【 2015 年度 授業概要】
科   目 専攻科特別研究II ( Graduation Thesis for Advanced Course II )
担当教員 専攻科講義科目担当教員
対象学年等 応用化学専攻・2年・通年・必修・8単位
学習・
教育目標
B1(15%) B2(15%) B4(5%) C2(65%)
JABEE
基準1(1)
(d)2-a,(d)2-b,(d)2-c,(e),(f),(g)
授業の概要
と方針
専攻科特別研究Iを継続する.専門知識の総合化により研究開発およびデザイン能力を高める.研究課題における問題を学生自ら発見し,広い視野をもって理論的・体系的に問題解決する能力を養う.研究テーマの設定にあたっては研究の新規性,有用性,理論的検討を重視する.研究の内容や進捗状況を確認し,プレゼンテーション能力の向上を図るため発表会を実施する.研究成果を報告書にまとめ提出する.



1 【B1】 研究の経過を整理して報告し,研究内容を簡潔に発表する能力を身に付ける.
2 【B2】 研究内容に関する質問に対して的確に回答できる.
3 【B4】 研究に関連した英語の文献を参照することができ,研究内容の概要を的確な英語で書くことができる.
4 【C2】 設定した研究テーマについて,専門知識をもとに研究遂行能力を養う.
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1 特別研究発表会20点(内容と構成10点,発表10点)として評価する.
2 特別研究発表会10点(質疑応答10点)として評価する.
3 研究テーマに関連した英語論文を自らの研究に役立てているかは,日常の活動状況や発表会での参照状況から評価する.研究概要を英語で的確に書けているかは最終報告書で評価する.
4 研究課題の探究力,実験計画力,研究遂行力を日常の研究活動実績から,および最終報告書の充実度から評価する.到達目標3と合わせて70点とする.
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成績は研究課題の探求・実験計画・研究実績および最終報告書の充実度で70%,特別研究発表会の充実度で30%(中間10%・最終20%)として評価する.100点満点で60点以上を合格とする.
テキスト  
参考書  
関連科目 研究の展開には,本科および専攻科で学んだ幅広い知識がベースとなる.
履修上の
注意事項
本教科内容に関してI,IIの期間中に,最低1回の学外発表(関連学協会における口頭またはポスター発表)を義務付ける.

【授業計画( 専攻科特別研究II )】
内容(目標、準備など)
研究は下記から1テーマを選び担当教官の指導のもとで行う.
(1) 複素環を基盤とした金属錯体の合成と応用に関する研究
複素環化合物を配位子とする金属錯体は,さまざまな物理的・電気的特性を持っている.近年,有機蛍光およびりん光素子材料として研究がおこなわれている.これら,複素環化合物および金属錯体を合成するための,基本的な有機合成法,合成技術を習得する.

(2) 光合成色素の励起状態の特性と光合成初期過程での機能に関する研究
本研究課題では光合成色素や色素蛋白を単離精製して各種分光法を適応し,また,理論化学計算を行い,光合成色素の励起状態の特徴を理解し光合成色素の機能発現の機構の解明や太陽電池への応用を目指す.そのために色素や蛋白質の分離精製や分光学に関する基本的な技術を習得し,また,分子の励起状態に関する基礎的な理解を得る.

(3) 分子の反応性に関する多面的アプローチに関する研究
分子の反応性について考察する場合,反応速度定数について考慮することはもちろんであるが,分子のポテンシャルなど反応動力学的要素も必要となる.そのためには実験だけではなく,量子化学計算などを利用した理論的アプローチも必須となる.

(4) 金属錯体の立体選択性に関する基礎研究
金属錯体の立体選択性に関する基礎研究を行う.具体的には,多種多様な酸化数や幾何構造を取り得る様々な金属イオンを用いて新規単核および多核錯体を合成し,その立体化学を分光化学的に評価するとともに,特異な機能性を創出することを目的とする.

(5) 電池材料の構造と電気化学特性に関する研究
本研究では,低温燃料電池の電極被毒物質である一酸化炭素を電極上で選択的に燃焼させることで被毒を抑制し,効率よく水素を電気エネルギーに変える白金―酸化物複合触媒の構造を明らかにする.また,エネルギー貯蔵の大容量化を狙い,種々のリチウムイオン電池電極材料のリチウムイオン挿入脱離挙動の違いを明らかにするとともに材料を高容量化する因子を抽出する.

(6) 芳香性高分子の合成ならびに機能性材料への応用
本研究では新規芳香性高分子材料の合成を軸として,基質の設計・合成,それらを用いた重合方法の検討,さらには得られた生成物に対して高分子反応を駆使することで次世代材料への応用可能な高分子の創製を目指す.また,機能性高分子複合材料の開拓を目的に,芳香性機能性高分子のみならず,様々な主鎖構造・側鎖構造を有する機能性高分子の開発,さらにはその材料展開や汎用高分子との高分子複合材料への応用についても検討する.

(7) 不安定中間体の発生を鍵とする新規反応系の開発とその応用に関する研究
本研究課題では活性なカルベノイドの性質に加え,ビニル基が関与した特異な反応性を示すビニルカルベノイドに着目し,ヘテロ原子や多重結合との分子内,分子間の反応による新規化合物の創成および反応機構の解明を目指す.そのために基本的な有機合成実験技術,データベース利用法を習得する.

(8) 有機化合物を用いた次世代高性能二次電池の開発に関する研究
本研究課題ではこれまでにない充放電容量を示す有機化合物の設計・合成および電池特性の検討を行い,次世代高性能二次電池の開発を目指す.そのために基本的な有機合成実験技術,データベース利用法を習得する.

(9) マメ科植物のAlイオン耐性機構に関する研究
Alイオン耐性遺伝子群はシロイヌナズナを中心に研究が進んでいるが,主要作物の一つであるマメ科植物においては未解明の部分が多い.本研究課題ではマメ科モデル植物のミヤコグサを用い,マメ科植物のAlイオン耐性機構の解明を目指す.

(10) 新規な環境触媒の開発に関する研究
本研究課題では,それらの有害物質をできる限り温和な条件下で浄化可能な新規な環境触媒の開発を目指す.そのために基本的な無機材料合成技術,構造解析,表面状態の精密解析法を習得する.

(11) 高機能を有する二次電池材料の創製に関する研究
本研究課題では,電気化学的手法や無機化学的手法などを組み合わせた新規な合成技術の開発によって,高機能を有する次世代二次電池材料の開発を目指す.そのために基本的な無機材料合成技術,電池特性評価,構造解析法を習得する.

(12) 固-液分散系中の微粒子の分散・凝集挙動に関する研究
ポリマーコンポジットなどの複合材料中の微粒子の凝集を制御するためには,せん断場における微粒子の分散・凝集特性を把握する必要がある.そのために,非一様せん断場中の微粒子分散・凝集挙動の観察や数値計算など用いて固液分散系中の微粒子の挙動を把握する方法を習得する.


本科目の修得には,240 時間の授業の受講と 120 時間の自己学習が必要である. 中間試験および定期試験は実施しない.