | |||
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担当教員 | 宮下 芳太郎 教授 | |||
対象学年等 | 応用化学科・2年・通年・必修・2単位 ( 学修単位I ) | |||
学習・教育 目標 |
A4-C2(100%) | |||
授業の概要 と方針 |
無機化学の基礎理論と元素の各論を学ぶことで,周期表を身近に感じ,多種多様な元素を含む物質の性質や化学変化に興味を持ち,化学反応式が手軽に書けるようにする. | |||
到 達 目 標 |
1 | 【A4-C2】 元素記号,元素名を日本語および英語で書ける.無機物質の基本的な命名法が理解できる. | 2 | 【A4-C2】 放射性同位体の崩壊や核分裂・核融合などの核化学に関する基礎的事項が理解できる. | 3 | 【A4-C2】 原子の構造に関する基礎的事項(ボーアの水素原子模型や量子数など)が理解できる. | 4 | 【A4-C2】 各元素の電子配置と周期表における位置関係が理解できる. | 5 | 【A4-C2】 原子の物性(原子半径とイオン半径,イオン化エネルギー,電気陰性度など)と周期表の関係が理解できる. | 6 | 【A4-C2】 代表的な分子の構造や結合理論について理解し,説明できる. | 7 | 【A4-C2】 水素,酸素およびs-ブロック元素の単体・化合物の製法や性質を理解するとともに,主な化学的現象を化学反応式で書ける. | 8 | 【A4-C2】 原子の物性,熱化学および水素,酸素およびs-ブロック元素の各論に関する基本的な計算問題が解ける. | 9 | 10 |
評 価 方 法 と 基 準 |
到 達 目 標 毎 |
1 | 元素記号,元素名を日本語および英語で書けるか,無機物質の基本的な命名法が理解できているかを,前期小テストおよび後期定期試験で評価する. | |
2 | 放射性同位体の崩壊や核分裂・核融合などの核化学に関する基礎的事項について理解し,説明できるかを,前期中間試験で評価する. | |||
3 | 原子の構造に関する基礎的事項(ボーアの水素原子模型や量子数など)について理解し,説明できるかを,前期中間試験で評価する. | |||
4 | 各元素の電子配置と周期表における位置関係について理解し,説明できるかを,レポートや前期定期試験で評価する. | |||
5 | 原子の物性(原子半径とイオン半径,イオン化エネルギー,電気陰性度など)と周期表の関係について理解し,説明できるかを,レポートや前期定期試験で評価する. | |||
6 | 代表的な分子の構造や結合理論について理解し,説明できるかを,前期定期試験,後期中間試験および小テストで評価する. | |||
7 | 水素,酸素およびs-ブロック元素の単体・化合物の製法や性質について理解し,説明できるか,主な化学的現象を化学反応式で書けるかを,小テスト,レポート,後期の中間・定期試験で評価する. | |||
8 | 原子の物性,熱化学および水素,酸素およびs-ブロック元素の各論に関する基本的な計算問題が解けるかを,小テストや前後期の中間・定期試験で評価する. | |||
9 | ||||
10 | ||||
総 合 評 価 |
成績は,試験70% レポート15% 小テスト15% として評価する.100点満点で60点以上を合格とする. | |||
テキスト | 「無機化学 基礎から学ぶ元素の世界」:長尾宏隆・大山大 共著(裳華房) 「改訂版 視覚でとらえるフォトサイエンス化学図録」:数研出版編集部 編 「化合物命名法−IUPAC勧告に準拠−」:日本化学会命名法専門委員会 編(東京化学同人) |
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参考書 | 「演習形式で学ぶ やさしい無機化学」:前野昌弘 著(裳華房) 「新・元素と周期律」:井口洋夫・井口眞 共著(裳華房) 「はじめて学ぶ大学の無機化学」:三吉克彦 著(化学同人) 「マンガ+要点整理+演習問題でわかる 無機化学」:齋藤勝裕・増田秀樹 共著(オーム社) 「無機化学命名法−IUPAC2005年勧告−」:N.G.Connellyら 共著,日本化学会化合物命名法委員会 訳(東京化学同人) |
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関連科目 | C1「化学」,C1「基礎化学実験」,C2「分析化学I」,C2「応用化学実験I」 | |||
履修上の 注意事項 |
授業中,すべてのテキストおよび配布プリントを常に参照できる状態にしておくこと. |
週 | 上段:テーマ/下段:内容(目標、準備など) |
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1 | 無機化学ガイダンス |
2年から始まる専門科目としての「無機化学」の位置付けやその範囲について述べる.元素に関するエピソードや名称の由来を紹介する.無機物質の取扱法について簡単に触れる. | |
2 | 元素の名称,元素の存在度 |
元素記号と元素名,超重元素の暫定的命名法について説明する.地殻中の元素の存在度(クラーク数)および海水中や人体中などとの存在度の違いについて述べる. | |
3 | 原子の構造と同位体 |
原子を構成する素粒子について述べるとともに,同位体の存在と原子番号や質量数などについて説明する.また,元素記号の表し方について説明する. | |
