2014 年度応用無機化学I シラバス

【 2014 年度授業概要】
科　　　目			応用無機化学I ( Applied Inorganic Chemistry I )
担当教員			安田佳祐講師
対象学年等			応用化学科・5年・前期・必修・2単位 ( 学修単位II )
学習・教育目標			A4-C2(100%)
JABEE 基準1(1)			(d)1,(d)2-a,(d)2-d,(g)
授業の概要と方針			無機酸（硫酸・硝酸・塩酸・リン酸），海塩，ソーダ，アンモニアの工業的な製造法・用途・合成理論などについて学習する．また，化学肥料（複合肥料）の分野についても工業的製法や農業への寄与についての概要を習得する．あわせて無機工業化学製造技術の進歩は環境調和と密接に関連してきたことについて学習する．
到達目標		1	【A4-C2】化学工業で不可欠な基礎部門に当たる分野の概要について理解できる．
		2	【A4-C2】無機酸（硫酸・硝酸・塩酸・リン酸）の製造原理，製造技術の歴史，工業的価値について理解できる．
		3	【A4-C2】アンモニア，海水からの製塩，ソーダ工業，化学肥料の製造原理，製造技術の歴史，工業的価値について理解できる．
		4	【A4-C2】無機化学製品製造に関する製造プロセス，装置材料，環境対策について理解できる．
		5	【A4-C2】製造技術に関しての化学反応，転化率，反応率の計算について理解できる．
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評価方法と基準	到達目標毎	1	化学工業の基礎部門に当たる分野について理解できているかを前期中間試験で評価する．
		2	無機酸の製造原理や製造技術の特徴について理解できているかを前期中間試験，前期小テストおよび前期レポートで評価する．
		3	アンモニア，海水からの製塩，ソーダ工業，化学肥料の製造原理や製造技術の特徴について理解できているかを前期定期試験，前期小テストおよび前期レポートで評価する．
		4	無機化学製品製造法において，製造プロセス，装置の特徴，環境対策について理解できているかを前期中間試験・定期試験，前期小テストおよび前期レポートで評価する．
		5	関係する化学反応，原料の転化率，反応率の計算について理解できているかを前期中間試験・定期試験，前期小テストおよび前期レポートで評価する．
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	総合評価		成績は，試験80%　レポート10%　小テスト10%　として評価する．試験成績は中間試験と定期試験の平均とする．100点満点で60点以上を合格とする．
テキスト			「無機工業化学　第2版」 : 塩川二朗編（化学同人）
参考書			「無機工業化学　第4版」：安藤淳平・佐治孝共著（東京化学同人）「無機工業化学」：太田健一郎・仁科辰夫・佐々木健・三宅通博・佐々木義典共著（朝倉書店）「新しい工業化学」：足立吟也・岩倉千秋・馬場章夫編（化学同人）
関連科目			C2無機化学I，C3無機化学II，C3化学工学I，C4化学工学II，C4物理化学I
履修上の注意事項			上記の関連科目を十分学習し，理解しておくことが望ましい．

【授業計画（応用無機化学I ）】
回	上段：テーマ／下段：内容（目標、準備など）
1	工業化学総論（化学工業の特徴，資源とエネルギー，課題）について
1	無機化学工業に属する工業の種類を説明する．資源・エネルギーと関係深く，地球環境との課題を抱えてきた歴史も説明する．
2	硫酸工業（1）：硫酸製造の歴史と用途，接触式製造法の理論
2	硫酸製造技術の発達の歴史と硫酸の用途について説明する．接触式硫酸製造法について製造理論をとりあげて説明する．
3	硫酸工業（2）：接触式製造法の理論，原料，装置，操業
3	接触式製造理論について化学平衡，物質収支の面から説明する．この反応で使用する原料，触媒，設備の特徴や操業について説明する.
4	硝酸工業（1）：製造法の概要と用途，アンモニア酸化法の理論
4	硝酸製造法の技術的発展と硝酸の用途について説明する．次いでアンモニア酸化法による製造法の基礎理論について説明する．
5	硝酸工業（2）：アンモニア酸化法の理論，反応装置，環境問題
5	引き続きアンモニア酸化法による製造法の基礎理論について説明する．反応装置の特徴と環境への影響を説明する．
6	塩酸工業：製造法の概要と用途，製造理論，反応装置
6	塩素と水素からの塩酸製造法（合成塩酸法）と塩酸の用途について説明する．また副生塩酸法についても説明する．
7	リン酸工業：製造法の概要と用途，湿式リン酸製造法の理論，各種製造法の特徴，反応装置
7	リン鉱石からのリン酸製造法は湿式法と乾式法があり，特に湿式法をとりあげて基礎理論を説明する．また，リン酸の用途についても説明する．
8	中間試験
8	第1週から第7週までの内容で中間試験を行う.
9	中間試験解答，アンモニア工業（1）：アンモニア工業製造法の概要と用途，合成理論
9	中間試験の解答を行う．アンモニア合成技術の歴史的変遷を説明する．また，アンモニアの用途や製造工程の概要を説明する．
10	アンモニア工業（2）：合成理論，合成ガスの製造，合成装置と条件
10	アンモニア製造工程における温度や圧力の関係を主に化学平衡の観点から説明する．また合成ガスの製造，合成装置の特徴や合成条件について説明する．
11	海水からの製塩（1）：我が国における製塩の概要
11	塩の輸入の実情，用途について説明する．次にわが国における製塩法の概要，海水成分，にがり工業について説明する．
12	海水からの製塩（2）：海水からの製塩と海水の淡水化
12	イオン交換膜電気透析法の中で採かん行程とせんごう工程について説明する．次に淡水化の技術について説明する．
13	電解ソーダ法
13	電解ソーダ法（隔膜法，水銀法，イオン交換膜法）の概要について説明する．
14	アンモニアソーダ法と塩安ソーダ法
14	食塩から炭酸ナトリウムを工業的に製造するソルベー法（アンモニアソーダ法）およびその後発展的に生まれた塩安ソーダ法について概要と基礎理論を説明する．
15	化学肥料の概要
15	化学的方法で製造される肥料（主に窒素，リン酸，カリ肥料）の種類とその働きを説明する．また，現在使用されている肥料の複合化に関してその概要を説明する．
備考	本科目の修得には，30 時間の授業の受講と 60 時間の自己学習が必要である．前期中間試験および前期定期試験を実施する．