4 | 原子核反応と放射線 |
核の結合エネルギー・質量欠損について説明する.放射性同位体の崩壊など放射化学の基礎について述べる.核融合や核分裂についても触れる. | |
5 | 電子殻,エネルギー準位 |
原子核のまわりの電子はいくつかの層(電子殻)に分かれて存在していることを説明する.電子がとびとびの特定の大きさのエネルギー状態(エネルギー準位)しかとれないことを水素原子の輝線スペクトルから説明する. | |
6 | ボーアの水素原子模型,量子数と軌道 |
ボーアの水素原子模型の概略を述べ,原子半径や軌道をまわる電子のエネルギーに関して説明する.量子数という概念を導入し,軌道との関係について説明する. | |
7 | 原子の電子配置,遮へいと有効核電荷 |
原子軌道と電子配置との関係について説明する.遮へいや有効核電荷という概念を導入し,軌道のエネルギーとの関係について説明する.スレーターの規則による有効核電荷の推定についても説明する. | |
8 | 中間試験 |
1週目から7週目までの内容で中間試験を行う. | |
9 | 中間試験の解答,無機物質命名法 |
中間試験の解答を行う.比較的単純な無機物質の命名法(英語名および日本名)の基礎を説明する. | |
10 | 各原子の電子配置を規定する法則 |
各原子の電子配置を規定する法則である構成原理(積み上げ原理),パウリの排他律,フントの規則について説明する.充填殻(閉殻)や半充填殻(半閉殻)構造についても説明する. | |
11 | 周期律と周期表 |
元素の電子配置による分類(典型元素・遷移元素)と周期表上における位置関係について説明するとともに,族の名称についても述べる. | |
12 | 原子半径とイオン半径 |
遮へいや有効核電荷という概念を用いて,原子半径・イオン半径の周期表上での大小関係を説明する. | |
13 | 反応熱,イオン化エネルギーと電子親和力 |
熱化学方程式(発熱反応・吸熱反応)について述べる.イオン化エネルギーおよび電子親和力の概念を述べ,それらの周期性を説明する. | |
14 | 電気陰性度,金属性と周期性 |
種々の方法で定義された電気陰性度について説明する.金属性(非金属性)と元素の周期律および化学結合との関係を説明する.周期表の左上と右下の元素どうしの性質が似る対角線関係について説明する. | |
15 | 化学結合 |
種々の化学結合(共有結合,イオン結合,金属結合など)について相違点を説明する.これまで学習した内容に関して総合的な演習を行う. | |
16 | 定期試験の解答,結合エネルギー |
定期試験の解答を行う.化学結合の結合エネルギーについて説明する. | |
17 | 種々の結晶と格子エネルギー |
3種類の金属の結晶格子について,類似点と相違点を説明する.イオン結晶の種類について述べる.結晶の格子エネルギーについて説明する. | |
18 | ボルン-ハーバーサイクル |
ヘスの法則について述べた後,ボルン-ハーバーサイクルの意味と簡単な計算方法を説明する. | |
19 | 分子の形と結合理論(1) |
原子価殻電子対反発理論(VSEPR理論)を用いて分子の構造を定性的に推定する方法を説明する. | |
20 | 分子の形と結合理論(2) |
原子価結合理論(VB理論)を用いて混成軌道や多重結合について説明する. | |
21 | 分子の形と結合理論(3) |
分子軌道理論(MO理論)を用いて結合次数や磁性について説明する. | |
22 | 酸素と水素(1) |
最も簡単な元素である水素の製法,物理的性質,化学的性質,反応性,貯蔵・運搬法について説明する.金属のイオン化傾向と水素の発生との関係についても触れる.特別な水素化合物である水素化物について説明する. | |
23 | 中間試験 |
16週目から22週目までの内容で中間試験を行う. | |
24 | 中間試験の解答,酸素と水素(2) |
中間試験の解答を行う.酸素の単体の物理的性質や電子構造,実験室的製法を説明する.酸化物,過酸化物,超酸化物の生成や反応性について,酸素の酸化数と関連づけて説明する. | |
25 | 酸素と水素(3) |
オキソ酸の構造について述べる.オキソ酸の酸化力や酸性度について,酸化数の観点から説明する.命名法についても触れる. | |
26 | 酸素と水素(4) |
非常に重要で身近な水素化合物である水の特異性について説明する.水溶液の共沸についても述べる. | |
27 | アルカリ金属元素(1) |
アルカリ金属元素の一般的性質(比重,硬度,イオン化エネルギーなど)について説明した後,特に単体の水との反応性について述べる. | |
28 | アルカリ金属元素(2) |
ナトリウム化合物の性質や反応を説明した後,工業的製法(融解塩電解・イオン交換膜法・アンモニアソーダ法)を説明する. | |
29 | アルカリ土類金属元素(1) |
アルカリ土類金属元素の一般的性質をアルカリ金属のものと比較しながら説明する.アルカリ土類金属化合物の性質や反応について説明する. | |
30 | アルカリ土類金属元素(2) |
カルシウムとマグネシウムに関連して,水の硬度や石鹸の洗浄作用への影響など身近な事項について説明する.ベリリウムの特別な性質について述べる.これまで学習した内容に関して総合的な演習を行う. | |
備 考 |
前期,後期ともに中間試験および定期試験を実施する. |